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プロローグ
「233番、面会だ」
「この俺に面会? 誰だ? そんな物好きは」
「出版者の記者を名乗っている、どうする?」
「いい暇つぶしになりそうだ。受けますよっと」
少し前、今でも話題にする人は多い、
世界を騒がせたこの死刑囚様に
面会をしようなんてものがいるとはな。
まあいい、死ぬ前に一回こんな台詞を
つぶやいてみたかったんだ。執行まであと
何日かあるいは何年か、それは法務大臣の
右手みぞ知る。
「233番、入れ」
「味っ気ないねえ、名前で呼んでくれてもいいんだぜ?」
「どうもどうも、初めまして。帝都出版の鎌田ですー」