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鉄と真鍮でできた指環 《2》 ~ネクロマンサーの秘薬~  作者: とり
 第4幕 ネクロマンサーの秘薬(ひやく)
34/68

32.ばくち


   〇前回ぜんかいのあらすじです。

   『宿屋やどや夕食ゆうしょくをとっていた和泉いずみたちのもとに、ひとりのおんながやって来る』






 和泉(いずみ)たちのまえにあらわれた(おんな)は、自身を手でしめして身分(みぶん)()かした。

「ホゴルの使(つか)()をしております。マーゴットと申します。主人しゅじんより、あなたがたの仕事について、協力(きょうりょく)をするよう(おお)せつかりました」

 和泉とウォーリックはかお見合(みあ)わせた。

 ウォーリックが切り返す。

「ではマーゴット。単刀直入(ちょくにゅう)に聞きますが」

「はい」

「ゾンビパウダーの使用しようについて、あなたなにか心()たりは?」

 おんな――マーゴットは(まゆ)ひとつ動かさない。

「さあ」

 ととぼけた声だけを、白い(のど)から出す。

 和泉(いずみ)がウォーリックの質問を継ぐ。

「動く死体をたって証言(しょうげん)があるんだ。それに、オレたちもそれっぽい、兵士みたいな恰好のやつをかけたんだけど」

「ここではなんですので」

 マーゴットが周囲しゅうい注意(ちゅうい)()けた。

 三人のほうをチラチラ()ていた村人(むらびと)たちが、そそくさと食事しょくじ博打(ばくち)にもどる。

 みせのなかに、わざとらしい談笑(だんしょう)()ちる。


「【動く死体(リビングデッド)】については、我々のほうにも(しら)せは来ています。よければ現場げんばまでご案内(あんない)しますが」

「自分たちで行けますわ」

 観光マップをウォーリックは突きつけた。が。和泉(いずみ)おもいついた風にくちをはさむ。

「できれば宮殿(きゅうでん)のなかに行きたいな。そこを調べてなにもなきゃ、それまでなんだろうし」

「かしこまりました」

 マーゴットはうけたまわった。

 すぐ。と彼女かのじょ(みせ)を出ていく。

 椅子いすから立って、和泉(いずみ)は黒い法衣(ほうえ)羽織はおった。フローリングを移動すると、脇腹わきばらをウォーリックに小突かれる。

「なぜい返さなかったのです」

「せっかくこうから来たわけだし……。あとで自分たちで行くより、負担がすくないかなって」

「負担?」

「……精神的な。だって、知らない人の家に行くんだぜ。その。仕事っていってもハードル高いなあ~。てっ」

 和泉(いずみ)の白いあたまをウォーリックがはたいた。

 ぺんっ。

 と、(おと)がする。



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