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二次創作 東方project 神隠しに遭った青年  作者: 零月
第一章 神隠しに遭った青年編
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旧都で迷子です2

「こっちか?くそっ!見失った!」

「せっかくの食料が!」

少女の横を妖怪たちが走り抜けていく。

「・・・」

少女はその妖怪たちを目で追うと、ゆっくりと猫車を押して歩いた。

「お兄さん、まだ出たらダメだよ」

「・・・」

「居るんだよね?」

「あぁ」

俺は今、少女が押している猫車の中にいた。

猫車の大きさは外の世界でもある普通のサイズで俺が入るので精一杯な大きさだ。

しかし、少女は難なく猫車を押していた。

まぁ、彼女も妖怪なのだからこのくらいは当然なのかもしれないが。

俺が少女を妖怪と判断したのはここにいるからという理由ではない。

少女には猫のような耳と尻尾が付いていたのだ。

「・・・猫娘、もしくは化け猫か?」

ある妖怪アニメに出ていた猫娘や化け猫を思い出し、ふと口に出してしまった。

「お兄さん、あたいは猫娘じゃないし、化け猫でもないよ」

少女がそれに答える。

「あたいは火車っていう妖怪さ」

「火車?」

火車という名は聞いたことあるが、どんな妖怪なのかは全く知らない。

「そうだね・・・死体を運ぶ妖怪とでも思ったらいいよ」

「なるほどな・・・って、もしかして、俺を死体として運んでいるわけじゃないよな!?」

「あはは!それはないから安心してよ!」

少女は笑いながら猫車を押して歩く。

とりあえず、気になったことを尋ねるとしよう。

「どうして俺を助けてくれたんだ?」

俺は周りを見て追っ手がいないことを確認すると、フードを脱いで少女に尋ねた。

「あたいは人間のこと好きだからね。ここは旧都って呼ばれる地上から追放された妖怪や荒くれ者たちが住む所なんだけど、前にここで起きた異変を地上の人間に解決してもらったことがあったんだよ。元々地上の人間には興味があったんだけど、彼女たちのおかげでますます興味を持ったんだ。だから、助けたって訳」

「解決した彼女ってもしかして、霊夢たちのことか?」

「そうそう!お兄さん知ってるんだね!」

「え?ま、まぁな」

「結構地上の人間からは近寄りがたい雰囲気なんだけど、お兄さんお姉さんのこと怖くないんだね」

お姉さんとはおそらく霊夢のことを言っているのだろう。

「いや、怖いぞ。すごく怖い!」

俺の言葉に少女は笑う。

「そうだ。お兄さんの名前聞かせてよ」

「俺は古郷 岳。君は?」

「あたいは火焔猫(かえんびょう) (りん)お燐って呼んでよ」

「そうか、よろしくなお燐。てか、ちょっとお願いがあるんだ」

「何?」

俺はここに来た経緯を話した。

「なるほどね。それは力になってあげたいけど、今仕事中でね。終わってその後さとり様の許可が出たらで良いかな?」

仕事が終わってさとり様という人の許可が出てからからか・・・

ここであった妖怪の中で唯一親身に接してくれたんだ。

燐以外で見つかる保証もない。

そう思った俺はいいよと答えた。

「ありがと、ならまずはお空に会いに行こうか」

「お空?」

「仕事仲間だよ。灼熱地獄にいるんだ」

「灼熱地獄!?」

思わぬ言葉が出て俺は驚いた。

「まぁ、詳しくは灼熱地獄跡だけどね」

「灼熱地獄ってあの地獄にあるっていうやつか?」

「そうだよ。ここは元地獄だからね」

「地獄だ!?」

「お兄さん驚いてばかりだね。だからここには数々の怨霊も蔓延ってるんだよ。それらの管理を任されているのが私たちの主、さとり様なんだ」

そのような話をしているうちに着いたのか、燐の足が止まった。



「岳さんまだ帰ってこないんですか?」

「どこかに出かけているだろうからね。サラマンダーと」

博麗神社の縁側で霊夢と早苗がお茶を飲んでいた。

その2人の前にサラマンダーが現れる。

「あれ?サラマンダーだけ来ましたけど」

「岳はどこ?」

「シー!シー!」

サラマンダーは鳴いて霊夢と早苗に伝えようとしている。

しかし、

「なんて言ってるのかわからないわ。早苗、アンタわかるんじゃないの?」

「私を爬虫類博士みたいに言わないでください・・・」

サラマンダーはどうしたら伝えられるか考え、霊夢の襟を咥えると、自分の背中に乗せた。

「うわっ!?ちょっと!なにすんのよ!」

霊夢を乗せたままサラマンダーは俺が落ちた穴に向かって走り出した。



「ここ、なんだか暑くないか?」

俺は額を拭いながら燐に尋ねる。

額から汗がだらだらと流れてきた。

目の前には洞窟があり、その中から熱気が溢れているのがわかった。

「それはそうでしょ。だって灼熱地獄跡なんだから」

俺とは違い、燐は涼しげに答え猫車を押すと、洞窟の中へと入って行った。

「流石に降りるよ」

俺は猫車から降りると、燐の横を歩く。

「お燐はいつもここに来るのか?」

「そうだね。死体をここに運ばないといけないし」

燐の話を聞きながら、俺は汗を拭う。

まるでサウナだ。

しかも、進めば進むほど熱気が強く感じる。

「はぁ・・・暑いな・・・」

「もう少しで着くよ」

燐と進んでいると、開けた場所に出た。

そこは灼熱地獄と呼べるにふさわしい所だった。

周りには炎が湧き上がっている。

まるで巨大な西洋のオーブンのようだ。

普通は火加減を調整するために薪などを入れるが、ここでは死体を使っているらしい。

そして、その灼熱地獄の中に少女がいた。

黒い長髪に緑のリボンが付いており、白のブラウスに緑のスカートを着た少女だった。

カラスのような羽と右手についている棒のような物が目立つ。

「お燐、その人誰?」

「彼は岳。なんか地上からここに来てしまったんだって」

「ふぅん・・・」

黒髪の少女が俺を見る。

「貴方誰?」

「・・・さっきお燐が説明しただろ?」

「お空は物忘れが酷いから、ほら、トリ頭だから」

俺が呟くと、燐がそう答えた。

「大事なことは忘れないもん!」

お空と呼ばれた少女は慌てたように叫んだ。



「・・・なぁ、すまん」

俺は燐の肩をトントン叩く。

「どうしたんだい、お兄さん」

もう、我慢の限界だった。

「ここ暑すぎるから出て良いか?」

「そうだね。お兄さんにとっては辛かったみたいだし、あたいたちの仕事が終わるまで外で待ってて。見つからないようにそのフードは被っておいてね」

「わかった。すまんな」

俺はそう言うと、急いで出口へと向かっていった。

俺は出口を目指して歩く。

そして、出口が見え、俺は洞窟を出ると深呼吸をした。

あそこは呼吸すると、喉が焼けるように暑かった。

「はぁ・・・」

俺は首を回すと、右腕、左腕と回す。

やけに身体が重たく感じるのだ。

それも随分前から、おそらくだが、燐に会った辺りくらいからか。

「咳は止まったのに、なんかだるいな・・・」

やはり体調を崩したのだろうか・・・

俺は休もうと思い、灼熱地獄の入り口から少し離れた所で壁を背にして座って休んだ。

座っていると、身体が軽く感じる。

「ふぅ~」

俺は目を閉じて身体を休めた。

そして、目を開けた俺は自分の目を疑った。

俺の目の前に少女がいるのだ。


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