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内気少女の怪奇な日常 ~世与町青春物語~  作者: 彩葉
番外編

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3、ドリームキャッチャー(ほのぼのショート)

※ドリームキャッチャーとは北アメリカの少数民族の伝統的な魔除けの装飾品である。


「悪夢を捕らえる」とされるクモの巣をモチーフとしており、下にある羽根飾りは寝ている者に「良い夢を垂らす」という。

現在では主にアクセサリーや装飾品として流通している。



 ある休日、ショッピングモールの雑貨屋にて。

竜太は一つの商品──ドリームキャッチャーの前でピタリと足を止めた。


 その品にはソフトボール大の白い綿毛のような「なにか」が引っ掛かっている。

もがくようにモゾモゾと動いているその綿毛は、どこからどう見ても以前ハルに紹介した「招き綿毛」であった。


(これはどう見ても捕まってる……よなぁ……)


 一体どこの何がどう絡まっているのやら。


 いかにも鈍くさそうな白いフワフワは、まるで網から逃れたがるようにフルフルと音もなく震えている。


 引っ張って助けてやるか、そのまま購入してケサランパサランのように飼うか、いっそ見なかった事にするか──


(宮原のじいさんもハルさんも、触ったら可哀想って言ってたけど……)


 竜太の中で好奇心と良心と二人の言い分がせめぎ合う。


 その結果──


(この場合は不可抗力だよね)


 恐る恐る綿毛を摘んで引っ張ってみれば、いとも簡単に網から外れた。

触ったという感触は一切ない。


 ほよん


 ふよん ほよん


 自由の身になったソレは、空中で数回跳ねると何の感慨も無さそうに薄れて消えてしまった。


(ま、そんなもんか)


 別に感謝されたかった訳でもない。

むしろ竜太は数年に渡る「触ってみたい」というささやかな願望が叶った事に感動を覚えていた。



 数日後。


「ハルさん、これあげる」


「わ、何?」


 ハルは雑に押し付けられた品を戸惑いつつも受け取った。


「あ、これ見たことある。えぇっと……ドリームキャッチャー? へぇ、悪夢を取ってくれるんだ。嬉しいけど……でも何で急に?」


「キャッチ性能自体は本物みたいだったから、何となく。福の泊もついてるしね」


「? よく分からないけど、ありがとう。なんか凄そうだし、大切にするね!」


 本当に大事そうにドリームキャッチャーを握りしめるハルに、竜太はどこか満足げに頷くのだった。


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― 新着の感想 ―
お久しぶりです。 最近また活動し始めた織花です。 「招き綿毛」、一度でよいから見てみたいです。 触れた竜太くんにハルちゃんにも良いことあるかも。 竜太くんが満足気に頷くところ、さすが両想いだぁと私も満…
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