第1章 この男勇者になる
作物が実る町--プロデント
自然豊かで町にも活気がある。大きな町ではないがみんな仲が良く助け合って生きている。そんな町で僕はお世話になっている。
「セプラ!! おじさんが倒れて都市に穀物が届けられないんだ。悪いが届けてきてくれないか?」
「いいけど……おじさん大丈夫?」
「ただのぎっくり腰だから大丈夫だ!」
笑いながらそう言うシャドウは僕の友人である。シャドウと僕はおじさんの家にお世話になってる言わば厄介人だ。村の人達からは煙たがられるがおじさんとシャドウが居てくれたおかげで辛いと思ったことがない。
「町の外は危ないから俺が行くべきなのにすまないなぁ。」
「別に大丈夫だよ。……それに魔物とあったことないし。」
苦笑いしながら僕はそう答えた。シャドウが申し訳そうに言うのも仕方ない。町の外は魔物が出るからだ。魔物は人を襲うと恐れられている。しかし僕は不思議と魔物とあったことがないのだ。だから村人に嫌われてるのかもしれない。まぁ見た目のせいでもあるが……
「セプラ早く家に戻ろう。今晩しっかり休んで明日都市に届けてくれ。」
「別に今から行ってもいいだろう?」
「お前馬鹿かよ……夜の森は危険っておじさん言ってただろ? 」
僕は確かに……と呟いた。その言葉を聞いてシャドウは片手をおでこにあて呆れていた。
僕達は小さい頃からおじさんに夜の森は絶対に近くなと教えられていた。なぜなら魔王の城があるかららしい。しかし魔王の城など誰も見たことない。ただの噂に過ぎないが僕達はずっと信じて生きてきた。まぁおじさんが意味のない嘘などつかないから当たり前だ。
「ぼーっとしてないで早く帰るぞ? ぎっくり腰のおじさんが心配だ。」
「それもそうだね。早く帰ろうか!」