2.やらかし
え…?ゆ、勇者!?なんでこんなところに?
もしかして詰むかもしれないって言ってたのはこういうことなのか!?
「覚悟!!」
勇者がこっちに向かって走ってきて刀を上に構え、斬りつけてきた。
「お!?あぶない!」
思わず声に出してしまうほどその剣の速さはすさまじかった。顔とスレスレにその剣を避けた
上から下へ切りつけた勇者は再び構えて横から斬りつけ、そしてまた切りつけてとどんどん早くなっている気がした
「ちょっとまってくれ!俺の話を聞いてくれ!俺は怪しいものじゃない!」
「うるさいこの賊が!情け無用!」
く…話を聞いてくれやしない。
勇者はどんどん前に出て斬りつけてくる。だがショウには剣に当たる気配が全くなかった。
「なぜ…なぜ当たらぬ!」
このゲームにレベルは存在しない。ならば他に何と差をつければいいのか…スキル。何よりもこのゲームはキャラコン。ゲームのうまさが大事になる。
ショウはあらゆる難しいソロゲーをクリアしていき、ショウはプロに近いキャラコンを持っており、NPCの攻撃は当たらないのが必然だった。
「少しはやる賊のようだがこれで終いだ!」
勇者は一度後ろへ下がって、剣を大きく横に振りかぶって構えた。剣は急に虹色に光りだして刀身が伸びた。もしかしたら5メートルくらいはあるのかもしれない。
なるほど、これがスキルってやつか…頭身が伸びてるな、剣の周りの空気が歪んでる…それほどあの剣の周りが熱いということなのだろうか?あの攻撃は当たったらまずいな
「いくぞ!天凱剣!!」
勇者は地面に小さなクレーターができるくらい地面を蹴って、剣を上に構えて突進してきた。
上から下へ一閃。あり得ない速度へ突進してきた勇者をショウは横へ避ける。まるで体育の授業で反復横跳びをしているように、避けることが当たり前のように避けた
大体15フレってどこかな?勇者との距離が10メートルくらいだったから凄い速度で来たな…でも別に避けられない速さじゃないな
最初もそうだけど、後隙が酷いな…当たったら凄いダメージだろうけど避けられたらどうするんだ?
「な、なぜ当たらなかった…!?」
勇者が固まっている隙にまだ鞘に入っている状態の刀で固まっている勇者の手首に打撃を与えて、手放してしまった剣を蹴り飛ばして手の届かない場所に蹴り飛ばした。
「これで終わりかな?ちゃんと話し聞いてくれるようになった?」
「お、お前は何者だ!?」
完全に警戒されてるな…まぁ戦ったんだししょうがないか…
「とりあえず落ち着いて。別に怪しいものじゃない!」
「ずいぶん騒がしいと思ったらなにが起こったんじゃ?」
「ッ!?」
ショウと勇者の間にいつの間にか老人がいた。
まったく気配も足音も聞こえなかった。いつの間にそのにいたんだ!?
ショウはすぐに後ろへ下がった。普通の農夫の服を着ている。白髪の髪にかなりの髭が生えている
「どうしたんじゃ?シスよ」
「ちょ、長老様!こやつただもんじゃないです?」
「そうみたいじゃのう…」
ん?今目光らなかったか?スキルなのか…?
「長老早くあやつを…あやつを懲らしめてください」
「ちょ、ちょっとまってくれ!俺は別に怪しいもんじゃない」
老人は顎を抑えて少し考えたような仕草をした。
「どうやら悪人ではないようじゃ」
長老は冷静だった。勇者は反論するかと思ったが、意外と長老と呼ばれる人の言う事を聞いた
それから長老とよばれる老人に連れて行かれて少し大きめの木材で作られた家に来た。
少し家の中を歩き、6人くらい座れそうな机がある部屋に入り、老人がそこに座れと手を椅子へ向けてそこに座った。勇者は不機嫌そうに椅子へ座った。
「こ、ここは…?」
「ここはわしの家じゃよ」
優しい声で座っている老人が言った。
「長老!なぜこやつを長老の家なんかにつれてきたんですか!?」
勇者が体を机に乗り出して言った
俺完全に嫌われてるな…なんか勇者が猫みたいに俺の方を警戒してる気がする…
「まぁまぁシス落ち着くんじゃ。とりあえず…そなた名前はなんと言うんじゃ?」
「お、俺はショウと申します…」
思わず敬語になってしまった。なんか貫禄があるんだよなこの老人
「わしはクロノスと言う。隣のこいつはシスじゃ」
クロノスか…たしかどっかの神様だったよな?そういえば鑑定してなかったよな
クロノス
立場 村長 賢者
Η∆ΠΗΩΠΗΗ
∏∷∝∇∫∝√∨
前と同じように光の板みたいのがでてきた。やはり表示はバグっているみたい。この文字も2人には見えてないみたいだな。それにしても村長と賢者なんてよくこんな組み合わせができるものだな
「君は何者じゃ?なんでここにいるんじゃ?どうやってここに来たんじゃ?」
どう説明すればいいのやら…何者って「プレイヤーです」なんて言えないし…
「か、神からここに転移するって言われたんです」
ほんとは俺が行きたいって言ったんだけど…
「ほう…神が…その神はなんと言ったんじゃ?」
やべ何も考えてなかった。GMはなんかチャラそうな人だったし、それっぽいこと言うしか…
長老は真剣な顔になり机に置いていた手を自分の顎に当てて考えている
「お、俺は神から選ばれしものだって言われて、願い事を一つ叶えてくれたんです。これがもらったものです」
机の下でこっそり収納で刀を出して机の上に置いた
「こ、これはかなりの業物。これは…刀か?昔、東の国で見たことがあるがこれはそれ以上じゃな」
やっぱりこれかなりの刀なんだな。座っているシスがハァハァ言いながら俺の刀を奪おうとしているのだけど。
「どうやら神と出会ったというのは本当みたいじゃのう。シスも問題ないないじゃろ?」
「ふん!」
「ははは…」
シスがそっぽ向いちゃったよ。もう野良猫にしか見えなくなっちゃった
「実は住む場所がなくて」
「そうじゃのう……そしたら今日はここに泊まって大丈夫じゃぞ。明日にでもシスにこの街を案内してもらえばいいじゃろ」
「ちょ、長老!私はこんなやつを連れて歩きたくありません。絶対に後ろから切られます。ていうか切りそうな顔してるんです!」
今「こんな」だけすごく強調したよな…絶対に人に懐かなそうな野良猫みたいなんだよな
それから長老がうまくシスを落ち着かせて家へ帰らせた。長老からは使ってない部屋があると言われたのでそこの部屋で寝泊まりすることになった。
ちょっと黄ばんだベットに一人座れるぐらいの椅子と机。清潔な部屋だった。
少しだけログアウトするか。明日は学校休むか
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