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二次創作 東方project 神隠しに遭った青年  作者: 零月
第四章 それぞれの葛藤編
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弟子できました

幻想郷十二支はこれだ!

テストにはでないぞー


子年 ナーズリン

丑年 慧音

寅年 星

卯年 鈴仙

辰年 美鈴

巳年 諏訪子

午年 チルノ

未年 リア

申年 岳

酉年 文

戌年 椛

亥年 妹紅

妖怪の山。

天狗が収めているこの山は幻想郷の中でもとにかく目立つ。

外から来た神たちである神奈子たちが住む守矢神社があり、人間たちが参拝のため訪れているが、人間にとっては妖怪が多く危険な場所である。

その人間たちを守るのも任務としているのが白狼天狗である。

彼らは自身向上の為、鍛錬をしていた。

哨戒天狗用の駐在所から少し離れたところに白狼天狗たちの修練所があった。

「うわっ!?」

その声を出して1人の白狼天狗が尻もちをついて倒れた。

頬には殴られたような痣が付いた白狼天狗は少年であり、最近哨戒の任務についたばかりの新米白狼天狗であった。

そして、その少年白狼天狗に喉元に剣の切先が向けられた。

「・・・ま、参りました」

少年白狼天狗の言葉に剣が下げられる。

その剣を持っていたのは少年白狼天狗と同じくらいの歳である別の少年白狼天狗だった。

見た目は10代後半くらいに見えるが、歳だけで言えば50歳をゆうに超えている。

そんな彼らは現在、実戦をかねた模擬戦をしていた。

「そんなんで哨戒の任務が務まるかよ」

「・・・」

剣を向けていた少年白狼天狗の言葉に、倒れていた少年白狼天狗は何も言わずに起き上がる。

「何か言ったらどうなんだ?それともビビって声も出ないのか?」

「ホント、お前弱すぎだろ!」

「人間の男より弱いんじゃねぇの?」

剣を向けていた少年の言葉につられるように彼の周りにいた数人の少年白狼天狗たちが蔑み笑った。

「・・・」

蔑まれた少年白狼天狗は何も言わなかった。

いや、言えなかったの方が正しいかもしれない。

悔しさから拳を握っている少年白狼天狗だが、彼らの言っていることも事実だったからである。

少年白狼天狗は新米の中でもとりわけ実力がなかった。

自分の実力のなさに悔しい思いをしていた少年白狼天狗、その少年白狼天狗を蔑み笑う他の白狼天狗。そんな彼らたちに声をかける者がいた。

「そこ!何をしているのですか!」

声をかけたのは同じ白狼天狗であるが、実力は彼らのはるか上をいっている少女、椛だった。

「も、椛さん!?」

少年白狼天狗を蔑んでいた者たちは椛の姿を見て整列した。

蔑まれていた少年白狼天狗も彼らの隣で整列した。

「何鍛錬を怠っているのですか!貴方たちは最近入ったばかりの新人たちですね?己の鍛錬を怠る者に成果はあげられませんよ!」

「はっ!はい!気をつけます!」

「それでは鍛錬を続けてください」

「はい!おい!やるぞ!」

「お、おう!」

蔑んでいた少年白狼天狗たちは各自鍛錬を始め、それに無言の息を吐いた椛は蔑まれていた少年白狼天狗を見る。

(はく)・・・またやられたようですね」

「す、すみません!自分の実力がないばかりに・・・鍛錬で己を磨きます!」

頬に付いている痣を見てため息混じりに呟く椛に、白と呼ばれた少年白狼天狗は頭を下げると鍛錬を続けようとしたが。それを止め椛は白に声をかける。

「己の鍛錬は大事ですが、無理はいけません。少し休んでから鍛錬をしなさい」

そう言うと、椛は去っていった。




数ヶ月前にあった対魔師による白狼天狗の被害から、白狼天狗の鍛錬はより実戦向きになった。

実戦をかねた鍛錬にしたことから白狼天狗たちの戦闘経験は上達した。

しかし、それによって負傷してしまう白狼天狗もおり、それが新米になるほど多いことに教官を任せられている椛は頭を抱えていた。

