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二次創作 東方project 神隠しに遭った青年  作者: 零月
第三章 魔人になった青年編
201/239

元に戻りました?【前編】4

-輝針城-

「ふぅ・・・」

霊夢は倒れている正邪を見る。

「にしても見える範囲だけなんだな。逆転できるのは」

霊夢と魔理沙が正邪の気を引き、針妙丸が隙を突いて無力化させる作戦は上手くいった。

「さて、これでやっと異変解決に動けるわね。どうしたら解決するのかがわからないけど」

「おそらくそれはわかると思います」

針妙丸が霊夢に答えた。

「この霧や妖怪が暴れ出したのは打ち出の小槌の魔力が原因かと思われます。打ち出の小槌が破壊された時、いくつかの欠片が魔力と共に幻想郷のどこかへと飛んで行きました」

「つまり、それを全て見つけて元に戻したら異変は解決するってことか?」

「はい!」

魔理沙に針妙丸が頷く。

「なら欠片を探すしかないわね。はぁ・・・どこにあるのかわからないのを探さないといけないのか・・・」

「宝探しだと思えば良いじゃないかよ」

魔理沙が霊夢に答えた直後だった。

霊夢のスマホから着信音が鳴った。

「ん?こんな時に誰よ?」

霊夢はスマホを確認する。

スマホには岳の名前が出ていた。

霊夢はすぐに通話に出た。



『岳!どうしたの!?』

スマホの奥から聞こえる声に思わずビクッとしてしまった。

「えーと、霊夢・・・で良いんだよな?さっき会った巫女服の・・・」

『・・・ええそうよ!何かあったの!?』

どうやら知らない間に彼女の連絡先を登録していたようだ。

他にも知らない人の連絡先が登録されている。

どういうことなのだろうか・・・

とりあえず、先程の巫女の物であるなら伝えなければいけないことがある。

「ええと・・・それが・・・」

岳は霊夢に博麗神社付近で倒れていた少女の話を伝えた。



-紅魔館-

「っ!?うぅ・・・」

向かってくる妖怪たちを対処していたレミリアだが、突然頭を抱えて苦しみだした。

「お嬢様!?」

苦しんでいるレミリアの元へ、咲夜が駆け寄る。

「お嬢様!?お嬢様!?」

「うっ・・・グッ・・・アアアァァァッ!!」

苦しんでいたレミリアだが、大声をあげるとガクリと項垂れた。

しばらく項垂れていたレミリアだったが、咲夜に向き直ると、手にしていた槍を彼女に向けて放った。

「っ!?」

辛うじて躱した咲夜は驚きながらでレミリアを見た。

「・・・」

レミリアは何も言わず、狂ったような笑みを浮かべながら咲夜に向かって来た。

「くっ・・・!お嬢様!いきなり何を・・・!」

動きの速いレミリアに対して咲夜が出来ることは、時間を止めて避けるくらいのものだった。

いきなりどうしたというのか。

突然苦しみ出したと思ったレミリアだったが、その後いきなり襲って来た。

「まさか、操られているのですか・・・!」

咲夜が口を開いた時だった。

紅魔館の壁が内側から爆発した。

「っ!?」

壊された所を見ると、そこにはフランの姿があった。

眠っていたはずだが、起きたのだろうか。

しかし、それにしては紅魔館の壁を破壊して出てくるのはおかしい。

いくら破壊する程度の能力がある彼女でも無闇に紅魔館を破壊することはないからだ。

「まさか・・・」

咲夜が考える暇もなかった。

気付いたら目の前にいたレミリアが槍を振ってきたからだ。

時間を止める暇もなく、咲夜がいた所はレミリアの槍によって薙ぎ払われる。

「大丈夫ですか!?咲夜さん!」

「えぇ、助かったわ」

薙ぎ払われる瞬間に美鈴が助けてくれなかったら今頃自分はどうなっていただろうと、咲夜は美鈴に礼を言いながら思う。

「咲夜さん!お嬢様はいったいどうしたんですか!?」

「おそらく操られているわ。たぶん、妹様の方も・・・」

「え!?」

驚いている美鈴に対し、レミリアの隣にフランが立つと、2人で弾幕を放ってきた。

その弾幕の規模は大きく、咲夜と美鈴だけでは受けきれない。

そう思い、時間を止めて美鈴を連れて避けようと考えた咲夜の前に炎の弾幕が2人の弾幕を受け止めた。

「っ!?」

炎の弾幕を放ったのはパチュリーだった。

「パチュリー様!」

「咲夜!美鈴!貴女たちも放ちなさい!私1人だけだと受け切れないわ!」

パチュリーの言葉通り、ジリジリと押されているのがわかる。

「「はい!」」

咲夜と美鈴は弾幕を放ち、レミリアとフランの弾幕を相殺するのに成功した。

「こあには野良妖怪の方を任せているわ。私たちであの2人を止めるわよ」

パチュリーに2人は頷いた。



「旧都で鬼が暴れているですって!?」

魔理沙と針妙丸が霊夢を見る。

『あぁ、えぇと、確かこいしって言う人が言うには突然苦しみ出したと思ったらいきなり暴れ始めたらしい。彼女も命からがら助けを求めに来たらしいからな』

