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【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
図書館司書の伯爵令嬢は仕事に夢中です
11/205

午後の業務

「『薬草の見分け方』これは…薬学?いえ、植物学でしょうか?」


「それは…難しいですわね。」


目録の再編という名の、ジャンル分けの細分化はなかなかに困難である。テオドール様と私がいま取り掛かっている書棚は医・薬学分野の棚だった。


医療や薬関連の書籍が随分と増えたため、ジャンルを更に細かく分けることにしたのだ。


「とりあえずは薬学と植物学、両方の目録に記しておいてはどうでしょう?保管先は薬学の棚と書き添えておけば、問題ないと思いますわ。」


「なるほど。では、そうしましょう。」


ジャンル分けを細かくすると、複数のジャンルと被る本も出てきてしまう。しかし、本を探しづらくなっては本末転倒なので、しっかりと仕分けをしなくてはいけない。


「こちらの本には…毒薬や劇物に関する記述がありますわ。」


「でしたらその本は、閲覧にも規制をかけた方がいい。後で奥の書庫に移しましょう。」


「後で…ですか?」


珍しい。テキパキと仕事をこなすテオドール様は、仕事を後回しにするのを嫌うのに。


「ええ。いま書庫は散らかっているでしょうからね。財務部からの依頼で、フレデリックが古い年鑑を探しているんですよ。」


王立図書館の奥にある書庫には、さまざまな本が収められている。


先ほどの劇物の本のように悪用されうる内容の本や、貴重な初版本など。こういった本は閲覧や持ち出しが制限されるため、解放された書棚ではなく書庫で管理されている。


それから、アメスト王国の歴史や出来事などを記した年鑑や古い帳簿などの資料。こういった国政に関わる資料は、通常は文官の執務室が集まっている東棟の資料室で管理されている。


しかし資料は年々増え、膨大な量になっていく。そのため、一定年数を過ぎた古い年鑑などは王立図書館の書庫で保管しているのだ。


「古い年鑑を?フレデリック様も大変ですわね。お任せしてしまってよろしいのでしょうか?」


「構いませんよ。重い年鑑を何冊も運ぶような力仕事は女性向きではありませんし、彼に任せましょう。」


「…それでは、先ほどの本を書庫へ移すときに、様子を見て手伝うことにしますわ。それまではフレデリック様にお任せいたします。」


テオドール様はああ言ったが、さすがに先輩に仕事を任せっきりというわけにはいかない。これがせめてもの譲歩だ。


「ジュリア様らしいですね。わかりました、そのときは僕もご一緒しますよ。」


テオドール様が苦笑しながらも了承してくれた。


「ありがとうございます。そうと決まれば、早々にこの書棚を片付けてしまいましょう!」


こうして、大急ぎで目録の再編と本の整理を終わらせた。その後向かった書庫では、フレデリック様が大量の資料に囲まれて四苦八苦しているようだった。


手伝いますと伝えるとパッと表情が明るくなったので、つい笑ってしまいそうになったものだ。


依頼された年鑑を探し出して揃え、ついでにそのまま書庫の整理をしていく。そうしているうちに、あっという間に終業の時間になってしまった。


午後の業務に忙殺されていた私の頭からは、ヴィレット公爵からの異動願いのことなどすっかり抜け落ちていたのであった。

読んで下さってありがとうございます。

評価いただき感謝感激です!


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

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