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01.音の欠片、ガラスの破片。
恋愛臭はそんなしないかもしれないです。
それは、人間の、表現しきれないような激情の全てを表したような、耳をつんざくような、悲鳴のような、そんな音だった。
酷くうるさく、喧しく響き、胸に直接刺さるような痛みを覚えた。
それでいて、これ以上ない哀しさと、弱々しさを含んだ色をしていた。
「違う、なー」
次に聞こえたのは、不満げな声。
銀に輝く細長い鉄の塊の上を、細い指が踊っていた。
「うーん。イマイチ。このヘタクソー」
薄い唇が、楽しそうに歪みながらネガティブな言葉を紡ぐ。
「“私はどうしたい?”」
人に話しかけるように自身に語りかける声。
「私は――」
その言葉の続きは、また、激情を以て、表された。
「あー!違う違う!!」
それでもやっぱり、表現したいそれとは違うようだ。