表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大コケした受験生のその後  作者: よむよむ
5/13

理系なのに苦手な数学

 一番の問題は、数学だった。

 工学部に行きたいのに、数学が一番の苦手だった。

 結果的に、勉強時間の大半は、数学と物理に投入した。


 問題点の一つ目として、私は計算間違いが多い。

 仮に知識としては全て知っていても、計算ミスで8割ぐらいしか得点できなかった。

 原因は、試験が始まると、気が焦って汚い字で計算して、途中で自分の字を誤読してしまうからだ。

 しかも、字が汚くなる割に書くスピードは速くならない。

 なにも考えずに書き写すだけならいいのだが、頭を使いながら文字を書こうとすると手の制御が怪しくなり、ただでさえ汚い文字が、さらに荒れるのだ。

 集中力もない。少し前の計算過程が短期記憶から揮発して、なんのことだったかなということなってしまう。


 対策は、まず数字を読みやすく書くように改めた。

 こう書くと一行だが、長年の癖なので改めるには時間がかかった。


 集中力については、禅を取り入れて一時的に高めるようにした。

 

 禅については、一例をあげて簡単に説明しよう。

 まず、消しゴムでも紙でもなんでもいいが、鉛筆で直径3mm程度の点をうつ。

 今でも試験に入る前に5~10分間程度の待機時間があることが一般的と思う。

 その間に、この点を見つ続けるだけである。


 まばたきをしてはならない。

 多分、雑念が出てきて視線がやたらと左右に逃げようとしたり、涙がでてきたりするが、ただただ点を集中して見続けるのだ。

 呼吸は、鼻から吸い、口をすぼめてゆっくり吐き出す。

 時間は吸うのに15秒、吐くのに30~45秒程度ぐらい。

 それだけである。

 個人差はあると思うが、文字を読むときに目が滑ってしまうのがなくなる。

 小説を読んでいて、目が滑りまくるようでしたらお試しあれ。

 (私の文章を読んで目が滑るのは仕様です。あしからず。)

  

 次の問題は、知識が欠片だらけということである。

 何を知っていて、何を知らないのかがわからない。

 頑張れば思い出せるのか、そもそも最初から知らないのかもわからない。

 これに対しては正面突破することにした。


 高校の数学の教科書(数1、基礎解析、代数幾何、微分積分、確率統計)を全て写本した。

 内容をすべて理解しながら、句読点の位置まで同じになるように書き写した。

 教科書中の問題も全て解いた。巻末問題も全て解いた。

 これで、教科書レベルであれば公式の導出方法から例題の解法まで全て知っているはずということになった。


 現実には海馬の働きが弱くて思い出せないかもしれないが、理屈のうえでは頑張ればたぶん思い出せるということになった。

 自分の意志力など全く信頼できないので、2月から3月は、高校の先生に頼んで、写本を毎日してくるから検印してほしいと頼んだ。

 予備校に行ってからは、予備校の先生にお願いした。

 たぶん、7月ぐらいに全ての写本が終わったと思う。


 後は予備校のテキストを繰り返し解いた。

 A4版で数1、数2ともに、1cm程度の冊子だったと思う。

 購入する問題集を絞り込むことを考えて、この2冊に賭けた。

 各分野の基礎的な問題が載っていた。掲載量を低減するためか、類似の問題の重複はあまりないテキストだった。

 皆が拾えるところは自分も拾えるように、スピードと正確さを心掛けて、何度も解いた。 


 これで基礎的な公式を複数組み合わせた種類の難問なら解けるかもしれないということになった。

 特殊な解法が求められる難問や、原理的に理解のハードルが高いものは無理だが、それはきっと出題されないだろうと高を括ることにした。

 何せ東大京大や早慶を受ける訳ではないのだ。


 他にしたことは、予備校の授業と過去問の演習である。

 過去問は、超重要であった。

 本番の試験さえできればいいのだ。

 

 赤チャートとか青チャートとかの市販の分厚い問題集は買わなかった。

 自分には、時間も能力もないので、買っても無駄だと思った。

 ああいうのは、東大やら京大に行く人がやるものだと思う。


 浪人時のセンターは、両方とも90点ぐらいだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