紅魔館でパーティです
新年を迎えてから少し経った頃。
「それじゃあ行ってくるわ」
「あ、ちょっと待って」
紅魔館のバイトに向かおうと思った時、霊夢が俺を呼び止める。
「なんだ?」
「明日、楽しみにしてるわよ」
霊夢はそう言うと、「いってらっしゃい」と言って炬燵のある居間へと戻っていった。
「どういうことだ?」
気になった俺だったが、紅魔館に向かうことにした。
「あの、岳さん、聞きましたか?」
紅魔館に着いて、いつもの部屋で執事服を着ると、咲夜が入って来た。
「聞いたって何をですか?」
「明日催されるパーティのことです」
「はい?どこでですか?」
「紅魔館でですよ。岳さんも聞いてなかったようですね・・・」
咲夜が困ったように呟いた。
もしかして霊夢が楽しみにしてるってそのことだったのか?
「てか、出来るんですか?俺今初めて聞いたんですけど・・・」
「はっきり言って厳しいですね。お嬢様もいきなりおっしゃるんですから・・・。はぁ・・・とりあえず私と岳さんだけでは厳しいのでお嬢様たちに言うしかありませんね」
「何?話って」
レミリアが咲夜と俺を見て言う。
俺と咲夜は頷きあうと、咲夜が口を開いた。
「お嬢様、お話があるのですが、明日に開催する予定のパーティなのですが、開催するのを延期、もしくはおやめになってはいかがでしょうか」
「え~!どうして~!」
その声が後ろから聞こえた思うと、フランがやってきた。
「どうしてやめないといけないの?」
「妹様、パーティの用意を私と岳さんで行うのは厳しいです」
「なら、美鈴にも手伝ってもらいなさい」
美鈴が居ても3人だ。
3人で明日のパーティの準備なんて厳しいだろう。
「美鈴は門番なので難しいでしょう」
咲夜の言う通り、美鈴は門番の仕事がある。
いつも寝ているように思うのだが、門番の仕事を放棄してまでレミリアがパーティの準備をさせるとは思えないのだが。
「今回だけは特別に美鈴の門番としての仕事は無しにしてあげるわ。これで頑張りなさい」
レミリアはどうしても中止や延期にするつもりはないようだ。
「そんなにパーティを延期、もしくは中止にしたいの?」
「やる時は私にも予めお伝えしてほしいと言うことです」
「ねぇ、お姉様」
「何かしら」
フランがレミリアに話しかけている。
「・・・そうね、確かにそうだわ」
「でしょ?」
レミリアとフランは俺たちを見る。
「私とフランが考えたことにメイドが口出しするなんておかしいわよね?」
「え?お嬢様?」
「そうよ!口出しするメイドには~、お仕置きしなきゃね!」
「妹様・・・?」
「「ふふふ」」
レミリアとフランは咲夜を捕まえた。
「お嬢様?妹様?何を・・・?」
咲夜を掴んだレミリアとフランはある部屋の中に入ろうとする。
入る時にレミリアとフランが俺の方を振り返った。
「岳?貴方も、そんなことを言うつもり?」
「お兄様もそんなことを言うの?だったら、咲夜同様お仕置きしなきゃいけないけど・・・」
「え?え~と・・・」
咲夜を見ると助けてほしいようにこちらを見ている。
「岳?どうなのかしら?」
「お兄様?」
「岳さ~ん・・・」
お仕置き・・・嫌だなぁ・・・
咲夜がここまで嫌がっていることだし、俺までされるわけにはいかない。
そう思った俺は答えた。
「俺・・・は・・・やる気でした・・・よ」
「え?」
咲夜は驚いた顔でこちらを見る。
「あら、岳はやる気だったのね!流石は私の自慢の執事だわ!」
「ちょっと!お姉様!お兄様はフランのよ!」
「そうね、私たちの執事だったわね。なら、これは咲夜本人が言っていたことなのね?」
「・・・はい」
「が・・・岳さ~ん!!」
「それじゃあ、頼むわね。私たちはメイドにお仕置きしないといけないから。この部屋は開けては駄目よ?」
俺が頷くと、レミリアとフランが部屋の中に咲夜を連れて入っていくと、部屋の扉が閉まった。
「・・・すみません、メイド長」
閉まった扉の前で俺はボソリと呟いた。
とりあえずレミリアとフランのお仕置きを受けることは免れたが・・・
「どうしよう・・・」
咲夜は今お仕置きの真っ最中。
と、言うことは俺と美鈴でどうにかしないといけない。
確か、パーティの開催は明日の19時だ。
「よし、やるか!」
やっぱりできませんでしたではレミリアとフランに何をされるか知れたものではない。
俺はとりあえず美鈴の所へ向かった。
美鈴は紅魔館の門のところで眠っていた。
「美鈴さん!起きてください!」
「ふぇっ!?寝てません!寝ていたように見えたのは目を閉じながら気を高めていたからで・・・って、なんだ岳さんじゃないですか。てっきり咲夜さんだと思ってましたよ」
美鈴は起きると欠伸をした。
「・・・寝てましたよね?」
「いえ、気を高めていたんです!」
「まぁ、別に良いんですけど、ちょっとお願いがあるんですよ」
俺は美鈴に事情を説明した。
「なるほど、それは大変ですね。私も手伝いますよ」
「ありがとう。門番の仕事についてはしなくて良いってお嬢様も言ってるから大丈夫なはずですから」
「はい、それでは何をしましょうか」
「そうですね・・・じゃあまずはパーティに出す食事でも作りますか。どんな物があれば喜ぶだろう・・・」
「やっぱり肉とかは外せないですよね?」
「たしかに、そう言うものは必要だよな・・・」
「デザートもあった方がいいと思いますよ?女性はデザートが大好きですし」
