17.リビングデッド
〇前回のあらすじです。
『襲ってきた相手を、ウォーリックが魔法の銃で狙撃する』
「……これは」
和泉はのどを詰まらせた。
ふたりの足元には、ミイラのようにひからびた死体が落ちている。
乾いた皮膚の破目から、ところどころ骨がのぞいていた。
「こいつが、オレたちを襲ったのか?」
「そう考えるのが自然かと」
白い煙を穴のあいた額――鉄製の兜からのぼらせる死体に、ウォーリックは屈みこんだ。
骸のまとっている鎧。……そのベルトに結んだ巾着袋から、こぼれる魔法の石――【魔鉱石】を拾う。
ぼんやりと、和泉はそのさまをながめていた。
「だけど。だとしたら……。【動く死体】ってことになるぞ」
「じゃあ、そうなのでしょう」
魔術の武器を消して、乱れた黒髪を少女は払った。
「暁を告げる。鶏の笛」
呪文を唱え、拳サイズの光の球体を彼女は生む。
先へ進む。
「おいっ。どこに行くんだよ」
「人里です。野宿なんて御免ですし。その戦士がリビングデッドなら、時間が経てば蘇生するかも知れない。早くこの場を去るのが良いかと思いますが」
仰向けに倒れている死者に、和泉は息をのんだ。
念仏をみじかく唱えて、彼は先をいく魔女につづく。
やがて日が落ち、森に濃い闇がただよった。




