博麗の巫女と魔法使いに会いました
「ん・・・」
目が覚めた俺は身体を起こす。 周りを見るとどこかの建物の中にいることがわかった。
どうやら俺は倒れている間にここへ運ばれたらしい。
運んできた俺を布団に寝かしつけたといったところか。
しかも、腹部には包帯が巻かれている。
治療もしてくれたようだ。
あまり痛みは感じない。
「どこだ?ここ」
治療もしてくれたようだからおそらくあの化け物とは違う者たちが住んでいる場所なのだろうが・・・ それに部屋の電気はついている様子はないのに明るい。
朝を迎えたのか?
「そうだっ!スマホ・・・!」 俺は思い出したように声を上げるとポケットを探るが、あの時投げ飛ばしたことを思い出し肩を落とした。
「はぁ・・・スマホがないと時間がわからんな・・・。それに今頃俺がいないことに向こう結構騒ぎになったんじゃないのか?」
とりあえずここを出て真たちの所へ戻ろう。
明るければ迷子になることはないだろうし。
俺がそう思い立ち上がろうとすると近くの戸が開いた。
開いた戸の先にいたのは黒い服が印象的なとんがり帽を被っている少女だった。
「おっ?どうやら気づいたようだな」
少女はそう言うと後ろを振り返る。
「おい、霊夢。目覚めたようだぜ!」
少女は俺がいる部屋に入ると俺の顔をじっと見る。
「・・・」
「・・・なっ、なんだよ?」
警戒しながらたずねる俺を見て安心したように少女は頷くと
「これといって問題はなさそうだな。私たちが見つけた時虫の息のようだったから心配したんだぜ」
「・・・じゃあ治療したのは君が?」
「いや、私でもないし霊夢でもない。だが、腕は確かだ。いつも薬しか売っているところしか見てなかったから治療できるとは思ってなかったがな」
「?」
「あっ、こっちの話だ。気にすんな」
「魔理沙、目覚めたって?」
少女の後ろから声が聞こえるともう1人部屋に入ってきた。
その人は頭につけている大きなリボンが印象的な巫女服の少女だった。
巫女服の少女は俺を見る。
「まぁ、2日も寝ていれば回復するわよね」
「2日!?」
俺は2日も寝ていたのか!?
2日って強化合宿が終わって今頃自分の部屋でぐっすりしているはずじゃないか!
俺は慌てて起き上がると少女の間を通って部屋を出ようとした。
「どこ行くの?」
「どこって帰るんだよ。この辺りに運動施設がある所があって俺はそこで強化合宿してたんだ。早く帰らないと顧問や真たちに迷惑かけてしまう!あっ、治るまでここに置いてくれてありがとな!」
俺の言葉に少女たちは「は?」と口を揃えて言う。
「貴方帰れないわよ」
巫女服の少女は俺にキッパリと言った。
俺は立ち止まり少女を見る。
「どういうことだよ?」
「ここは"幻想郷"。つまり、貴方がいた世界とは違う世界なんだから」
「は?どういうことだよ」
「とりあえず座りなさい。今貴方が置かれている状況について説明するわ」
俺が座ると巫女服の少女は説明してくれた。
少女の説明ではここは幻想郷という世界であり、俺がいる世界とは違うとのことだった。
俺が普段生活している世界はこの幻想郷では外の世界と呼ばれているらしい。
この幻想郷では、外の世界ではあり得ないものが住み着いている世界なのだそうだ。
「あり得ないものってなんだよ?」
「貴方もあったはずよ?」
巫女服の少女が言っているのはおそらく子供の姿をした化け物のことだろう。
「こっちでは妖怪って呼んでるんだ。お前も名前くらいは聞いたことあるだろ?」
黒い服の少女に俺は「あぁ」と返事する。
「この幻想郷には妖怪なんて当たり前のように存在しているの。
もちろん貴方のような人間もいるわけだけど」 巫女服の少女は説明を続ける。
「普段この幻想郷では外の世界の人間が入らないと同時に幻想郷の住民も外の世界には行くことができない。結界があるからね。それに幻想郷の妖怪は人間を襲ってはいけないし、自然災害などから人間を守らなければいけないという決まりがあるの。幻想郷を維持するためには人間と妖怪のバランスも大事だからね」
俺は今の説明で気になることがあった。
「じゃあ待て。それじゃあ俺が今ここにいる理由は?それにあの化け物は俺を食おうとしたぞ?それって幻想郷っての決まりを破っているんじゃないのか?」
「この幻想郷の決まりは例外があるの。確かに幻想郷の妖怪は人を襲ってはいけないし、守らなければいけない。ただ、これは"幻想郷に元から住んでいる人間だけ。神隠しでここに来た貴方には適用されない"わ」
「神隠し?」
「外の人間が何らかの原因によって幻想郷に迷い込むこと。最近多いのよ。神隠しによって幻想郷に迷い込む人間たちが」
それって、真と買い物した時にみた行方不明の被害者ってみんな幻想郷に迷い込んだってことか!




