神隠しに遭った少女に会いました
2月、外の世界では、新年明けたばかりで起こった事件や出来事などがニュースなどで報道されている。
それらが報道されているテレビをつけてスマホを見ながら村岡 真は呟く。
「岳、お前、どこにいるんだよ・・・」
某県、山奥の神社前。
そこに黒の長髪、学生服の上にカーディガンを着た少女が居た。
彼女の名前は篠山 彩香。
彼女は自分が通っている高校でオカルト研究部に所属している。
「ここが最後の犠牲者、古郷 岳が居なくなったって言う神社なのね」
彩香は新聞の切れ端を手に取りそれを見る。
そこには見出しとして、『また神隠し!大学生が行方不明!』と書かれていた。
「被害者の古郷 岳は剣道で全国でも1位2位を争う程の選手だったらしいから新聞やテレビでも結構報道されていた。警察の捜索も虚しく、結局は行方不明扱いになってるけど、見つかるわけないわよね。だって神隠しにあったのならこの世界にいるわけないんだから」
彩香は神社を一周する。
「う~ん・・・とくに変わったところはないわね」
神社を一周すると、彩香は階段を降りると、獣道を通る。
「彼の近くにいた大学生の話だと、肝試しの最中に行方不明になったらしいとのことだけど・・・」
彩香は獣道を抜けると、坂がある道へと出た。
そしてスマホを開く。
「ここまでの道のりは往復でざっと10分・・・この短い間で彼は神隠しによってこの世界から居なくなった」
彩香はここに来る途中で近くの小さな町に住んでいる人たちに情報を求め話を聞いたのだが、皆、神隠しの伝説があると話し、坂を登った先に出来た大きなスポーツ施設が出来てから神隠しが頻繁に起こるようになったと話した人もいた。
「もう一度戻ってみよう」
彩香はもう一度、神社まで歩いて行った。
神社までの道のりまでの他に道がないか探して見たが、そのような道もなく、神社に着いた。
「この道のりまでの間に彼はどのようにして神隠しにあったの?」
彩香は考えて、神社で何か起こったのではないかと考えた。
「でも、これといって山奥の神社っていう感じしかしないのよね・・・」
とりあえず、神社の絵でも描こうと思い、彩香は手に持っていた鞄からスケッチブックを取り出した。
そして、神社の絵を描く。
絵を描くのに30分ほどかけ、とりあえず明日も来ようと思い、予約していた宿泊施設に戻ろうと神社の階段を降りた。
「きゃっ!?」
降りた直後、彩香は足を滑らせ転んでしまった。
「痛た・・・」
彩香は起きると、打った所を確認する。
目立った怪我はなく、問題もないと思った彩香は鞄を持って獣道を歩きだした。
「・・・あれ?」
彩香はふと違和感に気づく。
坂がある道に向かって歩いているわりにはまだ着く気配がなかった。
「え?嘘?」
彩香は真っ直ぐに進んでいくが、獣道が続くばかり。
「まさか・・・遭難しちゃった・・・?」
彩香は不安に襲われた。
「でも、道を間違うなんてことなかったはずなのに・・・!」
彩香が歩いている獣道は他の道もない1本道であったはずだ。
彩香は神社まで戻ろうと道を戻る。
しかし、神社に着くことも出来なかった。
「も、もしかして・・・神隠し!?」
彩香は神隠しを連想する。
まさか、自分が神隠しにあうとは思っていなかったのだろう、彩香の精神状態はパニックに陥っていた。
彩香の見解では、神隠しにあった被害者はそこに住む魔物に襲われて命を失うのではないかということ。
とりあえずこの獣道から抜け出さなければと考え進もうとするが、恐怖で足が震えてしまっている。
「だ、誰か!居ませんか!」
彩香はその場で叫ぶ。
その時、遠くの茂みからガサッという音を聞いた。
「だ、誰か!そこにいるんですか!」
彩香は音のした方へと震える足を無理やり動かして進む。
もう道という場所ではないところを進む。
枝などで着ている衣類が汚れてしまっているのを気にする余裕もなく、彩香は音のした方向へと進みそれを見た。
いや、彩香にとっては見てしまったといった方が正しいか。
彩香が見てしまったのは巨大なトカゲが何かを食べているところだった。
何かは全くわからない。
もう原型をとどめていないからだ。
「ひっ!」
彩香は恐怖で声が出てしまった。
それに気づいた巨大トカゲが彩香を見る。
巨大トカゲのサイズは体長4mといったところだろう。
巨大トカゲは彩香を見ている。
「あっ・・・あ・・・」
彩香はついには足がすくんでその場に倒れこんでしまった。
この後彩香は自分がこのトカゲに食べられてしまうといったことを思い浮かべる。
