1ヶ月のサバイバル生活始まります5
-夜-
拠点にいた俺は何者かの気配を感じた。
「おい!答えなくていいから聞いてくれ!」
俺は何者かに言う。
「飯美味かった!ありがとう!」
俺は竹の棒を構える。
「ただ、やられた借りは返させてもらうからな!」
その言葉を合図に、俺に向かって炎の弾が襲ってきた。
俺は炎の弾を避けると、放たれた方向へと走る。
一定の距離走っていると、今度は右側から炎の弾が。
それも避けると右側へと走る。
走っている俺を別の所から放たれた炎の弾が襲う。
避けてまたその方向へと走るだけでは、キリがない。
仕方がないがやるしかない!
炎の弾は俺に当たった。
「ぐっ・・・!」
炎の弾が当たって怯んだ俺に次々と放たれた炎の弾が襲う。
「がっ・・・」
俺はその炎の弾を全て受け、力尽きたように倒れた。
少し経つと、倒れた俺に何者かが近づいている気配がする。
「おい、さっきの威勢をあげてその程度かよ?」
何者かが俺に話しかけた時、俺はすぐに起き上がると、その者に向けて竹の棒を振るった。
「なっ・・・!」
何者かに竹の棒は当たらなかったが、俺はやっとその者の姿を見ることができた。
その者は、白髪の長髪で、赤いもんぺを着用している少女だった。
「やっと姿を確認できたよ。アンタがあの時俺をフッ飛ばしたんだよな?」
少女はすぐには答えなかったが、やがて「はぁ」とため息して答える。
「本当はお前に見られないように遠くから炎を出すくらいにしようかなと思ってたんだけどな。まさか、こんな方法で姿を見られるとはな・・・。あぁ、合ってるよ。私があの時お前を蹴り飛ばしたんだ」
蹴りだけであんなに飛ぶものなのか・・・
彼女も霊夢たち同様かなりの力を持った幻想郷の住人だろう。
おそらくあれでも加減された方ではないだろうか。
俺は竹の棒を構える。
「さて、正体もバレたんだ。前の罠にかかった時のように飛んで逃げるのだけは勘弁なんだが・・・」
「あぁ、姿を見られたんだ。もうあんな小手調べのような事は今後はやめてやるよ。ただ、少々痛い思いはしてもらうかもしれないが、構わないか?」
「あぁ、いいよ。姿が見える分、こっちもやりやすいからな!」
俺と少女はお互いに走った。
俺は竹の棒を振る。
少女は竹の棒を手で掴んで止めると、竹の棒を握力だけで折った。
「なっ!?」
それに驚いた俺に少女は右の拳を俺に向けて放つ。
竹の棒を簡単に握り潰す握力だ。
まともに受けたらヤバイかもしれない。
俺は拳を左手で受け止め、その勢いで少女に背を向けると、右手で少女の腕を掴んでそのまま背負い投げをした。
「うわっ!?」
受け止められた上に背負い投げされるとは思わなかったのだろう、驚いた声を出したが、少女は倒れることなく、左手で身体を支えると、体操競技の選手みたいに空中で1回転して着地した。
「やるじゃん」
少女はにやけ笑いをしながら俺を見る。
まるで戦うのが楽しいかのように。
「じゃあ、次はこれ受けれるか?」
少女は俺に向かって右足で回し蹴りを放った。
「くっ!」
これを避けるには・・・
俺は姿勢を低くして回し蹴りを避ける。
そしてその姿勢のまま、少女の左足めがけて竹の棒を振るう。
しかし、少女は回し蹴りの体勢から左足を軸にして跳ぶと、右足を地面につけて、左足で回し蹴りを放った。
「グッ!」
左足のかかとの部分が俺の左頬に当たって俺は右側へと倒れ込んだ。
「痛・・・」
流石に痛い・・・
歯が1本も抜け落ちなかったのは奇跡かもしれない。
「ふぅ・・・」
少女は倒れている俺を見る。
「なかなか楽しかったよ。続きは明日だな」
少女は背を向けて去って行った。
「くっ・・・」
俺はその後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
-29日目-
あの日から少女と毎夜戦ったが、全く有効打を加えることができずにとうとう最終日前日の夜を迎えてしまった。
