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邪竜の建国物語  作者: セリカ
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第一話 我が子

オジナル小説の投稿は初めてになりますが、よろしくお願いします。

 とある世界

 そのとある平原


 鼓舞する声が、絶望の叫びが、ぶつかり合う金属音が、駆ける馬の蹄音、兵士の歩く鎧の音が混じりあう。

 草花は踏み潰されるか、この場にいる者達がぶちまけた血反吐に染まっていた。


 その戦場で少し離れたところから高みの見物をしている鴉が一羽。


 この鴉、明らかに異質であった。

 自身の近くに流れ矢が来ようが、お構い無しにただ戦場を眺め、観察していた。


 そして、死肉を求めて集まっているハゲタカ達は恐れるように近づくことをせず、警戒するように食事を行うこともしなかった。


 どのくらい戦場を眺めていたか、満足したように戦場を後にする鴉。


 その背後ではそれを合図にハゲタカ達の食事が始まるが、鴉はそれには見向きもせず飛んでいく。


 鴉は森を超え、街を超えても翼を休める事無く、飛び続ける。


 そんな鴉に近づく黒い影


 それもまた鴉であった。


 また一羽、また一羽、十羽ほどの鴉が集まり、一つの場所を目指して飛んで行く。


 どれだけ飛び続けるのか、鴉達がゆっくりと高度を落とし始めたのは人が近づくことの無い深い森。


 木々を縫う様に鴉達は危なげなく飛翔し、辿り着いたのは地中へと続く洞窟。


 その洞窟の中へ一瞬の躊躇いも無く飛び込んでいく鴉達。

 洞窟の入り口にいた漆黒の獣は僅かに視線を向けるも、すぐに鴉達の邪魔をする事無く見送った。


 普通の鴉であれば洞窟の壁にぶつかり絶命していそうなものだが、当たり前のように地の底へ底へ向かって突き進む。


 そして、洞窟の最深部


 巨大な空間が広がる中で鎮座し鴉達を出迎える存在、全身を漆黒の鱗に覆われ、金色の瞳、鋭い牙と爪を持つ、巨大な竜であった。


 鴉達は竜を恐れるでもなく、速度そのまま、竜の足元に突撃していく。


 地面に向かっての突撃だがこの空間に響いた音は鴉達が地面に叩きつけられる音ではなく、ドプリと沼に石を投げ込んだような音であった。


 魔術により生み出した使い魔。

 魔術に通じる知識を持つ者ならば、その正体を理解するであろう。


 たが同時に驚愕したであろう。


 自身の影から使い魔を生み出し、使ったあと用は済んだとばかしに自身の影に戻す。


 竜は気にしていないようだが、魔術師の常識から見ればあり得ない光景である。


 生命の無い者に魔力を使い使い魔を生み出す技術は確立しているし、持っている者もいる。

 だがそれを生み出すまでに使用する魔力、使い魔の心臓となる触媒を考えれば一度生み出して元の生命の無い姿に戻すことは無い。


 例外としては代わりの新たな使い魔を生み出したなど自身の手で処理するか、戦闘などにより他者に破壊された時ぐらいだ。

 故に一般的なの魔術師は鳥など小動物を支配下に置き使い魔とする。


 これだけでも竜の保有する魔力の多さの証明となる。


 だがこの竜は人間を、人種という存在を警戒していた。

 竜自身も名を挙げようと向かってきた者達を屠ってきたこともある。

 騎士と魔術師達からなる軍隊を粉砕したこともある。


 だというのに竜は警戒しているのだ。

 人という存在を


 他の竜がこれを知れば焼きが回ったのかと嘲られるであろうが、無論それほど呆けているわけでもない。


 竜はこれまで使い魔を飛ばし世界のあらゆる場面を見てきた。

 新たな国が生まれるところも、滅ぶところも、平和な街も、略奪と虐殺に犯されていく街も、人と人の戦争も、人と魔の戦いも

 同時にあらゆる種族も見てきた。

 人を、獣を、精霊を宿す者を、獣を宿す者を、魔性を宿す者を、神性を宿す者を


 そして、気がついたのだ。

 人は弱いと。


 身体能力、魔力保有力、神性や魔性などを宿すための性能が他の者達と比べて劣っている。


 一対一の戦いであれば人であれば勝ち目は無い。

 無論、ごく稀に天性の才や異常な鍛錬により人の限界を超えている者もいるが、人数で考えれば一握りである。


 だがこの世界の大半を領地として持つのは人種である。


 技術を鍛え、知恵を働かせ、群れを成し、弱い種族でありながらこの世界の中心に、世界の多くを占めるのは人なのだ。

 侮ってはならない。

 否、今はまだ他の種族との力関係があるが、技術の発展がそれを超えたとき、人以外の種族の居場所は無くなるであろう。


 そして、それは竜であっても例外ではない。


 巨大な肉体を持ち、牙を、爪を、魔力をもってしてもまだ足りぬ。

 技術を持ち、狡猾に、策略を巡らせ、群れを作り上げる。

 人だけでなく、魔を宿す者を、神聖を宿す者を、獣を宿す者をまとめあげ、己の領土を構築せねばならない。


 滅ぼされること無く、世界の移り変わりに流れ消えていくのではなく、流れを作るのだ。


 だが自身ではそれを行い、己の眼でそれを見届けることは叶うことはないだろう。


 しかし、それで良い。

 我が子に伝え、その中で見届ければいい話なのだから。


「やはり次代の子はこの姿を捨てねばなるまいか」


 能ある鷹は爪を隠す、とはいつぞの時代で人が口にしていた言葉。


「さしずめ、能ある竜は爪と牙を隠す、といったところか」


 竜である自身が人の諺をまねることになるということに僅かに口を歪め、そのまま大きく口を開く。


 出てきたのは高密度の魔力を纏い、ぼんやりと光る卵のような球体。


 それに愛おしそうに寄り添う竜。


「我が愛し子。

 我の、否、人種以外の未来を背負う者よ。

 我が悲願、どうか叶えてくれ」


 ぼんやりと光る球体の中には、ようやく人の形になったばかりの赤子の姿があった。

改めまして、はじめまして。

にじふぁん時代を覚えていただけてる方はご無沙汰しております。


前々より構想はしておりましたオリジナル小説になります。


気に入っていただけると幸いです。


ではでは

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