1 異性転生
貧民の子どもから受け取った食物を食べて死んでしまった令嬢に転生した。
1 異性転生
あまりのことにマリエールは声も出せないでいた。自分の身体でない身体に自分はいる。手足から想像するにこれは少女のものだ。間もなく65歳の定年を迎える老人のものではない。とにかく今はベッドの中だ。どうすればいいかまた明日考えよう。マリエールは目を閉じた。
すると別人格の記憶が浮かんだ。この身体の持ち主のものだ。マリエール12歳、貧民救済が生き甲斐で今日も護衛と一緒に貧民の子ども達にクッキーを配った。5,6歳の女の子が
「マリエールお姉ちゃん、何時もありがとう。お礼にこれ食べて。」
いかにも腐ったような何かだ。マリエールは要らないと言いたかった。しかし少女の眼差しは純粋な好意のものだと判った。マリエールは戸惑いながらも、礼を言い受け取った。護衛はマリエールからその物体を取り上げるのを躊躇った。マリエールまさか食べるとは思わなかった。そのまさかが起きた。マリエールは食べてしまった。途端に蹲るマリエール、護衛は背中を叩き吐き出すように言う。マリエールも吐き出そうとはしているが出て来ない。少女は自分が差した食べ物がマリエール苦しめて居ると知り呆然としている。思い余った護衛はマリエール担ぎ屋敷に戻りマリエール異物を食べて苦しんでいると伝えた。メイド長はマリエール逆さにするように護衛に言い、マリエールの背中を力一杯叩いた。異物は出て来た。
メイド長はマリエールを身体が拭き着替えさせ寝せるように言った。別のメイドに医師を呼ぶように言った。そしてメイド長は護衛に何があったか尋ねた。
「マリエールお嬢様は貧民の子が差し出した食べ物を拒否するような方でないわ。護衛ならあなたが食べるべきではなかったの。マリエール様にもしものことがあれば首だけでは済まないわよ。」
事情は判った。だからと言ってどうすればいいんだ。私が少女の真似など出来る筈がない。すると何処からか声がした。
「マリエールの魂をお前の魂と合わせよう。とはいえ死んだものの魂だ。自主的には動かない。お前が常に救援を求めていくことだ。
幸い彼女は人を救済するのが生き甲斐だ。きっと彼女はお前を救済してくれるさ。」
誰か部屋に入って来た。
「お嬢様、お医者様ですよ。診察して貰ってください。」
彼女を呼ぶべきかどうか迷っがここは狸寝入りして過ごすことにした。医師は脈拍や呼吸、心拍や口の㊥を見てから、お腹を押さえたり足曲げり伸ばしたいした。
「問題ないですね。念のため今晩はこのまま寝かせ明日の朝から胃腸薬を3日飲ませてください。それでも調子が悪いようなら呼んでください。」
今晩はこのまま寝かせてくれるらしい。
気持ち良く寝られた。久しぶりの気がする。現場の人達に迷惑かけたろうな。妻や息子や娘は元気かななど微睡みながら考えていると
「お嬢様、朝食の準備が整いましたが、体調はいかがですが。」
マリエールさん助けてください。と何度も祈ったら、
「今行くわ。」
私が中に引っ込み。彼女が外に出る感じだ。これなら何とかなる。昼間彼女に任せ、夜寝る時だけ自分が出れば、嫌、それも必要ないかもずっとここにいればいい。
声の主が死んだマリエールの魂を私の魂に付けてくれた。