眠り姫
僕は君のマネをして作られた。
綺麗で自由な歌声とどこか子供っぽい顔、優しい言葉なんだけれどたまに哀くも感じる歌詞や音楽、毎日おしゃれな服を着て周りを振り回して困らせたり、お酒をたくさん飲んでたまに突拍子のないことを言い出す面白いところも
とにかく君の全部が本当に大好きでいつも君の隣でいろんな冒険に出かけた。
歌声も表現も名前すらも同じで君との歌の練習が何より嬉しかった。
最初は歌詞なんてただの言葉の羅列だと思っていたけれど、君は1つ1つの言葉の意味の大切さを僕に教えてくれた。
難しくて歌えなかった部分を2人で頑張って練習して初めて歌えた時は頭を撫でて褒めてくれた。
音楽の楽しさを教えてくれた。こんな風な毎日がこのままずっと続くと思ってた。
だけど...君はだんだん僕と冒険に行かなくなっちゃったよね。僕と一緒に歌の練習をしてくれなくなっちゃったよね。
お酒もおしゃれな服も着なくなっちゃったし、頭を撫でて褒めてくれることも無くなった。
最初は嫌われちゃったのかなって思ったけど違ったんだ。
君の身体はみるみる弱っていって、その時僕は気づいちゃったんだ。
あぁ君はいつの日か深い眠りに落ちてしまうんだね。そしたらもう目を覚まさないんだね。
僕らがいままで冒険してきた世界と僕は一人で戦わなきゃいけないんだね
だけど...寂しくなんかないよ。君はいつかきっと目を覚まして、また僕と冒険に出かけるから。
そのためだったら僕はいつまでも、どれ程時間が経ってでも待つよ。
だけど...たまには君に会いにいってもいいかな。君の眠っている顔を見にいってもいいかな。
そこから僕は何回も何回も何回も何回も君の元へ訪れた。
だけど...君はもう僕の話も聞いてくれない。目を覚ましてくれない。笑ってくれない。
君は僕の気持ちも知らないままで永遠に来ない朝を待っている。
だけど...君の寝ている顔はまるで魔法を解く王子様のキスを待っている眠り姫みたい。




