紅魔館でパーティです2
「いえ、私はパーティの方の準備がありますので遠慮しておきます」
「そうなんだ、残念だなぁ~」
フランは俺から3人分の食事を受け取る。
「じゃあね!お兄様!」
フランはそう言うと、食堂から出て行った。
「岳、お仕置きってどう言うこと?」
パチュリーに聞かれ、俺は事情を説明した。
「なるほど、それは大変ね。まぁ、咲夜は何度もされてるから大丈夫だと思うわ。ご馳走さま。明日楽しみにしているわ」
パチュリーは席を立つと食堂を後にした。
俺はそれを片付けると、美鈴、小悪魔と食事をとった。
「・・・さて」
食事を終えた俺はできた物を確認する。
ステーキなどの肉料理の他に稲荷寿司や湖などで獲れた魚の寿司、ラーメン、ピンチョスなどの一口サイズの料理、フルーツ各種などがあった。
「あとこれに特大ケーキが加わるけど、う~ん・・・デザートは他に何か作った方が良いかな・・・」
ただ、ケーキ、果物以外のデザートとは・・・
「う~ん・・・プリンとかゼリーか?」
俺は呟くと材料を探す。
「ゼラチン粉なんてないよな・・・」
そもそもゼラチンってどうやって作るのかわからない。
「え~と・・・ゼラチンとは動物の皮や骨、魚の鱗などのタンパク質であるコラーゲンを熱などによって加水分解して溶けやすくしたもの・・・か」
スマホでゼラチンについて調べていた俺。
ゼリー自体は作ったことはあるが、ゼラチン自体を作ったことは一度もない。
「う~ん・・・プリンにするか。プリンならゼラチン使わなくても作れるし」
プリン自体は牛乳と卵、砂糖さえあれば何とかなる。
俺はプリンを作るためにカラメルソースやプリンの元を作り始めた。
およそ30個近くのプリンを作った頃には日が変わろうとしていた。
「ふわぁ~」
大きな欠伸をした俺はそろそろ寝ようと思い、階段を上がろうとして、重要なことに気づいた。
「しまった・・・!料理を作るのに夢中で基本の仕事を一切してなかった・・・!」
部屋の掃除、階段の掃除などを一切していなかった。
これをしないと後に何を言われるかわかったものではない。
ただ、この作業は1人でするとかなりかかる。
咲夜もこの仕事を1人する時は時間を止めてしていると言うくらいだ。
それを時間が止められない俺がやるものだから大変だ。
ただ、今の俺はかなり眠い。
しかし、起きてこの作業をやっているとパーティまでの時間に間に合うか・・・
間に合うためには寝る時間を削る必要がありそうだが、途中で倒れないか心配だ。
「ちょっと頼んでみるか・・・」
俺はそう呟くと、地下の図書館へと向かった。
「あら、どうしたの?」
図書館に入ると、本を読んでいたパチュリーが俺に気づいて尋ねてきた。
「あの、すみません、パチュリー様。お願いがあるのですが・・・」
「岳からお願いなんて珍しいじゃない。何かしら?」
俺はパチュリーに頼みごとを伝えた。
「なるほど、疲れた身体を回復させる魔法と眠気を吹き飛ばす魔法ね・・・あるにはあるけど、それは結局一時的なものだし、身体を騙しているだけよ?」
「それは承知の上です。あるのでしたらお願いします」
「・・・わかったわ。ただし、魔法が解けたらちゃんと休むこと。そうしないと身体が保たないわよ」
「わかりました」
俺はその後パチュリーに魔法をかけてもらい、図書館を出ると、部屋と階段を掃除した。
ただ、掃除をしている時、どこからか咲夜の悲鳴が聞こえてくるたびに掃除の手が止まってしまい、その度に身体がブルっと震えてしまったのだが、聞こえなくなる頃には何故かホッとしてしまった俺がいた。
掃除が終える頃には日が昇ろうとしていた。
「・・・朝か」
昇ってくる日を見ながら俺は呟いた。
時刻は7時。
パーティまであと12時間だ。
しかし、準備に至ってはそれより1時間早く終わらせなければいけないからあと11時間か。
「・・・よし!まずはクリームでも作るか!」
俺は新しい執事服に着替えると、キッチンへと向かい、クリーム作りを始めた。
「ふあぁ~おはようございます~」
クリーム作りをしていると美鈴が欠伸をしながら入ってきた。
「おはよう、美鈴さん」
俺は振り返り言う。
「クリーム作りをしてるんですか?」
「うん、特大ケーキのために必要だからね」
「作り方教えてくれます?手伝いますよ」
「ありがとう、助かるよ」
作る予定のクリームはかなりの量が必要だ。
白玉楼との違いは生クリームの量がかなり多いこと。
特大ケーキのサイズはおよそ350cm。
これだけのケーキに生クリームを塗るのだからそれなりの量が必要だろう。
「ふぅ・・・」
美鈴の協力あって、とりあえず鍋3つ分の生クリームを作ることが出来た。
「足りますかね?」
