2、新作・詩集
⑪『思うようにならないなりに』 大成博道
楽しさ第一、ノリ第二
笑って過ごせりゃ大正解!
遊びと部活に全力投球
勉強の方は……まぁさておき
今までの俺の生き様は、呑気で気ままなものだった
今までの俺の世界は無知で狭ーいものだった
「ひっ!?」
蠢く影、揺らめく細腕
暗い囁き、暗闇に光る無数の目
何処にいたって、俺は俺で
何処にいってもそれなりに上手くやれる筈だったのに
こんな出会いは聞いてねぇ!
恐れと不安を誤魔化して
笑って過ごして諦めた
友達作って部活に入ろう
恐怖の方は……まぁさておき
今までの俺じゃ考えられない程、環境作りに焦ってた時
今までの俺の近くに居なかったタイプの奴がいた
「お、席後ろ前だな。よろしくなー!」
「……宜しく」
いや全然「よろしく」ないツラじゃん
塩対応、見透かしたような険しい目
何処にいたって、俺は俺だ
何処にいってもそれなりに上手くやれる! と思いたい
「ぶっはー、お前愛想悪すぎ! それじゃ友達出来ねぇぞー? あ、部活とかもう決めた?」
「ウザうるさい」
何となく気になって
絡んだ結果が視え仲間
なにコイツ、妖怪怖くねぇの?
え、そこそこ怖い? 嘘だろ超真顔じゃん、変な奴!
新しく視えだした世界は
酷く怖くて不気味だけれど
新しく出来た友人達は
めちゃくちゃ頼もしい人ばかり
こんな出会いも悪くない
⑫『衝撃』 大成千景
ホントはね
引っ越しも転校も凄く凄ぉくイヤだった
友達と別れるのも、今まで当たり前に過ごしていた場所から離れるのも、何もかも
とにかくすんごくイヤだったんだ
新しい友達と上手くやれるのか
楽しく過ごせる場所を見つけられるのか、とか
そりゃアタシだって不安に思う事だってあるよ
そんな小さなモヤモヤも、いざとなったら何のその
妖怪ウジャウジャ、なんじゃこりゃ!
オバケもワラワラ、コラなんじゃ!?
この町ぜったい、かなり変っ!
おかげでアタシのモヤモヤなんて、全部ぜーんぶ吹っ飛んじゃった
代わりに新しい悩みは出来たけどね
うーん……ちょっと怖いけど、あいつらって殴ってやったら消えるのかな?
もし襲われそうになったら遠慮なんてしないんだから!
⑬『後方腕組み保護者ヅラ』大成千尋(チヒロ)
あぁもう、ダメダメ、そっちはダメだってばぁ!
うわヤダ、お願いこっちに回って! 避けて避けてー!
げげっ、それはマズいって。
ちょっとウソでしょ!? なんでそっちに行くの!?
ひぇっ、それはヤバい。普通にムリキモい!
わぁー!? もう! よりによってあんなのに目を付けられるなんて!
一緒にはいられなかったけど、ずっと一緒にいた家族達。
ほーんと、手のかかるお兄ちゃんとお姉ちゃんだよねぇ。
仕方がない!
私がいないとダメダメな二人の為に、もうひと頑張り……ふた頑張り……沢山頑張りしますか!
⑭『恋愛ビギナー』 持田昌生
不安と孤独の新学期
近くに君が現れた
安堵した
仲間のようだと
でも違った
君は孤独じゃない
羨ましかった
妬ましかった
でもそれ以上に憧れた
君は僕みたいに弱そうで
なのに僕より強かった
よほどよほど、強かった
そして何より優しくて
あっと言う間に恋をした
気付いて、気付いて、気付いて
歪んでしまった感情にとどめを刺したのは
よりにもよって恋敵
歪んでしまった恋心を終わらせてくれたのは
他の誰でもない君
悔しいけれど、悔しくない
正してくれてありがとう
⑮『笑顔にも種類あり』 三沢史昭
思い出すだけで叫びたくなるとか
穴があったら入りたいとか
ベッドに顔を埋めて足をバタバタさせたりだとか
そんな黒歴史が俺にも出来るだなんて
あの頃の俺は想像もしていなかった
クズな幼馴染、都合の良い友人達、浮気女
そんな奴らにお似合いの小狡い俺
人をいじって見下してバカ笑い
今思えば何があんなに楽しかったのか、まるで思い出せないけれど
人を舐めて嘲笑ってバカにして
群れなきゃイキる事も出来ない半端者で、思い出したくもないけれど
裏切られてからやっと気付く
本当の友人なんて、恋人なんていなかったのだと
これが因果応報ってか?
馬鹿馬鹿しい
くだらねぇ奴らとこれ以上ツルんでいられるか!
思いの外あっさり切れた悪縁に
「所詮はその程度の仲だった」と改めて思い知らされる
「……今までごめんな」
罵りもせず、嫌味の一つも零さない優しい二人に後悔が募る
謝罪を受け入れ、助けてくれたお人好し二人に不満も抱く
なーんて損な奴らだよ
「おーっす、持田、宮原。お前らまーた先公にパシられてんのかぁ?」
「「あ、三沢君」」
なーんで普通に接してくれるんだか
「仕方ねーから俺も手伝ってやんよ。俺の手、今なら特別に無料だぜー?」
慌てる二人の間に突撃すれば
返ってきたのは「ありがとう」
なーんて素直な奴らだよ
その言葉、そっくりそのままお返しするぜ!
……と言いたい所だけど、言葉にするのは難しい
「なはは、まー気にすんなって!」
今はただ
この二人の友人として、胸を張れる人間になりたいだけなんだ
<あとがき>
誰が何と言おうと詩です(自己暗示)




