村案内②
「助けて…助けて…」
暗い謎の空間で一つの声が響いた
◆◆◆
キーンコーンカーンコーン
今いる場所はショウの通う高校。
通うと言ってもあまり来ていない
今日はとても大事な日だ。このゲーマーにとっては天国みたいなことが始まるそれは…
教卓に来た教師が口を開いて言った
「皆宿題はもらったな。では今日はこれで終了。明日から…夏休みだ!!」
「「おーー!!!」」
クラス皆の下校はあまりにも早かった。皆気づいたら教室を出ており、ショウは目を点にしてみていた
「ショ、ショウ君」
隣の席に座っている香菜が少しもじもじしながら話してきた
「どうした?」
「あ、あの…夏休みにある夏祭り行かない?」
香菜が言い切ったように息を切らしている
ショウは考えた。夏休みはずっとゲームをしていたい気持ちもあるし、昔から世話になっている香菜の頼みも断りづらい
「うーん…」
「そうだよね…ゲームやってて忙しいよね」
香菜は悲しそうにして、バッグを背負い、帰ろうとした。
「ちょっ待って!分かった。行こう」
香菜が扉まで歩いてたところ、すぐに後ろを向いて満面の笑顔でこっちに向かってきた
「本当にいいの?」
「あぁ。いいよ」
「やった!詳細はメールでねー!」
香菜はクラスメイトと負けないぐらいのスピードでルンルンしながら帰っていった
◆◆◆
ここはリーワーの中。家に帰った後すぐなゲームを起動してプレイしていた
「ショウ!今日も私が村の案内をするよ」
前回は自室でログアウトしたため自室で再開し、長老たちのいる部屋へ向かった。そこにシスがいて、元気満々にしている
「少し出るには早いんじゃないか?」
「そんなことない!さぁ、速く行こ」
シスがショウの手をつかんで引っ張って扉の外へ行き、長老が『今日も元気じゃのう』とか言いながら手を振っていた
誰もいない道をシスの隣出歩いているとフラカンの家の前に人影が見えた
「フラカンさーん、ラウニさーん」
村の鍛冶師のフラカンと農家のラウニが前で立ち話をしていた。そこへシスが手を振りながら家へ走って言った。ショウは『やれやれ』と思いながら小走りで後を追った
「おー、シスとショウじゃねぇか」
フラカンがこちらに気づいてシスとショウのところへ歩いて行き、その後ろでラウニも歩いて来た
「フラカンさん、ここで何をしてたんですか?」
ショウが純粋に聞いた
「ちょっとな…それより今日もシスに村案内してるのか?」
「そうです」
「今日はどこへ行くんだ?」
後ろで話を聞いているラウニか後ろから話してきた
「聞いても答えてくれないんだよ」
ショウがラウニの質問に軽く答えた。ショウの隣にいるシスは目をつぶって『うんうん』と頷いている。そしてラウニと会話をしていたらフラカンが割って話に入ってきた
「ショウ。なんでこいつには普通に話して俺には敬語なんだよ」
フラカンがラウニに指を差しながら話した。ラウニは少し勝ち誇ったような顔をしていた
「ラウニに普通に話してくれと言われたので…」
ラウニがシスと同じように『うんうん』と頷き、その様子を見たラウニが悔しそうな顔をした
「ショ、ショウ!俺にも普通に話してくれて構わないからな!」
「わ、わかりました……いや、分かった」
フラカンをまたもや『うんうん』と頷いた。
ショウの隣にいるシスが速く行こうと圧を感じるので2人に挨拶して別れた。フラカンは一緒に行きたそうだったけどシスの圧に負けてしょんぼりしていた
少し道に沿って歩いた。シスにどんな人かを聞いたが『一目見て驚くよ』としか言って来なかった
また少し歩くと家が見えた。その家は周りの風景とは全く合っていなかった。
見た目は金属でできた家に高い煙突から、変な色の煙が出ていたり、窓からはピカピカ電気が点滅していたり周りの家とは全然違った
「驚くってこういうこと?」
ショウが恐る恐る聞いてみる
