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被告・上原透(殺人) 三日目Ⅰ
~東京地方裁判所・第二法廷~
「これより、上原被告の審議を再開します。
弁護側検察側、両者とも準備はできていますか?」
「検察側、問題ありません」
ここで問題ありますなんて答えたらどうなるんだ……
「べ、弁護側、準備完了していっす」
か、噛んだ!
「はい、結構です」
噛んだことを流されて恥ずかしさで頭を
抱えていると、俺の正面に構えている
検察官が立ちあがった。
「検察側は証人の入廷許可を請求します」
「請求を承認します。証人を入廷させてください」
証人というのは恐らく山村さんだろう。
山村さんは上原が部屋からあわてて
出てくるところを目撃している、
上原が犯人でないならば、必ず
証言のどこかに食いちがいがあるはずだ。




