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Artificial Intelligence War  作者: 東雲 良
第三章 人工知能戦争
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リペアテレサ、その正体6




「教えてくれ、フェリネア。彼女を元に戻すためにはどうしたら良い?」


「それは地下に彼女を収納し直しに行くには? という意味かね」


「ああ」


 フェリネア=グラフィックの質問に、結城陸斗はコクリと頷く。

 だが、肯定の直後、陸斗の頭に乗ったままだったメアリーの手がぶるりと震えた気がした。


「陸斗」

「あん? 何だよメア……」



 言いかけた時、何の脈絡もなく。

 ゴゴン……ッッッ‼‼‼ と、建物そのものを揺らす轟音が炸裂した。



「っ!? セレナ、何だ今の!?」


警告(アラート)。オブス襲来。建物そのものにもたれかかるようにオブスが到来しています。最新構造の建築とはいえ、免震耐震構造のいずれもが耐えられるかどうかは保証いたしかねます』


「避難経路を構築しろ!」


『いいえボス。不可能です』


「理由をアナウンス!」


『建物を囲むようにオブスが存在しているのですが』


「死角上にルートを構築しろよ。これだけ大きな建物なら全ルートを潰されているって事はないはずだ」


『オブスが三体います』


「っ!?」


『ええボス。状況的にはレッドクラスです。いくらオブスの頭が悪いとはいえ、動くものを追う程度の知能があるのであれば、ルート構築は困難を極めます』


「くそっ、どうしてここまで追い込まれる前に察知できなかった!?」


『研究所・リペアテレサのガードがやけに固いため、外部を監視するカメラに接続するのが遅れました。現在は衛星の映像を傍受しています』


「……リペアテレサよりも衛星の方が割り込みやすかったってのか?」


『いいえボス。衛星を乗っ取ったというよりも映像を受信する電波に割り込んだというべきでしょうか』


 ともあれ、それは置いておこう。

 大きく舌打ちする。


 どうするべきだ。

 三体ものオブスがこの場を囲んでいるのであれば、打倒はおろか逃亡すらも難しい。メアリーの力を使えば多少の抵抗は可能かもしれないが、今度はフェリネア=グラフィックという情報源もいる。


 この少女を危険に晒す訳にもいかない。


 知恵熱を出す陸斗に、さらにセレナが注意事項を飛ばす。


『ボス。それに当初の目的を達成できていません。レアメタル回収のタスクが未達成ですがどうなさいますか? 一度出直すという選択肢もあります』


「くそッッッ‼」


 地団駄を踏んでも、この状況が好転する事はない。


 今必要なのは打開策だ。


 打倒は無理。


 逃亡も困難。


 停滞も愚行。


「っ」


 ……見逃している事はないか。この状況を打開するために必要なものは何だ。セレナが案を出してこないという事は、スーパーコンピューターでは算出できる合理的な方法は存在しない。


「……フェリネア」


 ならば。

 人間だけが持つ発想しか、この場では通用しない。



「……セレナがリペアテレサに侵入できないのはどうしてだ?」



「あん? そんなの……」


 反撃を始める。

 メアリーと、永遠に会えないようにするための反撃を。




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