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サンバン  作者: 如月厄人
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 ハッと目を覚ます。身体を起こして周囲を確認しながら、体の違和感を確かめる。

 と、そこで、違和感が薄いことに違和感を覚える。手で身体を弄ると包帯の感触を感じる。視線を巡らせると、寝袋に包まった三人と、焚き火の番をする男が目に入る。

 どうやら、この四人に拾われたらしい。近くの木に立て掛けてあった剣を掴んでひとまず腰に差す。

 全身に鞭打ちのような痛みを感じながらも、焚き火の側による。男が気づいて側に置いてあった長剣に手をかけつつ声をかけた。

「お目覚めのようだな。体はどうだ」

「全身が痛いよ…。いやぁ、それにしても助かった…。すまないな、見ず知らずのオジサンに薬使わせちゃって」

「そう言うな、俺たちはアンタが倒れてたところを見つけただけだ。それより、アンタどうしたってあんな所に倒れてたんだ?」

 周囲を見渡すが、既に辺りは真っ暗で、自分の来た場所は見えようがなかった。

「んー、僕はね、傭兵なんだよ」

 へらりと相合を崩す。無精髭をなぞりながら、深いため息をついた。

「アインハルト側に雇われたんだけど、まー嵌められちゃってね、逃げ延びてきたってわけさ。君達は…冒険者かな」

「…そうか、アインハルトの…。そうだ、俺たちは冒険者で、依頼を終えて帰る所なんだ。アンタは…これからどうするんだ? 失敗したんだったら、戻っても居場所はないだろ」

「そうなんだよねぇ…」

 だから、と男に力なく笑いかける。

「ちょっと頼りないけど、戦力として雇ってくれないかい? あぁ、駄賃は気にしないでくれ、一人じゃないってだけでも助かるんだ。なんなら寝ずの番も受け持とう」

「それは…俺一人じゃ決められないな。朝になってみんなに聞いてみよう。それに、アンタもまだ治ったわけじゃない、無茶をしてると、今度は本当に死んじまうぞ」

「ははは、その通りだね。じゃあまた明日、みんなが起きた頃に起こしておくれ」

「あぁ。そうだ、アンタ、名前は?」

 立ち上がったところで、声をかけられる。ザンバラを揺らして首だけ回す。

「サンバン、そう呼ばれていたよ」

「…わかった、サンバンだな。お休み、サンバン」

「あぁ、…えーと」

「ロイだ」

「ありがとう、おやすみ、ロイ」

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