癒しの宝玉
「隣国を滅ぼして欲しいのです。」
「えっ?」
戦いも知らぬような透明な目をしたその女王は、柔らかそうな唇から、恐ろしい言葉を吐き出した。
何故か震える声で理由を問う。
「……何でだ?理由を教えてもらわなければ困るんだが」
「理由は言えません。ですが、もしやり遂げて下さるなら我が国の宝物庫に眠る。癒しの玉をあなた方に差し上げましょうか」
「癒しの宝玉!?」
癒しの宝玉は、エルフの魔力が篭った髪の毛が一つ入れられてる。エルフの城の宝物庫には様々な宝がある。昔宝物庫の中に入ったときその中にこれがあった。ここから導ける答えはただ一つ。
「……奪ったか」
「え?」
「エルフの国の宝物庫から、人間どもは宝を奪ったのか?」
「……あぁ、仰る通りですよ。エルフなんていう低俗な民族にはこんな宝。勿体無いじゃないですか?」
気付かないうちに拳を硬く握っていた。キッと女王を睨み、怒りで震える声で言う。
「人間よりも遥かに崇高な志を持つエルフから、腐りきった人間が奪っただと?……二人とも帰るぞ」
「おい、サリア……。」
「こんな所には居たくない。だが、癒しの宝玉だけは返してもらう。」
王の部屋がある三階に行くとき、気づいたのだが、階段の手すりにボタンがあった。女王の部屋から逃げ出し、階段のボタンを押すと、上に上がる階段とは違い、地下へ向かうための階段が現れた。
地下に降り、右へ左へと曲がると、鉄格子の宝物庫についた。鍵はかかっていない。
石の床の上に、適当に木箱が積まれている。
中に入ってその木箱を開けていく。
喜びの指輪、嘆きの杖……など使えるモノが大量に出てくる。こちらも持っていく。これも、エルフの城の宝物庫にあった筈だ。もし違ったとしても、別に構わない。最後の箱を開ける。
中には、濃い緑色の懐かしさを感じさせる宝玉が入っていた。




