表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青空の天使  作者: 夏蜜柑
33/39

聖なる泉の底


夜は毒抜きをした魔物の肉と軽く炙りトロトロに溶けたチーズを食べた。

アルスは食べるのを嫌がっていたようだが、少し脅すと大人しくなった。

魔物の肉は柔らかく、食べやすい。本来ならば毒が強くとても食べられないものだが、料理について学んでいたメイリンに毒抜きを任せ、調理してもらうと美味しそうな焼肉となった。

「あーあ、金のなる木ガ欲しいでス」

焼肉を口に放り込んでメイリンは言った。

「金なんて、沢山あっても意味はないさ。金で私が囚われることを止められたわけでもないし。」

金は生きる為に必要なだけで、捕まった時には全く役に立たない。

私の話を聞いてなのか、彼女は泣いていた。子供のように泣きじゃくっていた。私の目の前で堰を切ったように泣き咽んでいる。

「お、おいっ!泣くなよ………」

アルスも何故か泣きそうになっており、メイリンの背中をさすってあげている。ガルムは下を向いていて、どんな表情なのかは見えない。

私はぼんやりとその光景を見つめていた。


「神よ、我らに光の御加護を……」

少年はメイリンが泣き疲れて寝たのを見届け、十字を切り、眠りについた。

ガルムは木にもたれかかって寝ているようだ。

この近くから微量だが聖なる魔力を感じた。そして、今日は人狼族が狂喜乱舞する満月の夜だという事も気づいた。



魔力の跡を追っていくと、透明な水が溢れ出る泉を見つけた。泥と血で汚れたローブを脱ぎ捨て、爪先から冷たい水の中に滑り込む。

綺麗な水が様々な生き物の血で塗れた私の身体を浄化してくれた。

水の中に顔を入れてみる。目を開くと、よくは見えないが底に取っ手がついた扉が付いていた。一度息を吸う為に顔を上げ、力を強化する魔法をかけ潜って中々重い鉄の扉を開ける。穴の中に水は吸い込まれていかなかった。扉の取っ手についていた出っ張りを知らず知らずの内に押してしまう。

出っ張りを押すと、見る見るうちに泉の水が何処かへ消えていった。穴の中に入っていったわけではない。

穴の奥底は見えず、延々とハシゴが続いているだけ。

『私を引きつける何かがこのハシゴの先にある』

いつも遠くから物事を見ているもう一人の自分が甘く囁いた。



一先ず身体を拭こうと、薄布を手に取り、身体を拭く。丁寧に身体を拭いていると背後から禍々しい気配を感じた。魔物が襲ってきたのだ。

咄嗟に近くにあった棒切れで食い止める。

片手で、ローブの上に置いておいた護身用の聖浄の魔法をかけたナイフを取り、魔物の心臓を刺した……が残念な事に僅かにズレてしまい、こいつはまだ生きていた。ナイフが深く刺さってしまい、抜けない。

魔物が私の腹を鋭い爪で引っ掻いた。

生暖かい、変に紅く感じる血が噴き出した。痛みはそんなに感じない。

ナイフを両手で思い切り引っ張ったら、簡単に抜けた。

魔物は立て続けに鋭い牙や爪でわたしの腕を切り裂いた。

私はこれ以上攻撃を加えられる前に、魔物の心臓を今度は間違えずに刺した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