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初級魔法をショボイと言わせない  作者: タロウ
第一章
7/22

テンプレ展開って大事なのかね

「準備はできたかの?」

「あぁ!」

本日はクロムと共に街へ行き、今度の攻略のための買い物した後に、クロムの知人の宿に泊まる予定である。

今回は二人だけの編成になるので、クミルやセリフィスはいない。

「よし行くかのう」

クロムが早朝、早々と家から出ていく。

やはり昨日のことを怒っているのであろうか。

「待ってよ!」

昨日のことは自分でも何であのような行為してしまったか、不思議ではならない。

勝てるはずもない、迷惑をかける可能性もあった。

そんなこと考えなくてもわかったのに。



家を出ると広い草原にぽつんと一台のコーチ型の四輪馬車が停めてあった。

「今日はこの馬車に乗っていくぞ。運転手に挨拶はしておけよ」

「はーい」

声音からは怒りは感じと取ることはできないが、いい加減子供扱いするのはやめて欲しい。

馬車前方、運転手席に向かう。


「今日はよろしくね」


俺を視界に捉えるや否や先に言われてしまう。

準備良すぎやしませんかね。

「こちらこそよろしくお願いします」

こちらも挨拶を交わすと農家のようなおじさんは微笑む。

「はよ乗らんか」

「あんたが挨拶して来いって言ったんだろう!」がと反抗したいが昨日の件もあるので、口に出すのを停止させる。

屋根が帆になった荷台に乗り込む。



「出発!」


その掛け声と同時に二頭の馬にムチを打つ。

出発を確認すると、クロムが口を開く。

「昨日は忙しくて言っておらんかったが、今日行く街、リーリカーリの街は北の地方でもそこそこ大きい街じゃ。まぁそんなところだ、当たり前だが勿論色んな人が行き交う。ので迷子になる可能性が極めて高い。特に何も考えずに行動する輩は。特に」

