表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
図書館司書の伯爵令嬢は仕事に夢中です
2/205

ジュリア・ロベール伯爵令嬢

「あら?これは…」

ここはアメスト王国王立図書館。司書である私、ジュリア・ロベール(これでも一応伯爵令嬢)は、返却された本を点検している真っ最中。


この王立図書館は、アメスト王国王宮の北塔にある。ここには、国中から集められたあらゆる書物が納められており、最近では周辺諸国から収集した書物も増えてきている。


司書としては仕事が増えて大変ではあるのだが、本好きの私個人としては嬉しい限りである。おっと、また考えが脱線してしまった。


「これは、書類…かしら?栞代わりではなさそうですし、誤って挟んでしまったようね。貸し出し記録は…っと。レイモンド・ヴィレット様というと、あの王太子補佐の?」


レイモンド・ヴィレット公爵――――21歳という若さで公爵位を継がれただけでなく、王太子殿下の補佐としてこの国を支えていらっしゃる方。


誰もが振り返るほど整った容姿に加えてこの地位と財力。にもかかわらず現在は恋人も婚約者もいらっしゃらないため、縁談が引っ切りなしに舞い込んでいるのだとか。


ちなみに私自身、彼の公爵様にお会いしたことは一度もない。情報源は、やたらと情報通の同僚である。


「お仕事に必要な書類でしたら大変ですわ。午後にでもお返ししに参りましょう。」


午後は特に急ぎの仕事はなかったはずだ。


午前中は、今朝届いた本を確認して分類しなくてはならない。新しい本との出会いはいつでもワクワクしてしまう。

誰よりも早く新刊に触れて読むことができるのだから、役得である。


「申し訳ありませんが、今日届いた本の確認はジュリア様にお願いしますね。」


テオドール様が申し訳なさそうに、今朝届いた3冊の本を差し出してきた。


「はい。お任せくださいな。この数でしたら午前中には終わると思いますわ。」


私はワクワク感が顔に出そうになるのをどうにか押さえて、すました顔で本をそっと受け取った。伯爵令嬢たるもの、人前では子供っぽい振る舞いは控えなくては。


新刊が届くと、ジャンル別に分類するために、ある程度内容を把握する必要がある。本来は司書皆で分担して行う作業なのだが、今日は私ひとりだ。


今朝届いた本はトルマ王国から寄贈された本であり、当然トルマ語で書かれている。そのため、読める人間が限られているのだ。


「これもみんなお母様のおかげね。他国へ嫁ぐことになんてならないのになぜ?と思っていたけれど…」



私はこれでも伯爵令嬢であり、亡くなったお母様は優しく美しく、そして教育熱心な人だった。


貴族としての教養や作法はもちろん、ダンスに語学、果ては料理や掃除など、およそ令嬢らしくないことまで教え込まれた。


曰く「知識や技術は、いくらあっても困るものではありません。上に立つ者だからこそ、使用人の仕事までもきちんと把握なさい。たとえ実践はできなくとも、知ると知らないとでは雲泥の差があるのですよ。」とのことだった。


容姿はお母様には遠く及ばないけれど、お母様譲りのプラチナブロンドの髪とエメラルド色の瞳、そして今までの経験は私の誇りであり、お母様が生きた証でもある。


別のことを考えながらでも、目は文字を追い、手はページをめくり、頭は情報を処理していくのだから不思議だ。3冊の本を流し読みし、それぞれの内容を簡単に書き留める。


すると、ちょうどお昼の鐘が鳴ったので、いつも通り先輩たちと一緒に、王宮の大食堂で昼食をとることにした。

初投稿につき、誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

ブクマ、評価、コメント等していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