そして、彼女をさらに悩ませているのは今回哨戒天狗になった新米白狼天狗たちである。

彼らの中でとりわけ優秀な白狼天狗がいる。

彼は将来哨戒天狗の中でもかなりの実力者として有望視されている程だ。

しかし、その少年白狼天狗であるが、他の新米たちと共に同じ新米哨戒天狗である白を虐めているのだ。

椛もそれを知っており、何度も伝えたことがあったが、その時には何もしない彼等も目を離すと白を虐めているのだった。

「白だけを贔屓するわけにもいきませんし、親交や競争心を深めるためにも同期同士で鍛錬をさせていましたが、これは考え直さなければいけないようですね・・・」

椛は周りの哨戒天狗を見ながら今後の鍛錬について考え、そしてため息をはいた。



「おい」

椛が去った後、少年白狼天狗が白の胸ぐらを掴んだ。

「もしかして、椛さんの気を引きたいとしてわざとしているわけじゃないよな?」

「ち・・・違う!」

「本当か?」

少年白狼天狗の掴んでいる力が強くなり、白は振り解こうともがいた。

「おい、甲牙(こうが)!それくらいにしておけ!また椛さんに叱られるぞ!」

「・・・ふん」

甲牙と呼ばれた少年白狼天狗は白から手を離す。

「ガハッ!ゴホッ!」

「椛さんに憧れている白狼天狗は大勢いるんだ。あの方はお前のようなクズ白狼天狗でも気にかけてくれる良い方だが、それに甘えようとするなら俺が徹底的に潰す」

白を睨みつけていた甲牙は、やがて他の新米哨戒天狗たちと鍛錬を再開する中、白はその場から動くことができなかった。



「何で僕はこんなにも弱いんだ・・・。日頃の鍛錬は怠っていない。それでも、実力がつかない・・・」

ハァ・・・と、鍛錬のことを思い出しながらため息を吐きながら白は自分の家がある村へと向かっていた。

妖怪の山奥にある村から更に奥へと進むと、白狼天狗より上級の天狗達が住んでおり、山の頂上付近に大天狗たちが住む城がある。

現代の大天狗は昔、妖怪の山を支配していた鬼たち四天王を退けるほどの実力があると言われているが、もちろん白は会ったことはなく、城も見たことがなかった。

村へと向かっていた白はふと顔を上げる。

村へと向かう道の途中、少し脇道を通る必要があるが、守矢神社があることを思い出したのだ。

そこは人間も訪れている場所であり、様々なご利益を得ることができると聞いていた。

「守矢神社で勝負運でも祈願してみようか。少しでも神頼みした方が良いかもしれない」

白は守矢神社へと向かった。



白が着いた守矢神社には里の人間たちが数人いた。

この守矢神社の道のりは安全とはいえない。しかし、人間が訪れていると言うことは哨戒天狗である我々が守っているのもあるのだろう。

「でも、僕にそれだけの力はない・・・」

そう呟き、白は二度目のため息を吐いた。

とりあえず白は守矢神社の巫女の姿を探す。

守矢神社の巫女は参拝に訪れていた人たちと話をしていた。

話をしているようなので声をかけるのは少し待とうと思いしばらく待っていると、話していた人は巫女に礼をして去っていった。

よし、話かけようと思った白だったが、巫女は何かに気付くと上を見て手を振った。

どうしたのかと思った白は、巫女の前に降りてきた青年に気付く。

上から降りてきた所を見ると、どうやら空から来たようだ。

その青年は黒色のマントを羽織っていた。

背中には河童が作ったのだろう機械を背負っており、あれで空を飛んでいるのがわかる。

腰には札が貼られている木刀を下げている青年は早苗と話していた。

「あの人はたしか、文様の新聞に載っていた・・・」

白はその青年を知っていた。

彼は神隠しで幻想郷に来た外の世界の人間である。

しかし、人間であるはずだが、数々の異変を解決に導き、さらに吸血鬼が住む紅魔館の執事をしていたり、妖怪なら殆どの者が恐れる巫女がいる博麗神社に住んでいる青年。

「あの人ならもしかしたら・・・」

話していた青年が飛び立つのを見ながら白は何やら決心したように呟いた。

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