4 先輩の意外なステータス
「ここなら邪魔も入らないだろ?」
そう言って先輩に連れてかれたのは生徒会室。
・・・ここまで、来るのにえらい注目を浴びましたよ。
普段の視線よりいく分鋭い視線も混じっていたことからやっぱり先輩は人気ものなんだなーとしみじみと思ったのと、そんな先輩に親しみを持たれた僕は後に大変な事態に巻き込まれそうだと少し先行きが不安にはなったけど・・・
「先輩って、生徒会の関係者なんですか?」
「おや?知らなかったのかい?」
意外そうな先輩に頷く。
正直、興味がなかったので生徒会役員のことどころか会長すら知りませんよ。
全校集会も半分くらいは聞き流す程度には興味はないのです。
そんな僕に先輩はくつくつと笑ってから「やはり面白い・・・」と呟いて笑顔を浮かべた。
「じゃあ、ゆき。とりあえずお昼にしようか」
「はぁ・・・それはいいですけど、僕はこの部屋にいても大丈夫ですか?他の役員の方とか会長さんに後で何か言われたりは・・・」
「おや?それなら心配いらないよ。なにせ・・・」
そう言って先輩は女とは思えない程のイケメンスマイルを浮かべて言った。
「私が生徒会長だからね」
・・・・わーお。
ジョークとかではないんだよね?
ある意味納得だけど・・・
「そうなんですか。じゃあ、いいですね」
何がいいのか自分でも分からないがとりあえず頷く。
「ゆきは・・・ここに座るといい」
そう言って先輩に指示された場所に大人しく座る・・・・が。
「あの・・・先輩?」
「なんだい?」
「こんなに広いのに何故僕の隣に座るんですか?」
横長のテーブルに室内は二人なのに何故か自然に隣に座ってきた先輩。
しかも、かなり近いです。
「いけない?」
「いえ、別にいけなくはないですが・・・」
「じゃあ、問題ないね」
そう言って先輩は持っていたビニール袋からおにぎりを出して食べ始めた。
仕方ないので僕も隣に先輩が座ってきたことはスルーしてお弁当を食べることにする。
時間もそんなにないしね。
「ゆきはお弁当か・・・自分で作ったのかい?」
「ええ、家は両親が共働きで家事は僕の仕事ですから」
「そうなのか・・・私は料理が苦手だから羨ましいよ」
「そうなんですか?」
凄く意外だ。
先輩みたいな人種は基本的に万能なはずなので、思わずそう聞いてしまうと、くすりと先輩は笑った。
「ふふ・・・まあ、私の家は基本的に両親が忙しい上に私も生徒会活動とかで、なかなか時間がとれないからね・・・まあ、あとは単純に外食とか惣菜が多いからかな?」
「そうなんですか」
なんだか色々ありそうな先輩に、これ以上の詮索は野暮かと思いそう返しておく。
と、先輩は、何やら閃いたという表情で僕に言った。
「そうだ・・・ねえ、ゆき。ものは相談なんだけど・・・私の分も明日からお弁当作ってきてくれないかい?お金はもちろん出すから」
「いえ、お金は別にいいんですが・・・僕の料理で大丈夫ですか?」
何やら話を聞いてると、先輩は外食系が多そうなので僕の料理が口に合うかは定かではない。
そんな僕の疑問に先輩はニッコリと微笑んで答えた。
「ゆきの料理がいいんだよ」