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被告・上原透(殺人) 二日目Ⅳ
「あんまり関係ないかもしれないけど、いい?」
「どんな些細なことでも構いません」
「えっと、それは確か先週の夜中のことです。
お酒を飲んでたら上の階から口論が聞こえました」
この人、関西弁のほうがうまいな。やはり
アメリカンカンサイーズか。
「口論ですか。どんな内容でしたか?」
「よくわからない、酔ってたから。
あ、でも『この詐欺野郎』言ってたの覚えてる」
詐欺野郎……金銭トラブルかな。それは
上原にも当てはまる。
「他には、何かありませんでしたか?」
「あとは、それから2日くらい後から。
外に出るとたまに小さい銀色の粒が
落ちていたことがあった」
「銀色の粒?」
「そうです。それ拾ったの持ってます」
そういうと、デイビットさんは押入れから
小さいガラス瓶を持ってきた。
「これがそれです」
それがあれか。どれどれ、これは……
確かに、銀色の粒としか言いようがないな。
でも、もしかするとなにか手がかりになるかもしれない。




