旧都で迷子です
「いてて・・・」
俺はゆっくりと起き上がる。
落ちた時に全身を打ったのだろうか、身体がズキズキ痛む。
どこから落ちたのだろうかと思い上を見ると、俺が落ちてきたのだろう穴が空いているところがあった。
高さは10m以上ある。
マントを着ていても当たりどころが悪かったら死んでいたかもしれない。
とにかく身体はジワリと痛みがはしるが骨に異常はなさそうだ。
俺はとりあえず飛ぼうと思ったのだが
「しまった!機械持ってくるの忘れた!」
元々ここに落ちてしまった原因を俺は思い出す。
「サラマンダーと遊んでたのが原因かな・・・」
先程までサラマンダーとチルノごっこしたのが間違いだったなと思った俺。
チルノごっことはサラマンダーと遊んでいたチルノが考えた遊びで、サラマンダーがボールを上げるようにチルノを上空に上げる遊びのことを言うのだが、これがなかなか楽しい。
最初見ていた時は子供だなぁと思っていたのだが、実際にやってみるとトランポリンで遊んでいるような感じがして楽しかった。
ただ、俺が機械を背負っていると、機械がサラマンダーに当たり、サラマンダーが痛がった時があったので、サラマンダーと遊ぶ時は機械を背負っていなかった。
機械を背負っていたらこんな所飛んで元に戻れるのだが・・・
しかし、遊んでいたらたまたまあった穴に落ちるなんて誰が思うだろう。
「シー!シー!」
頭上からサラマンダーの鳴き声が聞こえた。
「サラマンダー!いるのか!いるんなら霊夢に俺がこの穴に落ちてるって伝えてくれ!」
俺の声を聞いたのか、今まで鳴いていたサラマンダーの声が聞こえなくなった。
おそらく、霊夢に伝えに言ったのだろう。
心配事があるとすれば、霊夢がサラマンダーの言っていることを理解できるかと言った所だが、そこはサラマンダーに任せるしかない。
正直、俺もサラマンダーが何を言っているのかはっきりと理解できていないのだ。
今度、にとりに頼んでサラマンダーが何を言っているのかわかる機械でも作ってもらうかと思った俺だった。
ここで待ってるのが得策だと思った俺だったが、複数の足音が聞こえたので、フードを被りその場を離れた。
俺が離れてすぐに足音の正体が現れた。
「この辺りから声が聞こえたんだけどな~」
「あの声は間違いなく人間だったぜ」
現れたのは妖怪だった。
身長は2mくらいの人型で上半身が裸で頭には角が生えていた。
おそらくだが、人間に危害を加える妖怪だろう。
数は5人。
「近くにいるな・・・」
妖怪の1人が周りを見る。
「さっきまで声が聞こえたんだ。近くにいるはずだぜ」
「じゃあこの辺りを探してみるか。他の奴らに見つけられないように俺らで必ず見つけるぞ。久しぶりの人間なんだ。酒に合う食材になるだろうぜ」
言葉を聞くに見つかるとヤバそうなのは理解できた。
フードを被っているとは言え、安心は出来ない。
仕方がないが、ここから離れよう。
俺はそう思うと、その場を離れた。
「にしても・・・ここはどこなんだ・・・」
頭上を見ると、空は全く見えない。
まるで大きな洞窟に入ったような気分だ。
ただ、真っ暗かと言われたらそうでもなく、視界は確認できる。
「ん?」
奥の方に明かりが見えた。
近づいて見ると、街明かりのようだった。
「街に入れば知り合いとかいるかな?」
知り合いに会えたらラッキーだ。
博麗神社まで連れて帰ってもらおう。
そう思い、街に近づく。
どうやら街に入るためには掛かっている橋を通る必要があるようだ。
俺は橋を渡る。
橋は江戸時代にありそうな木造の橋だった。
橋を渡っていると、橋の手すりに少女が座っていた。
金髪のショートで、見たことのない異国のような服を着ていた。
この少女に話しかけるべきだろうか・・・
「・・・」
ただし、彼女が人に対して友好的なのかわからない以上は話しかけるわけにはいかないだろう。
そう思い、俺は橋を渡りきろうとした。
「誰かいるの?」
突然の少女の言葉に思わずビクッとして止まる俺。
まさか・・・気付かれたのか?
