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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホラー・ホラー風味

笑い声

作者: まい

 夏のホラー2022投稿用

 これは親戚の集まり位でしか顔を合わせない、遠い所に住んでいるイトコから聞いた話です。



 イトコが通う学校には、同じ学校内でだけ有名な二人の女の子が居るそうです。




〜〜〜〜〜〜




 片方の子は所謂(いわゆる)()()()()()系の女の子。


 うん。 学校でも街でも変な動きをしたり、いきなり悲鳴を上げたりしていて、怪しまれちゃうの。


 でも道路とかでその女の子に「そっちへ行っちゃだめ」って話しかけられて、立ち止まって変な人を見るようにしていたら、直後に歩こうとしていた場所に事故車が飛んできたとか、本当にホンモノっぽいんだって。




 もう一人の子は、オカルトが大好きな女の子。


 ……あ、分かっちゃった?


 そう。 その子は()()()()普通の子。


 オカルトグッズ集めが好きで、集めたグッズの力で絶対に霊感を体得して見せるって、クラスの自己紹介で話してアレな子認定されちゃった子。


 視えちゃう子が言うには、その子が持つオカルトグッズは()()な物ばかりだって。



 こういった子は大抵、どこの学校にも一人づつは居るんだけどね。 視えちゃう子が本当に視えているのかとかは、別としても。


 それで、その辺の話はおしまい。




 この二人は仲が悪い……ううん、違うか。 霊感の無い子が視えちゃう子を知ってから「霊感を教えて」って()っかかる様になって、視えちゃう子は「視えて良いものじゃない」っていつも追い返されるの。

 それで霊感の無い子が独り占めはズルいって怒って、一方的に敵視してる感じかな。





 それでね、ある日霊感の無い子が新しいオカルトグッズを学校に持ってきて、教室で自慢気に見せびらかしてたの。


 これは呪いのラジオだって。


 ラジオとしては壊れているけど、でも特定の時間だけ、特別なナニカを受信してしまうモノなんだって。


 実際に試したら、誰か複数人のボソボソとした(ささやき)声と、たまにハッキリした大きな笑い声。


 それがその時間の間ずっとラジオから聞こえてしたんだって自慢してたの。



 それを聞いた視えちゃう子はラジオを()()、慌てて霊感の無い子に近寄って、こう警告したんだって。



「今すぐそのラジオを手放さないと、大変な事になるよ」



 言われた霊感の無い子の方は、大喜び。


 視えちゃう子が手放せと言いに来たって事は、本気でオカルトなグッズを手に入れたって。


 これはホンモノなんだって。




〜〜〜〜〜〜




 それからも霊感の無い子は、ラジオを手放さず家に置いて、ほぼ毎晩オカルトなラジオを聞いてたんだって。


 視えちゃう子は分かるんだろうね。 「まだ手放してないのか」って何度か警告を繰り返したんだけど、霊感の無い子は完全に拒否。



 まあそうだよね。


 霊感の無い子は霊感が欲しいから、霊感を得られる取っかかりが欲しいから、そう言ったモノを求めてたんだから。 そうそう手放したくないもんね。


 それから霊感の無い子は、()()()()ニコニコ笑顔だったそうよ。






 その()()()()が過ぎた頃。


 霊感の無い子の表情が少しずつ暗くなってったんだって。


 暗くなったのはまだ良い方で、更に時間が()つといつもイライラしだして、霊感の無い子と友達だった子に話しかけられるだけで怒鳴り始めたり。



 そんな様子にイトコが心配になって、視えちゃう子に相談したみたい。



 するとね、視えちゃう子が呪いのラジオがどんななのか、教えてくれたんだって。


 最初は何ともないけど、そのうちラジオの笑い声()()大きく聞こえるようになってノイローゼみたくなって、それでも更に長い期間聞き続けていると呪われるとか。


 一度呪われてしまうと、性格が今までと全然違うモノになるって。


 代表的なのが霊感の無い子みたく怒りっぽくなる事だけど、他には神経質になったり、常に誰かから監視されていると思い込むようになったり、常になにかの影に怯えるようになったり。


 とにかく良い事にならないんだって。




 それを聞いたイトコは、慌てて霊感の無い子を説得してラジオを捨てさせようとしたみたいだけど、訳の分からない雄叫(おたけ)びと一緒に全力パンチをもらったみたい。






 ……え? オチ?


