谷を越えた先に
癒しの玉を薄布に包み、懐に入れる。絶対に人間なんかに渡さない。人間は本来の使い方をしらない。これは回復に使うモノじゃないんだ。
「……後は魔法の絨毯と復活の玉、ユニコーンの手綱に銀の竪琴か。」
母が昔言っていた。『あなた達がこの宝を持っていると、願いが叶うのよ』と。
それならば、祖国も私の願いで、救われるのだろうか?
「サリアっ!……何処だ?」
「消えてしまいましたネ〜」
すぐ近くから焦った声とのんびりとした声が聞こえた。元の曲がり道を戻っていく。メイリンとガルムは見つからない。少し考えて、来た道とは違う曲がり角を曲がる。曲がり道を間違え、迷った二人を見つけた。
「……もしかして悪魔ニ食べらレたのかも!」
「………そ、そんなわけねーだろ?」
「嗚呼、全くその通りだ」
「さっ!サリア!?」
「早くここから出るぞ。……多分もうすでに追っ手が放たれてるだろう。」
「次は何処ヘ行くんデスか?」
「そういや、ここから谷を越えた先に深い森があるぞ。」
「よし、そこに行って暫くやり過ごそう」
「了解でスっ!」
階段を駆け上がる。先には行かせまいと襲いかかってくる兵士たちを振り切り、城から飛び出した。
「……お前ら疲れてないか?」
ポルテ城を飛び出して、数時間経った。
「そりゃ当たり前だろ……何時間も歩き続けてるからな」
「うう……疲れましシタ」
「よし、メイリン。こっちにおいで」
懐にしまってあった癒しの玉を取り出し、メイリンに渡す。
「体力を回復してくれる玉だ」
「わぁ……疲れが取れてイキます」
メイリンは、嬉しそうに笑う。彼女から癒しの玉を回収する。
「……ガルム君こっちにおいで〜」
「あ?……ンだよ」
「スゴイねー。ガルム君スゴイねー。さっすがガルム君よくできました〜。偉い偉い。えらいガルム君には癒しの玉を触らせてあげようっ♪」
「……うぜぇ」
ガルムに癒しの玉を渡す。
別に、特に疲れていたのだろうとか考えていない。ただの気まぐれだ。そう、そうなんだ。