「そうですね。じゃあとりあえずやりますか!」
「はい!」
俺と美鈴はキッチンへと向かうと、料理を始める。
「そういえば美鈴さんはどんなのできるんです?」
「そうですね・・・中華とかならできると思います。あと肉も焼けますよ」
「じゃあ肉でも焼いてもらっていいですか?」
「わかりました」
美鈴は肉を冷蔵室から取るとフライパンで焼き始めた。
美鈴が焼いている肉はステーキ用の肉だった。
「ステーキとかやっぱり美味しいですよね」
「ですね、味はシンプルに塩胡椒でいいと思うんだけどどうだろう」
「ワインとか使っても良さそうですよね~」
「ワインか・・・確かに良いかも。ソースも何個か作ってお好みに使えるようにしておきますか」
「良いですね!」
美鈴がステーキを焼いている間、俺はステーキ用のソースを作った。
俺が作ったソースは赤ワインを使ったステーキソースの他にガーリックソース、オニオンソース、トマトソース、レモンを使ったあっさりソース。
あとは塩胡椒を置いておけば大丈夫だろう。
他には1口サイズで食べれるピンチョスと呼ばれる料理、八雲家で作った稲荷寿司、油揚げの挟み焼きを作った。
「よし、あとは・・・」
俺はスマホを取り出すと、にとりに通話を掛けた。
『もしもし?』
「あぁ、にとり?ちょっと頼みたいんだけど・・・」
俺は用を伝えると通話を切った。
「それじゃあ行ってきますね」
「はい、いってらっしゃい」
美鈴は紅魔館を出ると、妖怪の里へと向かって行った。
「さて、昼食や夕食の物を作りながらパーティの料理を作らないとな・・・」
そう言いながらキッチンへと向かおうとした時、
「勘弁してくださいぃぃぃぃ!!」
紅魔館の中から咲夜の悲鳴が聞こえた。
「・・・聞かなかったことにしよう」
俺はそう呟くとキッチンへと向かった。
「はぁ、後はデザートと美鈴さんが持ってくるのを待つだけか」
レミリアの好きなミネストローネを作ると俺はデザートを何にしようかと考えていた。
「ただ今帰ってきました!」
キッチンに大きな圧力鍋を2つと買い物をして帰って来た美鈴は圧力鍋を置いた。
「お帰り、美鈴さん。じゃあラーメンを作るか」
パーティにラーメンはどうかと思ったが食べ放題などでもあるので大丈夫だろう。
それに幻想郷ではラーメンは食べられていないので結構人気がありそうだ。
「ただ・・・」
俺はデザートを何にすれば良いかで考えていた。
とりあえず美鈴に相談する。
「そうですね・・・これは何です?」
美鈴がピンチョスを指差して聞く。
「これはピンチョスって言うスペイン料理だよ。一口で食べられるし見栄えもいいだろ?」
「綺麗ですね~。例えばですけど一口サイズのケーキとか作ってみてはどうでしょう」
「なるほど」
確かに一口サイズのケーキはホテルとかでもよく見るイメージがあった。
ただ、あそこまで綺麗に作れるか・・・
「それか、特大のケーキとか作ってみたらどうです?」
「特大か」
特大ケーキなら白玉楼で作ったことがある。
ただ、それは大きなオーブンがあったからこそだった。
「仕方ない。にとりに相談するか」
俺はにとりに通話することに。
『もしもし、岳、どうしたの?また何か頼みごとかい?』
「あぁ、今回のパーティに特大ケーキを作ろうかと思ってさ。作って欲しい器具とかあるんだけどできる?」
『どんな物だい?』
「え~と・・・」
俺は作って欲しい調理器具や電化製品を伝えた。
『う~ん・・・時間がかかるし値も張るけど出来ないことはないよ』
「値段は紅魔館に負担してもらうから大丈夫だと思う。ただ、時間が掛かるってどれくらい掛かりそう?」
『う~ん・・・ざっと見積もって4~5時間くらいかかるかもしれないね』
4~5時間か。
今は日が傾き始めた辺り。
4~5時間かかるとは言え、明日には間に合いそうだ。
「いいよ。すまんが頼むわ」
『了解』
俺は通話を切った。
「にとりに頼んだけど何とかなりそう。後は簡単なものでも作るか。ついでに夕食も作っておこう」
「そうですね。あの・・・少し摘んでも良いですか?」
「良いけど明日のパーティ用なんだから食べ過ぎないようにね」
「了解です」
俺はこの後夕食の支度へと移った。
そして、できた物を食堂に運んでいく。
「あれ?お嬢様とフラン様来ませんね・・・」
食堂にはパチュリーの姿しかなく、レミリアとフランの姿がなかった。
「そうね。それにしても岳も大変ね。レミィの勝手に付き合わされて」
パチュリーが言っているのは明日のパーティのことだろう。
「そうですね・・・美鈴さんが手伝ってくれてますけどメイド長がいないのはやはり辛いです」
「明日は私も楽しませてもらうわ。大変だろうけど頑張りなさいね」
「はい、頑張ります」
パチュリーとそのように話していると、食堂の扉が開いた。
開いた先にいたのはフランだった。
「あっ、フラン様。起きられたのですね。今お食事を・・・」
「お兄様、それなんだけど、私とお姉様と咲夜の3人分お願い!別のところで食べるから」
もしかして、まだお仕置きは執行中なのか・・・?
咲夜の悲鳴が聞こえてから何も聞こえなくなったからもう終わったのだと思っていたのだが・・・
「フラン様、もしかしてまだお仕置きの方は終わっていないので?」
「うん!私もお姉様もお昼寝から起きたから食事の後にまたするの!お兄様も一緒にどう?」
満面な笑みで聞いてくるフラン。




