ルーベンの村
梯子を降りると地下水路に出た。適当に進んで梯子を上ると、今にも崩れ落ちそうな壊れかけた建物の中につながっていた。
「ここは………教会か。周りの家々も一昔前のものだし。となるとここはルーベンの村」
「ルーベンの村?」
「何だ?何十年も生きてるエルフ様が分かんないのか?」
「数十年閉じ込められてたんだ。外の事なんてしる訳ないだろう!」
「おおっと、すみませんね」
何かあるといけないから二人で探索する事になった。
教会の中には冒険の記録を書く聖書、金のロザリオ……などなど普通のものばかりだ。
ただ一つ。血の涙を流してる聖女像だけが異常なだけだ。
「この村は二十年前、血紋症っていう竜の紋章が現れたところから血が噴き出して、死ぬっていう伝染病が流行ってな。そのせいで、ここは国に潰されたんだ。」
「ふーん。」
別に私には関係ないことだ。欠伸混じりで返事をする。
「とりあえず、ここから出てみるか」
外は“異常”だった。
壊れかけてはいるが、綺麗に整備された街並みだが、生活感が全くない。
全てが異常だった。死体の一部が至る所に捨てられてるところが特に。
顔の半分に、右腕左足、腐った脳味噌etc。
「気持ち悪い」
「同感だ」
銅像が一つ立っている。ガルムのだ。腕と足が無く、触れると簡単に崩れていった。
「不吉すぎだろ?」
そしてその隣には、顔が半分ない私の像が立っていた。
「………そういや、この村は不吉な事を作り出す村って誰か言ってたな」
私を犯して行ったとき誰かが言っていたような気がして、ついつい口に出してしまう。
「確か、怖いもの好きのピーターだろ?彼奴の話にはみんな肝を冷やしたよ」
ガルムは呆れたようにため息をついて、少し笑って言った。
「……ふふっ」
何か可笑しいな。特に何でもないのに、笑いが込み上げてくる。
「え?なんかおかしい事した?」
「お前は……っ、なんにも……してな……っい!」
なんとか堪え切った。堪えきれてないけど。
ヤバい。なんか楽しい。吹き出さないようにするのが困難なくらい。
こんな事、今までなかったのに。
「この村って、確か何回か右に回って左に何回か回ると出口が見つかるらしいな。お前も知ってるだろ?」
「曖昧すぎだな。それに私はその話を知らない。」
「この辺にいるやつ全てが知ってるぞ。」
「………親のせいで家から出してもらえなかったから、何も知らないの。知ってるのは、魔法だけ」
厳しい人たちだった。
だけどあの人達がいるおかげで、今の私はいる。それでなきゃ、意味はない。