神隠しは実在したのだ。
おそらく、今の自分のように神隠しの被害にあった人たちはこのように化け物に襲われて・・・
その時、巨大トカゲが口を開いた。
あぁ、食べられるんだ・・・
そう思った彩香だったが、巨大トカゲは彩香の襟あたりを咥えると、背中へと乗せて移動した。
「え?」
一瞬何が起こったのかわからなかったが、もしかしたらこのまま巣まで運ばれてこのトカゲの子供たちの餌になるのかもしれないと最悪な考えを思い浮かべた。
なんとか逃げ出そうとしたいが、たとえここを降りたところでまた捕まってしまう。
そして、次は逃げられないように殺されてから餌にされるかもしれない。
そう思った彩香は考えて、覚悟を決めた。
彩香は一か八かの勝負に出ようと、トカゲから降りようとした。その時、トカゲの動きが止まった。
「うわっ!?」
まさか止まると思っていなかった彩香はそのまま地面へと頭からぶつかる。
「痛ったぁ~」
しかし、痛みを気にする余裕があるなら早く逃げた方がいい。
少しの間だが、巨大トカゲの背中にいた時に足の震えは治まっていた。
すぐに立ち上がり、逃げ出そうとした時
「おい!大丈夫か!」
背後から呼びかける声に、彩香は止まると振り返った。
そこには着物の上にマントを羽織った青年が彩香を心配そうに見ていた。
俺は博麗神社の中でスキマから出てきた紫と会話していた。
「ちょっと頼みたいことがあるのよね~」
「なんですか?紫さんの頼みたいことってちょっと嫌な予感がするんですけど・・・」
「ちょっと!私少年に頼みごとしたことないでしょ?」
何回かあったような気がするのだが、口に出すのはよそう。
「・・・それで、なんですか?」
「あのね、私暇さえあればスキマを使って色々なことをしてるのだけど・・・」
何気なく言う紫だったがそれは暇さえあればやることなのだろうかと俺は感じた。
「少年、聞いてる?」
「はい、聞いてますよ」
「で、さっきスキマで何かを釣ろうと思ったんだけど、どこかで間違えたか、外の世界の人間釣っちゃって、今博麗神社付近の森に居ると思うのよ。ちょっと助けてあげてくれないかしら?」
「は!?外の世界の人間を釣った!?」
「いやぁ~、寝ながらやっちゃダメね!お姉さん反省!」
テヘッとしながら笑う紫の頭を俺は叩いた。
「じゃあ、頼むわね~。私寝ないといけないから」
俺に手を振ると、紫はスキマの中へと帰っていった。
俺は木刀を持ち、マントを着て機械を背負うと急いで外へと出た。
そして、森に入ってしばらく進んでいると、サラマンダーが俺の所に来て、サラマンダーの背中から降りた少女に気づいたのだ。
「大丈夫か?」
俺は少女に尋ねる。
少女が着ているのは学生服の上にカーディガンを着ているようだったが、所々汚れていた。
俺は少女の所に向かう。
「貴方・・・まさか古郷 岳?」
少女が俺の名前を言った。
「俺の名前を知ってんのか?」
「知っているも何も、貴方行方不明って新聞やテレビで報道されていたから」
新聞やテレビで報道されていたと言った少女。
着ているものから見ても外の世界の人間なのは間違いなさそうだ。
とりあえず所々傷ついているようだが、命に別状はないようで安心した。
「ほら、立てるか?」
俺が手を差し伸べると、少女は俺の手を掴むが起き上がれなかった。
「あっ、ごめんなさい。足がすくんで上手く動かせなくて・・・」
「そうか、ならすまないが・・・」
俺はそう言うと、少女を抱きかかえた。
「あっ・・・」
少女は恥ずかしそうに声を出した。
俺は少女をサラマンダーの背中に乗せる。
「あ、あの・・・」
「あぁ、こいつはサラマンダー。俺が飼ってるんだよ。人を襲ったりはしないから安心しな」
俺はサラマンダーの頭を撫でる。
「ん?サラマンダー、お前、もしかしてつまみ食いしたな?ダメじゃないか!俺や霊夢があげたご飯以外は食べちゃダメって言ったろ?」
俺はサラマンダーの口元を見た。
サラマンダーの口元は何かを食べたのか、血が付いていたのだ。
「帰ってからご飯食べるか?」
俺の言葉に、サラマンダーは嬉しそうに頷いた。
「よっと」
俺はサラマンダーの背中に乗ると後ろにいる少女を見た。
「捕まってな」
少女が俺の肩に捕まると、サラマンダーは博麗神社に向かって移動した。
「あの、助けてくれてありがとうございます」
移動している時に、後ろにいた少女が声を掛けた。
「礼なら俺じゃなくてサラマンダーに言ってくれ。俺は何もしてないからさ」
俺たちを乗せたサラマンダーが博麗神社に到着した。




