スキマ妖怪に誘拐されました3
「こんなんで良いだろ」
俺は作った料理を皿に盛ると、それを紫と藍が居る場所へと運んだ。
「あら、美味しそうじゃない」
紫が並べられた油揚げ料理を見て言う。
俺が作ったのは稲荷寿司を中心とした油揚げ料理だった。
稲荷寿司の他に煮卵を油揚げで包んだ袋煮、人参、大根などの野菜と小さく刻んだ油揚げを使った汁物、チーズを油揚げで挟んで焼いた油揚げのはさみ焼きを作った。
それらを見る紫と藍。
「じゃあ食べましょうか。いただきま~す」
紫がまず稲荷寿司を口に運ぶ。
「う~ん!美味しいじゃない!」
俺はその言葉にホッとする。
「まぁ、確かに美味しそうですが・・・」
藍も稲荷寿司を口に運ぶ。
「っ!?」
藍は目を見開くと俺を見た。
「おい!人間!」
今にも食われそうな勢いに俺はビクッとした。
「は、はい・・・なんでしょうか・・・?」
「この食べ物の名前はなんて言うんだ?」
「稲荷寿司です」
「そうか・・・」
藍は稲荷寿司を見ると、1つを口に入れ、咀嚼して飲み込むと、更に1つを口に入れた。
「う・・・美味いじゃないか!」
藍は稲荷寿司を食べると、更に袋煮、汁物、挟み焼きを口に入れる。
「どれも美味いじゃないか!こんな食べ方があったのか!」
ものすごく喜んでいるようだった。
「何よりこれが美味い!味の染みた油揚げとご飯がこれほど合うとは!」
藍は稲荷寿司が気に入ったようだ。
「私はこれね~」
紫は挟み焼きを口に運ぶ。
「これお酒が進むわ~」
そしてお酒を飲む紫。
俺自身お気に入りなのは挟み焼きだった。
この挟み焼きは油揚げをパリパリとした食感で食べられる。
今まで油揚げの食べ方として出汁を染み込ませた食べ方だったのでこのパリパリとした食感はすごく新鮮だったのだ。
「紫様・・・これ以上飲まないでください・・・」
ため息混じりに言う藍。
「良いでしょ?つまみがいっぱいあるんだから」
「大変ですね」
「あぁ、紫様の酒好きにも困ったものだ・・・」
俺が何気なく呟き、それに藍が答えた。
「さぁ~!どんどん飲むわよぉ!少年も飲みましょう!」
「え?俺もう飲まないって言ったはずじゃ・・・」
「こんなにご飯あるのよ~!飲まなきゃ損でしょ!」
紫が立ち上がると俺の所に来た。
「まさか、私の酒が飲めないなんて言わないわよねぇ~?」
-30分後-
「もう飲めませんよ・・・」
俺はテーブルにベターと倒れ込んで言う。
「何?もう飲めないの?ほんと、お酒に弱いわね・・・」
紫が呆れながら俺を見る。
「紫様、貴女と比べてはいけませんよ」
藍が毛布を俺の背中に掛けた。
「藍もどう?」
「いただきます」
「いやぁ~!人間!いや、岳だったか~!なかなか良いものを作ったな!礼を言うぞ~!」
酒に酔ったのか、俺の頬を抓りながら言う藍。
「いだい・・・痛いです・・・」
涙目になりながらされるがままの俺を見て紫が笑う。
「痛い・・・頬っぺた千切れるかと思った・・・」
解放された俺は頬をさすった。
しかし、また頬を抓られる。
「ははは!この感触良いなぁ!」
「痛いですって!」
流石の痛みに俺は我慢の限界だった。
俺は頬を抓っている手を離すと、藍の尻尾を掴んだ。
今では藍に対して怖いと思うことはなかった。
とにかくやられたらやり返す!
「なっ!ちょっと!・・・んっ・・・く、くすぐったい!」
「俺だって痛いって言ったのに抓ってたもんな!お返しだ~!」
尻尾を掴むだけでなく、もふもふの感触を感じる俺。
「あ~!羨ましいわ~!私もやるぅ~!」
紫は立ち上がると藍の尻尾を掴んで、もふもふ感を味わった。
「紫様まで!や・・・やめてく・・・ださい・・・!」
「ん?」
いつのまにか俺は寝ていたらしい。
布団が敷いてあり、俺はその上で寝ていた。
「ん~」
俺は伸びをすると、近くの戸が開いた。
「今までどこ行ってたの!」
声の主が言う。
「ん~?どこ行ってたってさっきまで一緒に飲んでたじゃないか」
俺は声の主に向かって言うと、もふもふ感を求めて抱きつく。
「ちょっと!?いきなり何するのよ!」
「ん~!もふもふさせろぉ!」
俺は尻尾を求めて手を動かすが、尻尾の感触がない。
「ん~?」
「岳・・・アンタねぇ・・・!」
俺は声の主を見る。
よく見るとそれは藍じゃなかった。
ただし、紫でもなかった。
「起きていきなり大胆なことするじゃな~い?覚悟は出来てるんでしょうね?」
「・・・あ」
霊夢だと気づいた俺は何とか誤解を解こうとしたが、霊夢はバキバキと手の関節を鳴らすと
「くらえ!この変態!!」
右手の鉄拳制裁が俺の顔面にヒットした。
『酒は飲んでも飲まれるな』
次からは気をつけようと意識を失う中、俺は強く決心した。




