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ナナイロノミチ  作者: 涼音 星夜
男と女
23/29

旅立ち

 あともう少しで今年も終わる。いろいろあったがあっという間だった一年。そういえば、そろそろ翔太も帰ってくる予定だ。翔太は父の出張先のカナダへと数週間行っているらしい。あれ以来、翔太とは学校ですれ違う程度で話すこともなかった。彼の気持ちに答えられず、傷つけてしまう結果となり、嫌われてもしょうがないよなと照人は思っていた。そうしていると照人の携帯にメールが届いた。


 年が明けて翔太の旅立つ日。照人は空港まで見送りに出かけていた。翔太から送られたメールには、来年から留学することに決まったということと出発する日が書かれてあった。翔太は母や兄に囲まれ、名残惜しそうに話している。少し離れたところで翔太を見つけた照人だったが、なんとなく話しかけられずにいた。ふと、照人に気が付いた翔太が駆け寄ってきた。

「照人君、ありがと。来てくれたんだね」

「ああ……あの、これ」

「えっ? なに?」

「やるよ。飛行機に乗ってから開けて」

「うん、ありがと。これ、僕からも。はい」

「おう、ありがとな」

翔太は小さな紙袋を照人に渡し、(うつむ)いた。

「照人君……僕……、照人君に出会えて良かったよ。僕、ずっと忘れないからね」

翔太は照人にギュッと抱きついて長めのハグをした。

「翔太……」

飛行機の出発時刻を案内するアナウンスが聞こえる。

「翔太ー! そろそろ行かないと!」

「うん!」

翔太は母に急かされ、照人から体をゆっくり離し、照人の手を握り締めた。

「じゃあ、照人君。……さよなら」

翔太は母と兄の方へと駆け出す。

「翔太……元気でな! また会おうな!」

翔太は振り返らず、翔太の母と兄は照人の方へ会釈して出発ゲートへと向かって行った。


「翔太……きっとまた、会えるよな……」

カナダ行きの飛行機が飛び立った。照人は飛行場の展望デッキから、翔太が乗った飛行機を見送った。


 窓際の席に座っている翔太は、小さくなって行く日本の故郷を見つめていた。それから翔太は、照人から貰った包みを開けてみる。

中には手紙と写真立てが入っていた。

『翔太へ 好きになってくれてありがとう。俺は恋人にはなれなかったけど、翔太に出会えてよかったよ。あんなこと言って傷付けて嫌われたかもしれないけど、翔太の幸せを心から祈ってる。向こう行っても翔太ならきっと、すぐに友だちも恋人もできるよ。だからずっと、そのままの翔太でいてください。そしてこれは、大好きな人ができたら使ってくれ。寂しくなったらまたいつでも連絡くれよな。いつかまた、笑顔で会える日を楽しみに待ってるよ! 照人』

「照人君……大好きだよ……」

翔太は手紙を抱きしめて涙を落とした。

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