評価ポイント18,000,000の小説を書いた男
その日、男がネット上にあげた小説は伝説となった。
現在、『小説家になろう』の登録者は約180万人。
一人が10ポイント入れることが出来るので、最高で1800万ポイント獲得できるわけである。
具体的な数字は1,784,625人。
そして、彼がその小説でゲットした点数はまさに1,784,6250ポイントである。
人間には個性がある。
この地球上に存在する個体には、一人として同じものはいない。
それこそが細胞の揺らぎであり、それによって人類はあらゆる危険に備えているわけだ。
もしも同じ人間ばかりだったら、一つの脅威で全滅してしまう。
それを避けるため、遺伝子は少しづつ進化し、変異しながら、人間はその数を増やしてきた。
つまり、個性とは生物が生存競争を生き抜くために獲得した武器なのだ。
つまり、どんな人間にもその『個性』がある限り、それぞれ完璧な意味があるわけである。
大事なのは「違う」ということであり、そこに優劣はない。
そして、個性があれば趣味趣向が生まれる。
同じ絵画を見ても、同じ映画を見ても、同じアニメを見ても漫画を読んでも、千差万別、一人一人感じ方が違う。
もちろん、“なろう小説”を読んでも、それは同じだ。
だからこそ、このサイトでの最高獲得評価ポイントでも約200000ポイントなのである。
しかし。
この男が書いた小説は、アカウントを持った人間の全てに評価させることに成功した。
それも、全員が10点満点である。
つまり――
人間の武器である「個性」を完全に放棄させたのだ。
繰り返すが、その男が書いた小説は、180万人全ての人間が10ポイント、即ち満点の評価を与えた。
テンプレが好きな人間。
テンプレが大嫌いな人間。
ほのぼのモフモフが好きな人間。
ドロドロ人間関係が好きな人間。
ハッピーエンド至上主義者。
バッドエンド原理主義者。
その全ての人間が思わずタイトルに惹かれてクリックした。
評価をする人間。
評価をしたがらない人間。
人気者が大好きな人間。
人気者が大嫌いな人間。
人間が嫌いな人間。
小説が嫌いな人間。
その普く人間が平伏し、導かれるように10ポイントを入れた。
そんな小説を書き上げたのだ。
これは小説家になろうというサイト史上初めての出来事であり、また、人類の歴史上初めての出来事もあった。
ノーベルだとかギネスだとかそんなあまっちょろい勲章ではない。
ここまで数の人間の意志を統一し、完全に補完できたのは有史以来の快挙なのであった。
男が書いた小説は、言わば全人類共通の聖典、或いは言語そのものであるとさえ思われた。
男の名前は山田マイク。
つまり、この作品の作者である。
つまり、『伝説の小説』とはこの作品のことである。
さあ、みなさん!
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