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被告・上原透(殺人) 三日目Ⅷ
~3時間後~
「弁護人、まもなく開廷する」
いよいよか。この3時間は俺にとって、
そして被告にとっても有意義な時間となっただろう。
いや、これこらそれを証明するんだ。
「えー、それでは長い事捜査ご苦労様でした。
本日中には判決が出せるように努力しましょう……
検察官、どうかしましたか?
顔色がすぐれないようですが」
「……問題……ない」
そんな霞むような小声で言われると
説得力がまるでない。
「まあいいでしょう。さて、検察官。捜査の報告を」
今にも泣き出しそうな検察官が立ち上がる。
だから何があったんだよ……
「検察側は……本告訴を取り下げ、
改めて、ある人物への告訴を行う方針を固めました」
…………え?
「…………はい?」
検察官の細々とした声は液体窒素のように
法廷の空気を瞬間冷凍させた。
発声を出来たのは裁判長ただ一人だ。
「えー、はい。えー、その、それで、
そのある人物とは一体、誰の事ですか?」
検察官は深呼吸をし、息を整えてはっきりと言った。
「山村修……容疑者だ」




