表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青空の天使  作者: 夏蜜柑
5/39

ルーベンの村

梯子を降りると地下水路に出た。適当に進んで梯子を上ると、今にも崩れ落ちそうな壊れかけた建物の中につながっていた。

「ここは………教会か。周りの家々も一昔前のものだし。となるとここはルーベンの村」

「ルーベンの村?」

「何だ?何十年も生きてるエルフ様が分かんないのか?」

「数十年閉じ込められてたんだ。外の事なんてしる訳ないだろう!」

「おおっと、すみませんね」

何かあるといけないから二人で探索する事になった。

教会の中には冒険の記録を書く聖書、金のロザリオ……などなど普通のものばかりだ。

ただ一つ。血の涙を流してる聖女像だけが異常なだけだ。

「この村は二十年前、血紋症っていう竜の紋章が現れたところから血が噴き出して、死ぬっていう伝染病が流行ってな。そのせいで、ここは国に潰されたんだ。」

「ふーん。」

別に私には関係ないことだ。欠伸混じりで返事をする。

「とりあえず、ここから出てみるか」



外は“異常”だった。

壊れかけてはいるが、綺麗に整備された街並みだが、生活感が全くない。

全てが異常だった。死体の一部が至る所に捨てられてるところが特に。

顔の半分に、右腕左足、腐った脳味噌etc。

「気持ち悪い」

「同感だ」

銅像が一つ立っている。ガルムのだ。腕と足が無く、触れると簡単に崩れていった。

「不吉すぎだろ?」

そしてその隣には、顔が半分ない私の像が立っていた。

「………そういや、この村は不吉な事を作り出す村って誰か言ってたな」

私を犯して行ったとき誰かが言っていたような気がして、ついつい口に出してしまう。

「確か、怖いもの好きのピーターだろ?彼奴の話にはみんな肝を冷やしたよ」

ガルムは呆れたようにため息をついて、少し笑って言った。

「……ふふっ」

何か可笑しいな。特に何でもないのに、笑いが込み上げてくる。

「え?なんかおかしい事した?」

「お前は……っ、なんにも……してな……っい!」

なんとか堪え切った。堪えきれてないけど。

ヤバい。なんか楽しい。吹き出さないようにするのが困難なくらい。

こんな事、今までなかったのに。



「この村って、確か何回か右に回って左に何回か回ると出口が見つかるらしいな。お前も知ってるだろ?」

「曖昧すぎだな。それに私はその話を知らない。」

「この辺にいるやつ全てが知ってるぞ。」

「………親のせいで家から出してもらえなかったから、何も知らないの。知ってるのは、魔法だけ」

厳しい人たちだった。

だけどあの人達がいるおかげで、今の私はいる。それでなきゃ、意味はない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