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二次創作 東方project 神隠しに遭った青年  作者: 零月
第三章 魔人になった青年編
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お友達探しです

「ただいま・・・」

俺はこっそりと博麗神社の戸を開ける。

仕事が終わり、少し休んだ後、紅魔館から帰ってきた俺は部屋の戸を開けた。

「さて、少し寝るとするか」

俺は布団に潜り込むと、目を閉じた。



どのくらい寝ていただろう。

俺は身体にかかる重みで目を覚ました。

勢いよく身体に乗った訳ではないようなので痛くはなかったが、おそらくリアだろう。

寺子屋に行く前に起こしに来たのだろうか。

「・・・リア、おはよう」

「おはよう!お兄ちゃん!」

今の声はリアじゃなかった。

しかし、聞いたことのある声に俺は彼女に挨拶をする。

「おはよう、こいしちゃん」

身体の重みが離れたので、目を開けて上半身を起こすと、そこにはこいしが居た。

そばに置いてあった時計を見ると針はちょうど9時を差していた。

もう少し眠っていたかったが、せっかく来てくれたのにこのまま寝るのも悪いと思った俺は伸びをすると起き上がった。

「お兄ちゃん、来ちゃった!」

「あぁ、いらっしゃい」

俺はこいしと共に居間の方へと向かう。

「今日はリアに会いに来たのか?」

「うん!でも、居なかったね。今どこにいるの?」

「この時間なら寺子屋で勉強中だよ」

「寺子屋?」

「うん、人間の里で見たことない?子供が勉強している場所」

俺はこいしと共に居間に入る。

居間では霊夢がお茶を飲んでいた。

「おはよう霊夢」

「あら、早いわね。まだ寝ているものだと思っていたわ」

「俺も寝るつもりだったけど、こいしちゃんに起こされたからな」

俺の言葉で霊夢はこいしの存在に気付いたようだ。

「アンタ、本当に居るって言われないと認識出来ないわね・・・岳の光学迷彩以上じゃない・・・」

「いいもん、お兄ちゃんには気づいてもらえるから!」

ため息をつきながら言う霊夢に、こいしは俺が用意した座布団に座って答えた。



「こいしちゃん、今日はリアと遊びに来たんだよね。今から人間の里にでも行く?」

簡単な食事を済ませた俺はこいしに尋ねた。

まだ寺子屋は終わっていないが、会いに行くくらいなら可能だと思い俺は提案したのだが、こいしは首を振った。

「うんん、大丈夫。リアにも相談しようと思ったけどお兄ちゃんに言うね。今日はお願いがあって来たの」

「お願い?」

「うん、お姉ちゃんについて」

こいしの姉は古明地 さとりで、こいしたちが住んでいる地霊殿の主である。

覚妖怪で、サードアイと呼ばれるものを持ち、これにより、相手の思想を読み取ることが出来る。

そのさとりについてこいしは何か言いたいようだ。

「さとりさんについて?」

「うん。お願いがあってね、お姉ちゃんっていつも地霊殿にいてね、だからペットたち以外とそんなに接することもないの」

そういえば文も引きこもりとか言っていたような気がする。さとりはアウトドア派と言うよりはインドア派といった感じだ。

それに俺が会いに行くときは書類とにらめっこしていたりと、仕事をしているので出掛けたくても出掛けられないのではないかと思う。

「お姉ちゃん、ペット以外の友達が居ないの。だからね、お兄ちゃんにお姉ちゃんの友達になってくれる人や妖怪を一緒に見つけて欲しいの」

「なるほど」

「お兄ちゃん、お願い!私と一緒にお姉ちゃんのお友達探し手伝って!」

俺はこいしに頷いた。

「いいよ。さとりさんの友達探しを手伝うよ」

「ほんと?ありがとうお兄ちゃん!」

俺の言葉にこいしは嬉しそうに答えた。

初めて会った時と比べると、彼女のその表情は違和感を覚えない。

俺はその嬉しさを込めてこいしの頭を撫でると、友達探しを手伝った。



俺とこいしは妖怪の里にいた。

妖怪の里には相変わらず様々な妖怪がいる。

今でもここでは光学迷彩のマントを使うのだが、今回はそれを使うわけにはいかない。

「それにしても、友達を探すって言ったけど、さとりさんはこのこと知ってるの?」

「うんん、お姉ちゃんには内緒。お燐やお空にも内緒にしてるんだよ」

俺とこいしは妖怪の里を歩くが、すれ違う妖怪たちが俺の姿を見ていた。

「やっぱり人間が来るところじゃないよな・・・」

妖怪たちを見ながら俺は呟いた。

こいしはまわりをきょろきょろ見ている。

俺もその横を歩いていると、路地裏の所にちょこんと立っている黒猫に気付いた。

普段あまり見ない猫を珍しいなと感じていると、突然こいしが声を出した。

「あ!お兄ちゃん!あれお友達になってくれないかな?」

こいしが指をさした。

「ん?・・・ゲッ!?」

こいしが指をさした先にいたのは一つ目の大男だった。

身長はざっと3メートルくらいの男。

見た目で判断してはいけないのはわかるが、俺は友達には向かないと感じた。

「こいしちゃん、あれはやめよう」

俺はそう言うと、こいしの手を引き大男から離れる。

しかし、大男が俺に気付いたようで、話しかけてきた。

「おおう?人間じゃねぇか!なんでこんなところに人間が居るんだ?」

話しかけられた以上無視するわけにもいかない。

「・・・」

しかし、何て答えたら良いだろうか。

「お姉ちゃんの友達を探しに来たの!ねぇ、お姉ちゃんの友達になってくれない?」

「ちょっ!?こいしちゃん!?」

「・・・おい、誰と話しているんだ?」

大男は俺に言う。

そうか、この大男にはこいしの姿が見えていないのか。

とりあえずホッと息を吐くのと同時に結局無視ということにしようかと思った俺は、こいしの手を引き大男から離れた。

「おい!無視してんじゃねぇぞ!とりあえず食わせろ!」

大男は無視されたことに怒りを覚えたのか、本心丸出しで襲ってきた。

周りで見ていた妖怪も、先を越されたとばかり悔しがる顔をしていた。

俺はこいしを抱き上げると、大男近くの平屋の屋根に跳び乗る。

「ったく・・・襲われるくらいなら人間の里で探せば良かったかな・・・」

俺はこいしを下ろす。

「こいしちゃん、しばらくここに居てね?」

「うん、わかった」

こいしの返事を聞いた俺は木刀を抜くと、大男に向かっていった。

「このやろう!人間のくせに!大人しく食われろ!」

大男が放ってきた拳を避けると、地面についた拳を踏み台にして大男の頭上に跳び、頭に向かって木刀を叩きつけた。

「ぎゃぁぁぁあ!!」

木刀を叩きつけられた大男は悲鳴をあげると、その場に倒れた。

気絶しているだろう、おそらくだが死んではいないはずだ。

「ふぅ・・・」

俺は周りの妖怪を見る。

俺を襲おうとしていた妖怪たちは俺がただの人間ではないと気付いたのか去っていった。

「おまたせ、さぁ、別の場所で探そうか」

俺はこいしが居る屋根の上に跳び乗ると、こいしを連れて妖怪の里から出た。


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