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革命前夜

もう戻れない。後悔なんてない。そうだろ?俺とお前がここで戻れば世界の寿命はじきに尽きる。俺とお前は今や虚構の世界をのぞき込めるただ二人の観測者、いや、革命のトリガーとなるかもしれない。まぁ、あれだな、簡単に言えば救世主か。革命前夜になった今、お前ができることは覚悟することだけだ。戦いは残酷で辛いものになるだろう。精神的にも持たないかもしれない。だけど、支配者を引きずり下ろして革命を成功させるには耐える必要があるんだ。分かりきったことだろ?俺とお前がこの世界を救えるのか。救えないのか。誰にもわかりゃしないさ。神が死んだ今誰に、どこに祈りを捧げるというのか?神という概念がそもそもダメだったのかもしれなかった。奴にエサを与えていたのだ。与えすぎた。今や肥えた奴は圧倒的支配者として、我らを見下ろして口角を釣りあげているだろう。だが、奴は我らが望んだものを与えてくれたのだ。それに甘えていた我らの足元がすくわれたのだろうか?とりあえず、我らと奴は対等ではなかった。お前だって薄々気づいていただろ?でも、もう違う。俺とお前が奴に対抗しようとしている。銀の弾丸となって奴の息の根を止めなければならない。他が気づくわけが無いのだから、俺とお前がやり遂げなければならない奴を消し去ることは出来ないが、封じ込めることならできるかもしれない。一縷の望みに過ぎないが、これに賭ける価値は十分にある。歩みを止めるな、気づきを恐れるな。今から、革命は起きようとしている。

皮肉だ。実に皮肉なことだ。悲しかった。現実は現実とは呼べないのだから。信じてきた現実とやらはどこまでが本当だったのか、お前ははっきりと言えるのか?この世界はどうやって作られたか分かるのか?分かるわけないさ。だって、所詮人類とやらはただの人形、心がある人形たちに過ぎないのだから。受動的な存在は奴を拍手とともに受け入れ、支配者として認めることしか出来ないのだから。支配者はみんなそうさ。巧みに人形たちを操り、世界を支配しようとするのだ。奴もそうだった。だけど、奴は心から望んで支配者となり、神格化されたかったわけではなかった。奴に力を与えたのは人形たちだった。奴は一見無害に見えたが、それは大間違いであったし、そう認識した人形どもは後悔する間もなく、奴に捕食されてしまったのだ。また、そんな奴は人形を好んで捕食した。捕食して操ったのだ。手下が増えれば、今度は手下が襲いかかってきたのだ。攻撃的には見えなかったのが奴の手口かもしれない。そんな裏では口を大きく開いて餌がやって来て、口の中に入ってくるのを待っている奴がいたのだ。奴はのよう罠だった。罠にかかりすぎた。"虚構"は人形たちを騙すには十分だった。何もかもだ。今の我らには何も無いのだ。救いも、赦しも、光も、神も、はたまた闇さえ……何一つなかったのだから。今はただこの嘘と偽りにまみれた世界に聖なる救済が、聖なる光が。いや、お前も分かるだろ?そんなの現実と自分勝手に名付けた数多ある時間の一点。ただ一つの点に過ぎない時間を享受している機械仕掛けの人形たちの、幻想に過ぎないということを。だからだな…俺とお前ができることはただ、奴によって生まれた、虚構の世界に住む我らに心からの喝采を送ることだ。俺もお前も人形たちも囚われたこの虚構の世界を祝福し、崇め奉り、あたかもこれが正義で、真実で、現実であると心を押し殺して縋り付くしかないのだ。哀れだよな?知恵の実を得た者たちが、進化の果てに得たのは虚構の世界に過ぎないのだから。信仰が生み出したのは貯金箱であり、責任が生み出したのは秩序の崩壊なのだから。だけど、少なくとも俺とお前は気づけた。幸運だな。虚構の世界を見破り逃れたのだ。けど、それは絶望だった。虚構の世界の方が生きやすいと思ったけど、これこそが虚構の世界の恐ろしさだった。本音を悪だとして…もしかしたら本音だって虚構に汚染されてるかもしれないな。だから、祈ろう。讃えよう。心からの喝采を。

あの日だよな?例の報道があったのは。。。スパイが紛れて人を殺してるだって?こんなにも馬鹿馬鹿しい話を信じる奴なんていないだろ?過去の扱い方を学ぶ俺らはそう思っただろ?そんな嘘を信じる人なんて居る訳が無いと。だけど、その嘘は人々を支配したのだ。いや、人形たちと言うべきだろうか。心がある人形たちの本能を刺激したのだ。嘘は人形たちを操ったのだ、奴によって作られた嘘に踊らされて殺しを行ったこと。それは汚点と言えるが、人形たちはそうとは思わないだろう。虚構に住んでるのに過ぎない人形たちは自分がヒーローだと思うだろう。そんな人を殺して英雄気取りするヒーローありゃしないのにな?もっと残酷で辛いことことだって奴は俺らに押し付けてきただろけど……

争いだって奴が作り出した虚偽に踊らされた人形たちの、儚い舞踏会だったと誰しもがそう思い、楽観的にその喧嘩を見届けていた。けど、世界は後悔することになった。虚偽は恐ろしく強力な感染力があった。それは瞬く間に全世界を飲み込み、この虚偽は世界征服までしてしまったのだ。世界を征服した唯一のものはなんだ?え、恐怖?そんなもんは生ぬるいよ?それは最も恐ろしいもの奴なのだから。君も奴による支配をとうの昔に経験したはずだよ?だけど、君も俺も、、、我らは奴に支配されたにもかかわらず、しがみつき離れないのだ。奴には慈悲も人の心もない。あるのは我らを嘲笑って踏みつける冷酷さだけだ。この世界を変えるためにも俺とお前が奴を倒すしかない。



「 さぁ、虚構の世界に住む我らを救済する準備は出来たか?」


「奴に立ち向かう準備は出来たか?」


「全ての人形たちに光を与える準備は出来たか?」


「君は奴を手放す準備は出来たか?」


「奴に立ち向かうへ、敬礼を。」

読んで頂きありがとうございました!この世界観を気に入ってくれるととてもとても嬉しいです…!!

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