村の外
足が痛む。そろそろ足を休めたいが、それどころではない。あいつらは、炎に一瞬驚いたようだが、すぐにこちらに来た。
「……あ、ナイフ見っけ」
「なにっ!?」
先程から本当に使えなかったガルムがやっと使えるようになった。
「果物ナイフだけどな。ポケットにあった。」
「それでもいいからっ!早く貸せ!」
半ば強引に奪うと、足元に転がっていた尖った石で文字を彫り込んだ。
「おい?大丈夫か?」
「…………よし!」
走りながら書いてるため、少しグチャグチャになったが問題ない。
「聖浄の魔法をかけた。これであいつらに致命傷を与える事ができる」
本の知識を使って作り出した呪文だ。アンデットは光に弱く闇に強い。闇がある方が強くなれる。今は昼間だが、太陽が隠れているため薄暗い。
「すげーな……流石チビ」
「チビは余計だ!チビは!」
ガルムにナイフを渡す。多分だが、今は必要ないだろう。
もう直ぐ後ろにアンデット達が迫ってる。
このまま出たら、他の街や村に危害が及ぶかもしれない。あまり人が死んでも、色々と大変だ。
「少し殲滅してから行くぞ!」
「はいはい、おチビさんの仰せのままに。」
「チビはお前だろ!この鈍間」
敵を一掃するには上級呪文の方が早く終わる。パッと思いついた魔法を、アンデットに向かって放つ。
「氷風!」
吹雪を伴った氷の嵐が敵を凍てつかせる。
これで少しは敵は減った。続けて、また魔法を放つ。今度は詠唱付きだ。
「地を這う神竜よ、悪夢を見せ、正義を斬る虎を狩れ。雷竜魔法!」
地から雷の竜が現れ、アンデットたちのはらわたを食いちぎる。このくらいで大丈夫だろう。
「おい、出口が見えてきたぞ」
そのまま休むことなく走り続け、へとへとの私にその言葉はとても嬉しかった。