俺は起きると竹の棒を持ち、拠点の前に立つ。
「今日こそは決着をつけてやる・・・」
俺は少女にやり返すためにあることを考えていた。
少し待っていると、奥の方から少女が歩いて来た。
「よっ、今日を入れてあと2日だな。よく頑張ったと思うよ」
「俺としてはなんとしてもアンタにやり返したいんだがな・・・」
「ははは!出来るといいな!」
少女は笑いながら返事をする。
「それじゃあ、やるか」
「あぁ」
お互いに構えをとる。
先に動いたのは俺だ。
少女に向かって行くのではなく、右側へと走る。
「おい!どこ行く気だよ!」
少女も後を追いかけてきた。
とりあえずある場所まで走る。
数分走り、ようやく目的の場所に着いた。
その場所は、竹があまり生えていない開けた場所だった。
俺は目的の場所に着くと、振り返り竹の棒を構える。
「なるほど、開けた場所で勝負を挑もうってか」
少女は周りを見ながら呟く。
「悪くないだろ?」
「あぁ、悪くない」
俺と少女はお互いに構えると、同時に駆け出した。
「シッ!」
竹の棒を横薙ぎに振る。
少女は一歩下がって避けると、右手から炎を出し、それを俺に向かって放つ。
俺はそれを右に走りながら避けると、ポケットから小石を取り出し、少女に向かって投げる。
「おっと」
石を避けた少女に俺は竹の棒の射程距離まで詰めると竹の棒を頭めがけて振った。
「慧音のようにはいかねぇよ!」
少女はそれを避けると、両手を俺に向けた。
「これでもくらいな!」
少女は両手から炎を放った。
しかし、炎は今までの大きさを遥かに凌いでいた。
今までの大きさは野球ボールくらいのサイズだったが、今回のは1メートルはあるくらいの大きさだ。
「くっ・・・!」
そして、俺が今いる距離を考えるとこの炎を避けることは無理に等しかった。
「うおぉぉぉお!!」
俺はその炎に向かうと、炎の中に入った。
そして炎から抜け出すと、少女に向かって竹の棒を振った。
「なっ!?」
流石に炎の中から出てくるとは思わなかったのか、少女は竹の棒を両腕でガードした。
「防がれたとはいえ、やっと当たったな」
所々焦げているところも気にせず俺はニヤリと笑みを浮かべた。
「確かにな。でも、このくらいで満足するほどじゃないんだろ?」
「勿論だ。次で決めてやるよ」
俺は少女から距離をとると、竹の棒を両手で持って構える。
その構えは剣道では一般的な中段の構えだった。
「へぇ、次でね」
少女は笑うと、両手に炎を纏った。
「じゃあ、こっちも次で決めてやるよ」
炎が纏っている拳を握りながら、少女は俺に向かってきた。
少女は拳を俺の顔目掛けて放つ。
「死なない程度に加減はしてるがかなり痛いぜ!」
「・・・」
少女が拳を放ってきても俺はまだ動かない。
少女の拳が俺の顔まで数センチくらいになると、俺は動いた。
少女の拳を右に回るにして避けると、その拍子に上に振り上げた竹の棒を少女の頭目掛けて思いっきり振り下ろした。
「面ッ!」
剣道をやっていたからか、思わず出てしまった言葉。
俺が振り下ろした竹の棒は少女の頭に振り下ろされ、衝撃が強かったのか真っ二つに折れた。
「っは・・・」
少女はその場に倒れ込んだ。
「・・・やった」
俺は倒れた少女を見る。
「やって・・・やった・・・ぜ」
俺は仰向けに倒れた。
やっとやり返すことができたからか、一気に疲れが襲いかかり、俺はその場で眠りについた。
「妹紅!岳さん!」
2人の勝負を見ていた慧音が2人に向かって駆け寄る。
「大丈夫か!妹紅!」
慧音は近くにいた妹紅を起こそうとする。
「あ~、痛てて・・・」
頭をさすりながら上半身を起こした妹紅。
「妹紅、大丈夫か?」
「あぁ、慧音か。問題ないよ」
妹紅は倒れて眠っている岳を見る。
「コイツを運ぼう。それにしても・・・」
妹紅は倒れている岳の頭を撫でる。
「今日までよくやったよ」




