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【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
両片想いの公爵夫妻はすれ違っております
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それはない

「リア、よろしいですか?」


「はい、お願いします。」


レイモンド様の手を取り、そして―――



「今日はこのくらいにしましょうか。」


「そうですね、ありがとうございました。」


「ええ、ではまた明日。」


うん、今日も疲れた。レイモンド様とダンスの練習を始めて1週間…最近はお仕事の方も残業などなく、帰宅後のダンスの練習は日課になりつつある。


やはりレイモンド様のリードはとても踊りやすい。今まで、ダンスがこんなに楽しいものだと感じたことはなかった。そう感じるのは踊りやすいからか、それともお相手がレイモンド様だからなのかは…まあ、考えないでおこう。



「最近の奥様は、とても生き生きとしておいでですね。」


湯浴みの後、私の髪をくしけずりながら鏡越しに尋ねてくるライラ。


「そう…かしら?」


「ええ!何だかとても楽しそうです。」


そう言うモニカも何だか嬉しそうだ。


ここ最近は――レイモンド様に任されていた離れの模様替えをしていたっけ。使用人の皆さんの意見も聞きながらカーテンや絨毯、調度品などを替えていき、ようやく仕上がったのだ。


時間はかかったが、だからこそ達成感もあったし、任せてもらえてよかったと思える。生き生きとして見えていたというのは、きっとそういうことだろう。


「そうね。離れの模様替えをしたおかげで、使用人の皆さんともよく話せたし、とても充実した日々だったわ。」


「そうですね。奥様から相談を受けて、一緒に模様替えの作業をして…なんだか、奥様との距離がより近くなったように感じました。メイドや庭師…他の使用人たちも、皆そのように申していましたよ。」


心から嬉しそうなモニカの言葉に、私の胸も温かくなった。そうなれればいいなと思って、使用人の皆さんを積極的に巻き込んで、離れの模様替えをしたのだ。思惑通りというと言葉の印象は悪いけれど…本当によかった。


「奥様、最近の出来事はそれだけですか?」


ライラの言葉に首を傾げる。

それだけ?でも、それ以外というと新しいドレスを仕立てたり、ダンスの練習をしたり…夜会に向けての準備くらいなのだが。


「最近は毎晩、旦那様とダンスをなさっていますよね。」


それはそうだけれど…あれは私の練習にレイモンド様が付き合って下さっているだけで、夜会の備えという以外の意味は特にない。


「お二人のダンスはとても優雅で美しくて…つい見とれてしまいます。息もピッタリですし、ステップも完璧。それなのに毎晩一緒にダンスだなんて、本当に仲睦まじくていらっしゃいますね。」


続いたモニカの言葉に驚きすぎて、咳込んでしまった。


「まあまあ奥様、大丈夫ですか?」


ライラの差し出してくれた白湯を一口飲み、呼吸を整える。


「ありがとうライラ、もう大丈夫よ。」


仲睦まじい…まさかそんな風に見られていたなんて。あれはただの練習なのに。

しかしモニカの言葉通り、ダンスのステップで不安なところはもう特にない。レイモンド様のリードも完璧で、もう練習の必要もないだろう。


…ん?ではなぜ、レイモンド様は練習を終わりにしないのだろう。いや、それは私も同じか。


――言い出すタイミングを逃して。

――なんとなく言い出せなくて。

それとも――もう少し一緒に踊っていたくて?


いやいや、それはない。


ううん…わからない。


「奥様、そろそろドレスが仕上がる頃ですね。」


ライラの言葉に、考え事に沈んでいた思考がふっと浮上する。そういえば、そろそろマダムが言っていた納品の時期か。


「そうだったわね。届いたら試着してみるから、準備をお願いね。」


「もちろんです!せっかくですので、旦那様とのダンスの時間に着てみてはいかがでしょう?」


ダンスの時間に?

たしかに、仕上がりの美しさや着心地だけでなく、踊るときの動きやすさも確認しておいたほうがいいかもしれない。


「そうね、モニカの言うようにするわ。じゃあ二人とも、そのつもりでよろしくね。」


「「かしこまりました。」」

読んで下さってありがとうございます。


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