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大コケした受験生のその後  作者: よむよむ
8/13

国語の対策は過去問で

 センター試験が近づいてくると、初っ端のセンターでこけるとショックで関大も落ちるのではないかと思い始めた。

 それに予備校で国公立理系コースを受講していたので、国語の授業も受けていた。 

 そこで、11月から国語も勉強を始めた。

 知識レベルは、古文のありおりはべりいまそかりや、漢文の返り点や反語を知っている程度だったと思う。

 高校と能開での授業、定期試験時の二夜漬け、宿題をやったときの、体系化不十分な知識の欠片が戦力だった。


 勉強とはいっても大したことはする時間もなく、センター試験の過去問や予想問題を使って予行演習をした。

 その結果、問題を解く順番を決めた。

 当時、大問が4つあり評論、小説、古文、漢文だった。

 先に評論を読むと頭が理屈っぽくなり、小説に没入できなくて、却って正答率が落ちるので先に小説に取り組むようにした。

 このあたりは人次第だろう。

 次に評論、古文、漢文の順番で取り組むようにした。


 問題を先に読むという試験テクは知っていた。

 しかし、現代文である論説文、小説の場合は、予行演習してみると没入して読んだほうが、問題文を先に読んで理屈で解くより正答率が高いことが分かった。

 そこで、小説文、論説文は問題を先に読まずに、いきなり本文を読んで解くことにした。


 一方で古文、漢文は、問題文を先に読んでから解いた。 


 昔話ばかりでは、あれなので新聞に載っていた共通テストを試しに解いてみた。

 今年の漢文の問題を使ってどのように解いていたか説明しよう。

 30年前の県で4番目の高校に通っていた浪人のしょぼい受験テクだと思って読んで欲しい。


 今年の漢文の問題は7つの大問題から構成されている。

 これらの問題文を読んで、どういう風に情報を拾うかという観点を以下に示す。


 問1 

 さらに3つの小問から構成され、それぞれア、イ、ウと併記された漢字1文字を日本語で書き表すと何かを選択させる問題である。

 つまり、本文を読むときにア、イ、ウの前後の文脈に注目して読むと良いようだ。

 問2

 適切な返り点の打ち方と和訳を選択する問題である。

 選択肢の和訳を読むと、どうやら客、蝶、はこ、帰るという言葉が共通している。

 とにかく客が登場し、蝶を匣に入れるのか、入れようとする話が出てくるらしい。

 これらが登場する本文のようだ。

 問3

 和訳を選択する問題である。

 蝶、絵を描く、近づくということが本文中に書かれているらしい。

 「苟」の意味を知っていれば解けるようだが、知らないので前後の文脈から推理するしかないようだ。

 問4

 Xに入る漢字一文字と詩の種類の組み合わせを選択する問題である。

 詩の種類として、七言絶句が一対、七言律詩が一対、七言古詩が一つ。

 七言古詩は聞いたことがないし、古詩だけでいきなり正解が導ける問題は作らないだろう。

 古詩は、一つしかないので外れらしい。

 律詩と絶句の違いは知らないので、選択のネタには使えない。

 起承転結、対句、押韻というところで多少の絞り込みができそうだ。

 また、Xに入れる1文字は前後の文脈からみて、論理矛盾が生じないものを選ぶ必要がありそうだ。

 問5

 奈春何の和訳を選択する問題。

 春に関連して惜しむのか嘆くのかわからないが、ネガティブな感情が想起されるらしい。 

 問6

 蝶が移動した順番を選択せよという問題だ。

 どうやら問2で登場した蝶は移動するらしい、さらにそれを絵に書きたい人物がいるようだ。

 しかも、問題文に、ただの蝶ではなく「仙蝶」と書かれていることからすると、夢か想像上か瑞兆を表すような蝶なのかもしれない。

 胡蝶の夢とか、杜子春とかを連想した。

 本文を読むときに蝶の移動順序に注意を払って読もう。

 問7

 筆者の心情を問うている。

 心情といいつつ、実際のところは本文の要約を問うているのだろう。

 5つの選択肢中、3つで不思議というワードがでてくる。やはり蝶は、幻想的な存在のようだ。


 まとめよう。問題文から読み取れる要素は、客、蝶、匣、帰る、蝶の絵を描く、蝶は移動する、蝶は不思議な存在、である。本文は、これらのお題を組み合わせて書かれた物語のようだ。

 予備知識なしで本文を読もうとすると目が滑って仕方ないが、これだけ予備知識があればあちこちが不明瞭であるものの、なんとかストーリーについていけるのではないだろうか。


 このように、問題文から予備知識を得て、注目ポイントを定めてから本文を読み始めるという解き方をしていた。

 なお、今年の共通テストの漢文を試しに解いてみると、得点は50点中40点だった。


 このような解き方は正道ではないと思う人もいるだろう。

 しかし、出題者は本文も問題文も開示している。

 試験を受けるものは、それをくまなく読み、正答とされている内容を回答するのだと割り切っていた。


 このような方法は、自分で創造したわけではなく「全国大学入試問題テクニック 私立大学編 英語 著:津田秀樹」で知った。

 本屋で見つけたときに、これは良いものを入手したとホクホクして買って帰った。

 当時はネットなどなかったから、情報源は書籍か人のみだった。

 田舎の予備校では、正面突破の正攻法だけを教えていた。

 ところが、大学入学後に新潟のトップ高から来た友人と話すと、彼は高校で教えてもらったそうだ。

 やっぱり、県下で4番目の高校だったせいかもしれぬ。環境によって入手できる情報量が違うことを知った。


 情報は力である。

 地力で劣るときにスキルで挽回するには、情報を手に入れることが有効だ。

 そのためには、情報を探さねばならない。


 当時の国語のセンター試験の結果は140点台だったと思う。

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