最悪な状況
そういえば、忘れていたが逃げるにしろ武器が必要だ。なかったらヤバいしな。
「ところで、お前。武器は持ってるか?」
「いや、無いけど」
「…………」
「ん?」
「死ね。火に焼かれて死ね。拷問されて死ね一片の欠片も残さず消えろ」
考え付く限りの罵倒の言葉を投げつける。
本当に死んで欲しい。今すぐ死んでも構わない。むしろ嬉しいです。
「待て、俺なんかしたか!?」
「普通、外に出る時は、護身用の武器を、持ってくるものだろう!分かんないのか?その濁った死んだ魚みたいな目から情報は、手に入らないのか?お前の脳味噌が、足りないんだな!?じゃあさっさと補充してこい。ゴミクズがぁっ!」
「…………」
口をパクパクとさせてるが声は出てない。よほどショックを受けたようだ。それでも、何とか言葉を捻り出した。
「………す、すみませんでした」
「謝るな!さぁ、さっさとこんな所から出て行くぞ。腐乱死体たちにやられ……」
長く鋭い毒爪攻撃を紙一重で避ける。
このガキの所為で、腐乱死体がすぐ近くまで来てしまっていた。
急いで、腐乱死体たちに背を向け走る。走り慣れていないので、足が痛む。
「ああ!クソッ!お前の所為だぞクソガキ!」
「俺の所為?」
「当たり前だ!お前が武器を忘れなければこんな事にならずに済んだ!」
足を止め、腐乱死体達のほうを向く。
「よし、炎魔法!」
炎が腐乱死体達を囲み、行く手を塞ぐ。ガキの手を掴み、走り出す。
「これで多少はもつ。さぁ行くぞ鈍間!」
「…………はい」