何故最後もう一回言わんでも俺に対して言っていることは明白ですよ~。

最初の切り出しから呆れた表情だったし。

「なので、基本わしと行動してもらおうと思っておるが、お主はこの世界初めての街じゃ。街を回りたいじゃろ?」

「何でそうなる?意外とそんな気が浮かばないと思うぞ」

話の流れから一日一緒に行動するものだとばかり思っていたが。

「いやお主だったら、絶対そうなる。というか少しはこの世界を楽しんでこい」

「根拠は微塵も感じられないが、クロムがそう言うなら」

仕方ないか。

「大丈夫じゃ。もしものときのためにお主にこれを渡しておくからな」

そうやって差し出された手のひらサイズの玉二つを受け取る。

「これは?」

「それはなフロガの魔法を打てば、その玉はたちまち燃え上がり、爆発する。祭りの最後にはよくそれを使うんじゃ」

それって花火みたいなものだろうか。

「名前はないの?」

「一応あるが、確か・・・」

予想は大体つくんだが。

「ボムフラですよ」

馬車の運転手が答える。

てっきり花火の文字を入れ替えるだけと思ったが、まさかそこで英語が出てくるとは、もう意味がわからんな。

「そうじゃ!はぁっはぁっ!」

納得したクロムは高笑いし、それに呼応するかのように馬車の運転手も笑う。

昨日はあんなに怒ってたのに。

ちなみに俺は尻の痛さに耐えるのが必至で笑う余裕など一切ない。

サスペンションのありがたみが身に染みるなこれは。

まだ街までは程遠い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



目の前にいたラリーゴは一瞬にして小さなキューブになっていた。

「何やっとるんじゃ!」

後方からクロムの声がする。

多分俺に対してだ。

でも振り向けなかった。

目の前で起こった現象。

でかいゴリラが一瞬にして小さなキューブになったのだ。

目を離さずにはいられなかった。

それにあの二人の攻撃。

見ているだけで興奮が止まらない。

もちろん、怖いという気持ちも存在する。

でもあんな風に魔法を使ったり、コンビネーションを見せられては恐怖より興奮がまさってしまう。

そして考えてしまうのだ。

これは自分にもできてしまうのではないかと。

しかしそれは現時点ほぼ不可能に近い。

魔法は初級魔法オンリー、パーティメンバーゼロ。

でもいつか。


「こらっ!」


そんな思考を一撃でかき消さすように重い衝撃を頭に受ける。

「痛っ!」

「痛っ!じゃないわい!心配かけよって!初級魔法しか使えん、戦闘経験ゼロのお主が行くとは命知らずにもほどがある!」

まったくもってその通り。

自分の感情だけが先走った結果、死なんてありえなくない話だ。

「ごめん」

「ごめんで済むか!」


「まぁそこまでにしといてください」


セリフィスがクロムを制止させる。

てっきりこの役はクミルと思ったが。

「ちゃんと僕たちが見ていたし、攻撃の範囲からは結構離れていました。一応安全は確保されていました」

見ていたって、あの状況下でか。

「しかしの!」

「過ぎたことなんですから気にしてもしょうがないですよ」

口論では完璧にクロムが抑えこまれていた。

「次はこんな無茶しないって約束してくれるか?」

やさしい顔でこちらに言っているように見えるが、瞳の中はまるで蛙を怯ませる蛇のようだった。

「わかった約束する・・・でも一つ教えてもらいたいことがある。そのキューブは?」

「あなたって人は怒られている状況が理解できているのか不思議ですね」

手で口を押えて笑っている。

「確かに虫がいいのはわかっているんだ。でも俺は色々知らなくてはいけないことが多すぎる。頼む」

俺はセリフィスに覚悟の強さを眼光に込める。

「仕方ありません。クロム。明日の移動中に話してあげたらどうかな?」

立場が完全に入れ替わり、クロムがただのかわいそうなおじいちゃんに見えてきた。

「そうじゃな。よかろう」

まだクロムの顔は怒っていた。

セリフィスに叱られたは誰のせいだと言わんばかりに。

「ありがとう」

俺は深々と頭を下げた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


地面が、がたついているせいか、馬車揺れる。

車酔いする人であれば口からキラキラを出している頃であろう。

「お主よ。わしに聞きたいことがあるんじゃないのか?」

そうやって聞かなければならないのは自分からなのに。

俺は卑怯だ。

自分から頼んでおいてクロムから話題を出させているのだから。

「キューブについてだったのう」

それからクロムは話を続けた。


キューブ。

モンスターの急所に強力な攻撃を加えるか、一定数のダメージを重ねることによってモンスターの耐久値がなくなったときに体が光の粒子になり、集合した後、生まれるもの。

原理は未だ判明していないが、このモンスターたちはこの世界に魔法を広めた魔女が元の動物に魔法をかけた結果誕生したものとされ、そのためキューブは魔力の塊とも呼ばれる。

キューブ自体現在は利用する方法が見つけられず、一般的にはガラクタ同然だが、世の中にはコレクターが存在しており、物によっては高値を付けるものがいる。


つまりキューブ自体はほとんど意味がないのか?

魔女が証拠隠滅のためにキューブに閉じ込めたとかないのだろうか。

というか本当に魔女の仕業なのだろうか。

「クロム。モンスター自体はいつから存在したんだ?」

「モンスターの存在がみんなに知られ、モンスターの存在が確定されたのはダンジョンが出現したくらいじゃ」

ということはダンジョン出現前にモンスターは存在したのか。

もうわけがわからん。


「もう着きますで旦那」


その掛け声で外へ体を乗り出し前方を覗く。

「あれは」

そこには一面塀が広がっていた。

「リーリカーリの街は大きな塀に覆われておる。昔モンスターがダンジョン外でおったせいでな」

「ダンジョン外でも出るのか?」

「まぁ数年前にダンジョンから複数のモンスターが出てきてな。わしらで駆除はしたんじゃが何匹か逃しての」

「今じゃ見ませんがね」

馬車の運転手が加わる。


「じゃまた明日呼んでくださいね」

そこで馬車の運転手と別れた。

「これから身体調査と荷物検査がある。モンスターを持っておらんかというものなんじゃが」

まずモンスターって持ち運びできるの。

「わかった」

門番の人に一通り検査されると、門の中に入れてもらえた。

「おぉ!」

「どうじゃ」

大きな建物。

ごった返す人々。

この世界に来てから初めて見る光景。

クロムが迷子になるという理由と見て回りたくなるという理由もうなずける。

「少しここら辺を見て回ったらどうじゃ?二時間後にあの時計台集合で」

「おう!」

クロムに少しであるけれど硬貨を貰っている。

もちろんここの硬貨のシステムもクロムから調査済みである。



「解散!」

と言う合図でクロムと別れたのはいいがここの地形を理解してない。

まず地図が描かれた掲示板を探すのが賢明みたいだ。


一時間経過。

全然見当たない。

せっかくの観光なのに。

「離しなさいよ!」

「喋るな売り物のくせに」

唐突に大通りから外れた小道の方から声がする。

裏路地の方からか?

試しに顔だけを覗かせてみる。

男集団が三人。

そしてボロボロの服を着て、手を縛られている女の人。

おいおいこんな街であんなことあっていいのかよ。

「あなたたちの好きにはならない!」

「うるせー女だな。やれ」

「あぁっ!」

リーダー風の男に指示され、他の男二人が拘束された女の人に向けてムチを打つ。


心では助けなくてはならないと理解している。

だが、体が動かない。

もし、俺がここで出れば救えるかもしれない。

でも、失敗したらどうだ?昨日は叱られただけで済んだが今回もそうなる保障はどこにもない。

俺はここでこの先の道を閉ざしてしまいたくない。

そうだ。これは俺に関係ない。

・・・。

そんな風に割り切れたらよかったのに。


「パゴス!」

手の魔法陣から放たれた氷が男たちの存在する近くの家の窓ガラスを割る。

「誰だ!」

「アニキここは」

「そーすっよ」

「そいつを連れて行け!」

「うぃーす!・・・っていません!」

「はぁ?逃げたのかあの尼。早く捕まえろ!」

「「うぃーす!!」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁっはぁっ」

「おい待てって!」

俺は氷の魔法パゴスを窓ガラスに当て、注意を引くことに成功し、あの女の人を逃走させるのに成功したのだが、女の人を助けようと思った矢先見失い、迷いに迷って大通りを走るその人を見つけて今の状況にいたる。


「君を助けたいんだ!」

まったくこちらに目を向けようとしない。

「ドラマの撮影?」

「何?青春劇?」

さっきから道行く人に変な誤解が生まれている気がする。

このままだとさっそくこの街に滞在しにくくなってしまう。

「おい!さっき魔法で窓ガラス割ったの俺なんだよ!」

え?

急に女の人が止まる。


「「バァン!」」

強烈な破裂音のような衝突音。



「きゃー大胆ね」

「うわぁ」

周りが騒がしい。

何だって言うんだ。

俺はゆっくりと目を開ける。

「あのっ」

目の前に顔を手で覆い隠す女の人がいた。

そしてその女の人に乗っかっている自分がいた。


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