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スマホを育てる両親

作者: 雪道 蒼細
掲載日:2026/02/07

 「…」


 無音の空間。

 けれど同じ空間に三人の人間がいる。それは私と私の父と母だ。

 だが会話はない。

 父と母はとりつかれたようにスマホを触っていて私の方を見向きもしない。

 

 (もうずっと…こんな感じ。全然お母さんとお父さんと話してないな…)


 対する私は本を読んで時間を潰していた。

 朝ごはんが終わってからずっとこの状態だ。未知のウイルスが流行って外出が自粛されるようになってからずっと…。


 今の時代朝ごはんは電子レンジで温めれば食べられるものも多いし、後片付けも食器洗浄機と言う便利な機械がしてくれる。

 人間のやる仕事など昔と比べればかなり減っただろう。今中学生の私は昔の生活など知る由もないが、祖母が言っていたのだから実際そうなのだと思う。

 

 ーーーそんな家事での労力が減った世界では「効率」という言葉が飛び交う。


 長時間手間をかけて料理をするのは時間の無駄。

 ドラマやテレビをゆっくり見るのは時間の無駄。

 ぼーっとするのは無駄。


 無駄無駄無駄。


 現に父と母もよく言っている。


 私はそんな「効率」という言葉が大嫌いだ。


 人間は二十四時間平等に分け与えられている。

 そこから無駄な時間を省いて、やりたいことをする時間を増やすのだ。

 確かに「効率」は素晴らしいモノかもしない。


 だが、その省いた時間で何をするのだろう。スマホを触る?ゲームをする?

 先程も言ったが、家事の労力は減った。

 それだけでもかなりの時間を省いていると言える。なのになぜこれ以上省こうとするのだろうか。


 父と母はそんな省いた時間を使ってテレビを見ている。しかもスマホを使ってだ。

 私はそんな効率のいいこと人間ができるとは思っていない。

 テレビを見て、メールの返信などを行うのだ。

 人間がマルチタスクを行うことが不可能だと言っているわけではない。ただ、それでいて脳が疲れないのか、頭に内容が入っているのかと思うのだ。


 私は学校の宿題を行うとき、無音の空間でただひたすら問題を解いている。

 たまにスマホで雨の音などを流すがそれくらいだ。

 前に友達から、音楽を聴いて勉強していると聞いたが私がそれをやったところ勉強に集中することができなかったのだ。

 それでいて頭がとても痛くなった。


 なので音楽は聴く、勉強はするときっちり別けるようになった。


 そのような経験からマルチタスクは脳に負荷をかけるということを知った。

 効率した時間で自身の脳に負荷をかけているのだ。

 家事は身体に負荷をかけるが、脳には負荷をかけない。


 私はせっかく効率によって得た時間で自身を破壊するような行動をする両親を理解できなかった。 

 スマホだけ触るにしてもSNSで連絡を取ったりショート動画を見るだけ。

 それならまだ家事をしてた方がいいと私は思う。


 だが何故そこまでスマホを育てたがるのだろう。

 スマホは寄生虫の様だと私は思っている。人間の脳に寄生しウイルスをまいていく。

 たばこの吸いすぎ、アルコールの取りすぎ、食べ物の食べ過ぎ、なんでもし過ぎは害なはずなのにスマホの使い過ぎを注意しないのは何なんなのだろうか。


 私はスマホに侵食されるこの世界が嫌いだ。


 スマホが嫌いだ。


 だから私は今日も手間をかける。


 美味しい料理を作って、ゆっくりと本を読んで過ごすのだ。


 スマホになんか触ってやるか。


 これが私のスマホに対する小さな抵抗である。


 もしスマホが消えた世界に行けるのならば行ってみたい。


 (そうすればまた…父と母は私を育ててくれるかな。スマホを育てるのではなく私のことを…)


 だがそんな日は来ないと知っている。

 両親はすでにスマホに寄生されてしまったのだ。

 それを治す薬を私はまだ知らない。


 そんな薬があるのなら出会ってみたい。

 そうすれば寄生虫をこの世界から駆逐することができるのだから。

 

 

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