「こいしは大丈夫なの?」

『憔悴しているけど今はゆっくり休んでいるよ』

「鬼が暴れているのも打ち出の小槌の影響かもしれません」

針妙丸は言う。

「打ち出の小槌は、元々鬼が所有していた神器でしたから、もしかしたら打ち出の小槌の魔力が鬼を操っているかもしれません。正邪が襲ってきたのも納得がいきます」

「鬼・・・って言うと、もしかしてレミリアやフランも暴れているかもしれないぜ!?」

「鬼・・・」

霊夢は鬼という言葉で思い当たることがあった。

「岳!そっちに華扇はいる?」

『華扇?それって誰だ?』

「ピンク色の髪をした仙人よ!今そっちに居る!?」

『いや・・・ん?あれは・・・』

その言葉が聞こえてきた後、スマホの向こうから何かが激突する音が聞こえた。

「岳っ!?」

霊夢が呼びかけるが、スマホの方から返事が返ってこなかった。



岳が霊夢と通話していた場所は博麗神社の裏側だった。

近くには誰も居なく、目の前には森が広がっている。

「おーい、何してんだ?」

「チルノちゃん、今話しているようだから邪魔しちゃダメだよ・・・」

「センセー何してるのー?」

裏側にやって来たチルノたちに目を向けると、スマホの向こうから霊夢の声が聞こえた。

『岳!そっちに華扇はいる?』

「華扇?それって誰だ?」

『ピンク色の髪をした仙人よ!今そっちに居る!?』

ピンク色の髪をした少女なら来た当初に見たが、今は見ていなかった。

「いや・・・ん?あれは・・・」

岳は木々の間を見る。

そこにはこちらに向かってくる人物がいた。

ピンク色の髪をした少女、華扇である。

しかし、向かってくる速度が速い。

顔は無表情で、手を真っ直ぐに伸ばし、前後に振って走ってくるその動きは、まるで人形のようであった。

明らかに異常な状態に岳はチルノたちに逃げるように伝えようとしたその時には華扇が目の前にいた。

「しまった!?」

華扇に身体を向けようとした時、華扇の拳によってフッ飛ばされた。

「ぐっ・・・!」

フッ飛ばされた岳は、博麗神社の壁に身体を打ち付ける。

「「「センセー!?」」」

サニーたちの声が聞こえる。

勢いは強く、かなり効いたと思ったが、身体はまだ動かせそうだ。

着ている衣類のおかげなのだろうか。

華扇はチルノたちの方へと向かっていく。

「こっち向かってくるよ!」

「かかってこい!チルノさまが相手だ!」

岳は近くにあった木の棒を拾ってすばやく起き上がり走ると、チルノたちの前に立った。

「「「センセー!」」」

「岳さん!」

「岳!大丈夫なのか!?」

後ろからチルノたちの声が聞こえる中、岳は木の棒を構える。

木の棒が役に立つかどうかわからない。

しかし、チルノたちに危険が迫っている以上、彼女たちを守るために岳がするべきことはこれしかなかった。

華扇は相変わらず無表情で岳に向かってくる。

岳が木の棒で防ごうとした時、目の前に大きなトカゲが立ち塞がった。

サラマンダーである。

サラマンダーは身体から炎を噴き出した。

炎によって華扇はこぶしを止め数歩下がると、構えをとる。

すると、包帯が巻かれている右手の形状が変わっていった。

まるで獣の顎のように形を変えた右手をサラマンダーに叩きつけようとする。

「サラマンダー!」

獣の顎がサラマンダーに当たる直前だった。

「うおぉぉぉお!!」

その声と共に突然女性が華扇に向かって頭突きをした。

華扇は頭突きによって地面に倒れる。

「はぁ・・・はぁ・・・」

頭突きをしたのは腰まで届きそうな長い青いメッシュの入った銀髪をした青い服を着た女性だった。

かなりの威力だったのか、額から血が流れている。

「・・・岳さん、サラマンダー、私の生徒を助けてくれてありがとう」

女性はこちらを見る。

「あとは私に任せてくれ。生徒たちを守るのは教師の役目だからな」

『慧音先生〜!!』

「藍様!こっち!」

「なっ!?何だこれは!いったいどうなっている!?」

橙に連れられた藍がやって来た。

「いったいどういうことだ!?」

「彼女がどういうわけか、岳さんたちを襲って来たんだ」

慧音が藍に説明する。

「なんだと・・・!」

藍が華扇を見る。

華扇はゆっくりと起き上がって来た。

その目を見た藍は華扇に向かって構える。

明らかに異常だと判断したのだろう。

その隣に慧音が立った。

2人して華扇に構えをとるが、振り返り岳を見る。

「岳、君は橙たちを頼む」

「生徒たちをよろしく頼むぞ?」

藍と慧音に頷くと、岳はチルノたちやサラマンダーを連れて境内へと向かった。

「・・・行けるか?」

藍は慧音に尋ねる。

慧音は額から流れている血を拭いとった。

「あぁ、額の怪我は大したことじゃない」

藍と慧音は頷くと華扇へと向かっていった。

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