 全力パンチで顔に怪我させちゃった霊感の無い子は、心方面で病院送り。


 イトコは霊感の無い子の家族から沢山謝られて、菓子折りと治療費と慰謝料も持ってこられて恐縮(きょうしゅく)しきり。


 少ししてその子の転校が告知されて、クラスのみんなは何となく絶妙に微妙な空気になって終わり。





 …………オチが弱いって?


 いやだって、聞いたのはそれだけだもの――――あ、ちょっとまって。 イトコからなんかメール。



 ………………あ〜、オチが向こうから来た。


 転校しちゃった霊感の無い子の、空っぽの家の前を通る用事があって、その家を外から撮った写メ。


 ほら、家の中にポツンとラジオがひとつだけ置いてある。


 それと()えられた文章には、撮った理由として、その家から笑い声が聞こえたからだって。




 この独白として語っている女の子の話を聞いている相手が、居るのか居ないのか。

 それは誰にも分からない。



〜〜〜〜〜〜



蛇足


 まず現実でもあるかもしれないけど、呪いは幽霊の正体見たり枯れ尾花的なものなんだろうなと憶測を下記に。


 その憶測ですが、実行する側にもならないでくださいね? お願いですから。



 現実にも、ほぼ同じラジオはあるかも知れません。


 確率はかなり低いですが、存在するかどうかについては簡単です。




 壊れたラジオを沢山用意します。


 そのラジオの中から、壊れていても特定の周波数だけわずかに拾える機能が残っている奴を選び出します。


 そのラジオの音量機能が壊れていて、ボソボソとしか音が聞こえないラジオである事を祈ります。


 祈りが届かないなら、音量調節機能に細工してボソボソとしか聞こえないようにします。


 後はそのラジオを聞くだけ。


 ラジオのトーク番組なら、時々笑い声が起きるのも当たり前。




 だけどその辺を知らずに、壊れたままのラジオをONにして聞いていたらどうでしょう。


 笑い声がとても気になります。


 何かをしながら、突然笑い声が響き渡ります。


 その笑い声に反応して、受け手は思うでしょう。


 自分の行動をどこからか笑われたと。


 後はその人の資質次第。


 その笑い声の影響を、マイナス方面で受けたならば心が歪むでしょう。


 どんな形で歪むかは、様々ですが。


 そんなこんなで、その壊れたラジオを匿名で他人へ送ればどうなるか…………。




 とまあ、明確な悪意等の悪い感情を目標に正体不明でぶつけて、精神を激しく揺さぶり続けるのがリアルな呪いなんだろうなと。


 なのでもし実際にそんな事をされても、スルーしたりどこかのお寺か神社へ供養依頼をだして処分してしまうのが1番です。


 真に受けて犯人探しをし始めたりしたら、犯人の思うツボ。


 常に心に余裕を。


 それだけでオカルトではない呪いは、簡単に弾けます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自ら危険に足を踏み込んでしまったのですね……。
[良い点] なるほど、「見える子」ってのは、ラジオが僅かにだけ機能していて、それを聞くと聴覚障害になりかねないことが分かっていた「電子回路フリーク」なのですね。でも理系の話を説明するのは難しいから、も…
[一言] 見え〇子ちゃんというアニメ見ましたが、見えてる人にはきついんでしょうねぇ~。 霊感無い方が本当は幸せだったのに…… で、蛇足で危ない事教えちゃだめよ? 誰かマネするから(笑)。
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