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第7話 この身に伏せられたからくりと

耳まで赤く染めた陽菜は言葉を詰まらせていた。

「け、結婚ていきなり何言ってるの!?」

「そうだぞ!僕には陽菜がいるし!」

「蓮君!?」

飛び上がり振り返る陽菜がかわいい。非常にかわいい。


「お前なぁ~。今大事な話してんだから、いきなり入ってきて話逸らすなよな~。」

三島の軽いチョップが少女に入り、「あてっ!」と少女は頭を抱えている。


出雲医院長がちょいちょいと指で差しながら

「こいつは刈羽 柚。今年から研究機関入りした能力者だ。」

「ども~!刈羽 柚、17歳です!柚でいいよ!新人ではあるけど言霊との契約はかなり前してるし、能力は使い慣れてる!結婚の話はまた後で話そうね五泉くん!」

「な...!!」

いちいちそんな律儀に顔を赤くしなくていいんだよ陽菜さんや。


笑顔でピースピースと手を先に出す柚は再び三島のチョップを食らっていた。


「話が逸れたな。つまり偶然にも言霊と契約して能力者になったお前は、オレら研究機関に所属するかお前を殺そうとした阿賀野とおなじ特務警察に所属するか。はたまた違法能力者として死刑を受け入れるか。ってことだ。」

死刑はもちろん論外。

三島さんと同じだ。阿賀野の様な人間が特務警察の人間なら。

僕の能力を、特務警察に渡したく無い。

つまり実質、選択肢が一つだ。


「僕はこの能力を正しいと思うことに使いたい。この言霊を殺す為だけの道具にしたくない。」

僕の言葉に、出雲医院長は答えを満足げに頬を突いて聞いていた。

「僕を研究機関。この組織に入れてください。」


「ようこそ、霊研究開発医療機関へ。」

笑顔でそう放った出雲医院長。三島さん。柚。そして陽菜。

皆、つい先ほど会ったばかりの人たちだけど。理由はわからないけれど。

僕の心中にはこの人たちに対する絶対的な信頼が起こっていた。


「さぁーて、研究機関で戦っていくんだ。必要最低限の知識は着けてもらわないとな。」

わっせわっせとホワイトボードを部屋に運び込む柚。

出雲医院長は軽く腕を捲り上げ、マジックペンのフタを取った。


「授業の時間だ。」




「まずは言霊を身に刻んだ能力者がどうやって能力を使うかについて。」

キュキュ!!と人間の簡単な略図を書きながら出雲医院長は説明を続けた。


「能力者は言霊を刻んだ時、特殊な因子が同時に体内に生成される。これが体を凄まじい速度で巡ることで異常事象。つまり能力が起るわけだな。身体を電気回路にすると理解しやすい。体が電気回路で因子は電子、能力が電球ってとこだな。」

なるほど。全然わからん。

「つまり、能力は無制限に使えるわけじゃなくて実体的に身体に負担が掛かってるってことですか?」

「そういうことだな。能力を使えば因子は体内を高速移動し、身体に負担が掛かる。」

能力は使うほど身体がダメージを負うのか。


「加えて言霊には能力を起動する為の条件、つまり能力のトリガーが身体に存在する。」

「五泉君、俺が君を助ける前。つまり阿賀野に殺されかけた時の様子。覚えてる?」

不意に三島さんの言葉に、脳裏に風景が浮かんだ。

確か三島さんが「言霊の使い方を見せてやる」って言って時、確かに三島さんの腕は朱色が巡っていた。三島さんの言霊の能力のトリガーは腕ってことか。

そして動けなかった僕はというと。

「確か、すっごい両目が熱かった気がします。」

「そ。つまり五泉君の『テセウスの船』のトリガーである眼は、無意識の内にとんでもない負荷を受けてたってこと。」

つまり両目が熱かったのは実際に僕の眼球が灼けるほど熱持ってたってことでは...


「え?普通にあの時の僕めっちゃ危なくないですか?」

「うん。めっちゃ危なかったね。ほんと因果の果てのスレスレだったよ。」

「因果の果てのスレスレ!?」

「うわビックリした!!いきなり大声出さないでよ!!」

窓の外でも見ていたのかずっと物静かだった柚がいきなり大声を上げた。と、同時に陽菜が驚き跳ね上がった。


「因果の果てって何ですか?」

真隣で右耳を破壊された陽菜は頭を押さえながら出雲医院長に声掛けた。

「さっき能力の行使は身体に負担を掛けるってさっき言ったろ?能力によって摩耗した身体は瓦解するがその時に因子が蒸発する影響を受けて事象に飲まれるってことだ。」

????????さっぱりわからんが???????

僕の様子を見かねた出雲医院長は口を尖らせた

「つまり、能力者は能力の使い過ぎで身体が瓦解すると、能力に巻き込まれて死ぬってことだ。実際にどんな影響があるのかは未知数だけどな。」


三島さんはホワイトボードをおもむろに片付け始めると

それをみた出雲医院長は僕らを指さし、声高らかに宣言を挙げた。




「さて、諸君。授業はここまでだ!これから実際に研究機関としての実務に動いてもらうぞ!」

僕と陽菜、柚の間に空気が澄み切る。



緊張感は持っていく。

陽菜の記憶を戻し、僕はこの力を正しきことに使う。

この緊張感はきっと。そのために必要だから。



出雲医院長の口から出た指令。



それは





「シャンプーと今日の夕飯の食材。買ってきてくれ。」



パシりだった。許せねぇ。

閲覧いただきありがとうございます。








作者の柚原 透です。
















ページ下部分にあるポイント評価をササっと、評価を着けて頂くとと幸いです!!
















好評でなく、アドバイス等でももちろん大歓迎です!








評価していただけると本当に幸いです!
















皆様から頂いた声を励みに、頑張っていきたいと思います!
















この時間のお相手は、柚原 透でした。
















作者Twitter @yuzuhara_yuki

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