「足りなければまた作るしかないな。次はスポンジケーキの生地作りだけど、これはにとりの工房で作らないといけないからちょっとにとりの工房まで行ってくる。美鈴さんはテーブルや飾り付けを頼んでいい?」
「わかりました。任せといてください」
会場の飾り付けを美鈴に任せた俺はにとりの工房へと向かった。
「にとり~、居るか~?」
にとりの工房に着いた俺はにとりを呼ぶ。
すると、奥の方からにとりが来た。
「やぁ、岳。言われたものは用意してるよ」
「悪いな、助かるよ」
にとりに着いていき、地下にある調理室に入ると、言っていたものが揃っていた。
丸い型を作るために必要な巨大鍋と巨大泡立て器、焼くために必要な巨大オーブン、スポンジケーキの材料が置いてあった。
俺は早速スポンジケーキを作ることにした。
スポンジケーキの生地作りを終える頃には昼になろうとしていた。
にとりの工房に来たのは9時だったからおよそ3時間掛かったことになる。
さらにスポンジケーキを焼く時間はおよそ1時間近く。
1時間待つなら一度紅魔館に戻って美鈴の会場の飾り付けを手伝いたい。
しかも、焼きあがっても冷ます時間を含めると、さらに1時間近くかかる。
それに一番厄介なのが、巨大な鍋を紅魔館に運ばないといけないこと。
しかし、これには少しあてがあった。
俺はにとりの工房から出て、紅魔館に向かいながらあるところに電話を掛けた。
『もしもし?』
「もしもし、早苗か?」
『岳さん!どうしたんですか?』
「ちょっと頼みたいことがあってさ・・・」
『岳さんの頼みなら喜んで手伝いますよ!』
「神社の方は大丈夫?」
『大丈夫ですよ』
「じゃあちょっと頼むけど・・・」
俺はにとりの工房でスポンジケーキが焼きあがったらその鍋を紅魔館まで持って来てもらいたいことを頼んだ。
『はぁ、でも私1人じゃ無理ですよ?神奈子様や諏訪子様はやらないでしょうし・・・』
「それについてはあと3人に協力してもらうから大丈夫」
『わかりました。とりあえず2時間後ににとりさんの工房まで、ですね?』
「うん、ありがとな」
『いえいえ、今日のパーティに必要なケーキなんですよね?お手伝いできるなら私も嬉しいですよ』
俺は礼を言って切ると、次のあてに通話を掛けた。
『は~い、もしもし?』
「あー、もしもし、俺だけど?わかる?」
『俺?はっ!まさかこれがあのオレオレサギってやつ~?いやぁ~ないわ~』
「・・・」
俺は無言になると通話を切った。
切ってすぐに電話が掛かる。
『ちょっと!なんで切るのよ!?これが噂の焦らしプレイってやつ!?』
「・・・」
『なんて、少し冗談よ。頼むから無言はやめてよ・・・岳』
「はぁ、俺ってわかってるじゃないか」
俺はため息しながら呟く。
『で、どうしたの?岳から掛けてくるなんて珍しいじゃん』
俺が通話している少女の名前は姫海棠 はたて(ひめかいどう はたて)である。
文の紹介で知り合った鴉天狗の少女で、文の同業者らしく、文とは違う新聞を発行しているらしい。
会って早々俺が持っていたスマホに興味を示し、にとりに頼んでスマホを作ってもらうと、その後連絡先を交換し、たまに連絡する仲である。
容姿は茶髪のロングヘアーを紫のリボンでツインテールにしており、襟に紫のフリルが付いた薄いピンクのブラウスに黒と紫の市松模様のミニスカート、さらに黒のネクタイとハイソックスの少女だった。
「頼みたいことがあるんだけどさ、はたても今日のパーティ参加するんだろ?それで出す料理のメインでもある巨大ケーキをにとりの工房から紅魔館まで文と椛を連れて持って来てくれないかな?」
『えぇ~!めんどくさい!』
早苗と違ってはたてはやる気がないようだった。
「駄目か?」
『う~ん・・・でも巨大ケーキには興味があるわね~。なら条件があるわ!パーティに出すつもりの料理の一部を先に食べさせてくれるなら手伝ってあげる!味見は必要でしょ?』
「わかった、助かる。文と椛にも頼んでくれ。2人スマホ持ってないからな」
『オッケー』
俺は通話を終えると紅魔館に着いた。
とりあえずスポンジケーキが届くまではパーティの飾り付け、料理を並べたりしないといけない。
「あっ、岳さんおかえりなさい」
紅魔館の飾り付けをしていた美鈴に「ただいま」と返すと周りを見る。
中はオシャレな感じで飾り付けがしてあった。
「あとは料理を置くだけか?」
「う~ん、外の庭にも椅子とテーブル置いてテラスみたいにしておきたいですね」
「なるほどね。それと料理を置いてそれを取る器とかも用意しないとな」
俺は美鈴と協力してテーブルと椅子を用意した。
テーブルや椅子は客室にある物や、パーティ用で予めあったものを置いていく。
中の飾り付けはあらかた完了したので外の庭に椅子やテーブルを置いていた。