「すごいでしょ!なんか…マドウグ?みたいなものを作ってるらしいよ」
魔道具か。このゲームでは知識があれば何でもできる。魔道具の専門的な知識があればプレイヤーでも作れるらしい。いろいろと勉強は必要らしいけど、俺は絶対にやりたくない
2人で歩き、鉄の家の近くまで行き、ドアを開けた。シスはなぜか少しドアから離れたところに立っていた。
「うわ!」
ドアを開けたら鉄の家からモクモクと煙が出てきた。シスはニヤニヤとしており、煙が出てくることがわかっていたんだと思う
煙が出てくる中家の中を見ると光がピカピカ点灯してたり、機械音がしたりここの村とは少し違った感じがした
「おーい」
後ろに立っていたシスがショウの前に行き、煙の中家の中に入っていった。シスからジェスチャーで『ショウも来て』と手で伝えて来たので恐る恐るシスの後ろで隠れながら家に入った
中に入るとそこはたくさんのパイプや太い銅線があちらこちらにあり、壁や床に魔道具らしきものが飾ってあったり、放置されていたりしていた
家の中を進むと大きな机を前に小さな背もたれのない椅子に座っている少女がいた
見た目は子供でブカブカの服を着ており、紫色の髪に目がかかって顔がうまく見えない。大きな机にはたくさんの魔道具の部品?みたいなものがあり、その机で少女が何か組み立てているような気がした
「おーい!ミアハ?遊びに来たよ」
シスが椅子に座っている少女のすぐ横に行き声をかけている。しかし少女は反応するどころかずっと作業をしている
「もー」
シスが呆れた顔をして体を乗り出して少女の前に顔を出した
「わあぁぁ」
少女は急に出てきて驚いたのか、ビックリした声を上げて椅子から落ちてしまった
シスが落ちた少女を抱えて立たせてあげた。立った少女はショウに築いた途端シスの後ろに隠れて顔だけ出していた。
小さくて可愛い子供だな。後ろに隠れて人見知りなのかな?
「ショウ、この子はミアハだよ。こんなに小さい子供だけど頭はすごくいいんだよ」
「こんにちは。俺はショウという。よろしく
」
手を出して握手をしようとしたがミアハはまたもシスの後ろに隠れて顔を隠してしまった
ショウは考えている。こういう可愛い美少女こそに棘があるということを。昔やったクソゲーでは可愛い少女の中身は実は100歳越えたジジイで可愛い言葉ばっか言っていたことを思い出した。
この子も実は実年齢100歳だったり…
「ミアハちゃんは何歳なのかなー?」
ショウは慣れない笑顔でしゃがんでミアハに聞いた。慣れない笑顔は所々ピクピクしていた
ミアハはシスの背中を叩いた後しゃがんだシスの耳に何かを話した。そしてシスが何かを聞いたようで頷き、シスが話した
「8歳だって」
ショウはそれを聞いた瞬間目と口が緩みだらしない顔をして、それに気づいたショウがすぐさまいつもの顔に戻した
「それにしてもすごいね。ここにあるの全部魔道具なの?」
ミアハはもう一度シスに耳打ちをした
「そうだって」
ショウは周りを見渡して魔道具を見た
「これは?」
ショウは現代で言うじょうろみたいな形の魔道具を見つけて聞いた
ミアハがシスに耳打ちをする
「それは雑草だけを生やす魔道具だって」
「へ、へー……こっちは?」
今度は見た目がかっこいい剣の形をした魔道具を指さした
「それは何でも通り抜けちゃう魔道具だって」
ショウはその魔道具を取り自分の腕で試したが本当に剣が自分の腕を貫通しただけで腕にはなんにも傷がなかった
これって…全く実用性が皆無なんじゃ…ミアハがキラキラした目でこちらを見てる!
『どうだ私の魔道具は?』みたいな顔してくるけど全然実用性がない…
「えっと…」
ミアハがキラキラした目でこちらを見て返事に困って動揺している
「と、とてもいい魔道具だね」
ミアハが嬉しそうに笑うのと同時にショウの何かがすり減るのであった