「ヤッホー!ずっとここにいて暇じゃないの?」
街の方からその声が聞こえると、金髪のポニーテールで茶色のスカートを着た少女が歩いてきた。
「なんだ、ヤマメか」
橋の手すりに座っていた少女は歩いて来た少女を見てつまらなそうに答える。
どうやら俺が気付かれた訳ではなさそうだ。
俺はゆっくりと橋を渡り、歩いてきた少女とすれ違った。
「ん?」
すれ違った直後、少女が後ろを振り返る。
「どうしたの?」
「いや、何かすれ違ったような気がしたんだけど、気のせい・・・かな」
「ゴホッゴホッ・・・!」
街に着いた俺は突然咳き込みだした。
「なんだ?風邪か?」
何故いきなり咳が出たのか気になったが、それよりこの街の探索だ。
ここの街は繁華街のような感じで、外にはたくさんの住民が歩いている。
ただ、歩いているのは皆妖怪のようだったが・・・
特に目立つのは角だ。
俺を探していた妖怪に似た角が生えていた。
「鬼・・・か」
俺はその妖怪が鬼であるとわかった。
ただ、鬼なら知り合いで萃香がいる。
もしかしたら萃香に会えるかもしれない。
そう思った俺は繁華街を歩き、道を歩く妖怪にぶつからないようにしながら見知った人妖たちを探し始めた。
「ダメだ・・・」
俺は街の隅で座っていた。
色々見て回ったが、知り合いの姿はなかった。
それに見ていてわかったのだが、ここにいる妖怪たちは荒くれ者が多い。
「なんだ!やんのか!おら!」
ほら、またどこからか喧嘩が起こって・・・
突然、俺の目の前が暗くなった。
どうして暗くなったのかを知る前に、何者かがのしかかってきた。
「ぐはっ!?」
俺にのしかかってきたのは喧嘩によって殴られた妖怪のようだった。
「痛ぇな!テメェやりやがったな!」
倒された妖怪が起き上がる時、後ろを見た。
そして叫ぶ。
「人間だ!」
妖怪の叫び声に、周りの妖怪たちも気づいたようだ。
俺はとっさにフードを被ろうとしたが、それより早く目の前の妖怪が襲ってきた。
「くっ!」
薙ぎ払われた腕を、姿勢を低くすることで避け、俺は妖怪から離れるとフードを被る。
それにより、妖怪たちの前から俺の姿は消えてしまった。
「消えたぞ!?」
妖怪たちは驚いて周りを見回す。
しかし、妖怪の中の1人が冷静に呟いた。
「おそらく消えたっていうよりは隠れたんじゃねぇか?ほら、あれだ。光学迷彩ってやつだ」
「なるほどな。ならこの辺りに必ずいるってことか!」
「俺が見つけてやる!」
「いや!俺だ!」
妖怪たちは各々叫ぶと俺に向かってきた。
「まずい・・・!」
逃げる俺を妖怪たちは追いかける。
姿は見えてはいないはずなのに、妖怪の勘なのか、ジワリと追い詰められていった。
「やばいやばい・・・!」
このまま捕まると間違いなく殺される!
俺は突き当たりの道を曲がった。
曲がった時、目の前にいた少女にぶつかって転んでしまった。
「痛て!」
ぶつかった拍子でフードがとれ、俺の姿が露わになる。
俺は起き上り、ぶつかってしまった少女を見た。
そこにいたのは赤い髪で、両サイドに三つ編みをした黒のゴスロリのファッションの少女。
少女にぶつかったのかと思ったが、ぶつかったのは少女ではなく、少女が押していた猫車のようだった。
「ここを曲がったんじゃないのか!」
「あぁ!声が聞こえたぜ!」
謝ろうとした俺だったが、妖怪の足音が聞こえ、フードを被りながらその場を去ろうとした。
しかし・・・
「待ちな!」
少女に腕を掴まれてしまった。




