冥界で迷子です2
「はい、ここは岳さんのような人間が本来来るところではないんです」
「え?それってどういう?」
「ここは冥界です」
「め、冥界?」
「わかりやすく言うと、あの世です」
「あの世ってあれか?死後行く世界ってやつ?」
「まぁ、そうですね」
「え?それって、俺死んだとか言うことじゃないよね・・・?」
「あっ、それは大丈夫です」
とりあえず死んだことはないみたいだ。 ひとまずは安心といったところか。
「俺がここに長居とかしたらやっぱり危ないかなぁ?」
「そうですね・・・。長居することについては問題ないと思いますが、とりあえず幽々子様にお会いになってはどうです?白玉楼の中を案内したいですし」
「そうか?ならそうさせてもらおうかな」
「はい、それでは付いてきてください」
妖夢の後に続いて白玉楼の門の中に入る俺。
入った時目に入ったのは屋敷の庭にある橋がかかっている池。
やはり京都の屋敷に入ったような気分にさせる場所だった。
妖夢に続いて屋敷の中を歩く。
屋敷の中はこれといって変わったところはない。
普通の屋敷に入ると同じような間取りだろう。
ただし、違うところがあるとすればそれは台所だろう。
台所と言うか厨房と言った方が良いのだろう。広さはかなりある。
冷蔵庫やオーブンなどの電化製品も多くあった。
紅魔館のキッチンも広かったが、ここはその3倍はあるだろうと思うくらい広い。
「あっ、幽々子様!」
妖夢が幽々子と名乗る人を見つけたのか駆け出していった。
俺は彼女を追いかけると、妖夢が誰かと話していた。
その人は青色が主で白のフリルが付いた服を着ており、ピンク色の髪をした少女だった。
「あら妖夢、お客様?」
俺を見た幽々子が妖夢に聞く。
「はい、彼は古郷 岳さん。神隠しで幻想郷に迷い込んでしまった人間です」
「あらあら。そういえば紫からそのような話を聞いたわ。貴方が岳さんなのね」
幽々子は俺の前まで来ると手を差し出した。
「初めまして、白玉楼の主人、西行寺 幽々子です。貴方の話は紫から聞いてるわ。よろしくね」
「あっ、はい。よろしくお願いします」
紫という人物について俺は知らないのだが、とりあえず幽々子の手を握る。
握手を交わすと幽々子は俺にフフッと笑う。
「岳さんは驚かれないのね。私の手を触っても」
幽々子が何のことを言っているのか俺はすぐにわかった。
幽々子の手を握った時、彼女の手は氷のように冷たかったのだ。
ただし、俺は幽々子に頷くと
「ええ、妖夢からここが冥界だと言われた時に大体予想していましたので。むしろ、お手が温かい方が失礼ですがビックリしたかもしれません」
「あらあら、本当に面白い人ね。博麗の巫女が匿ってなかったらここに住んでもらってたかも。岳さん、歓迎するわ。ゆっくり白玉楼でくつろいでください」
「はい、ありがとうございます」
「妖夢、白玉楼の案内はしたのかしら?」
「はい」
「そう、なら一緒にお茶でもいかがかしら?」
「はい、ご一緒させてもらいます」
俺は幽々子と妖夢とお茶を飲んだ。
その間に俺は2人にここに来るまでの経緯と幻想郷で今何をしているかを話した。
「あら、あの悪魔のところで執事として働いているの?それは大変でしょうに」
「まぁ、 大変ですけど結構充実してますよ。みんな優しいですし」
「あら、あの悪魔に優しいだなんて、岳さんはとんでもなくお人好しなのかしら?」
「そうなのでしょうか。自分はあまりそう自覚してないんですけどね」
「私に初めて会っても妖夢と変わらないくらい普通に接してくれるんだから、とてもお人好しよ。普通だと幽霊の私に対して恐怖を覚えるか、良くて距離を置くかよ」
「そうですかね・・・。俺は幽々子様に会って思ったのはこんなに綺麗な幽霊がいるんだなぁって思ったんですけど」
「まぁ!」
幽々子が驚いたように声を上げる。
「あっ、すみません。気分を害したなら・・・」
「いいえ、ありがとう。初めてよ。そんなこと言われたの」
幽々子は俺の顔をじっと見る。
「なっ、なんでしょう・・・」
俺を見ている幽々子は目をキラキラさせると
「可愛い!食べちゃいたいくらい!」
いきなり俺に抱きついてきた。
「えぇえと!?」
どうしていいかわからない俺を妖夢が助けてくれた。
「幽々子様!岳さんが困っています!それに食べてはダメです!岳さんは食べ物じゃありません!」
妖夢は幽々子を俺から引き離した。
「もう、妖夢ったら、食べるのは冗談に決まってるでしょ」
「幽々子様が言うと冗談に聞こえないのです!」
「あら、酷いこと言うのね。でも、妖夢が岳さんのこと気に入ってるのは納得がいったわ。だって、私も岳さんのこと気に入ったもの」
どうやら俺は幽々子と妖夢に気に入られたようだ。




