魔神退治
魔神が、塞いでいるという道はどうやら商人たちが商売道具を馬車に詰め込み、次の国へと行く道らしい。この話はもう一度町をうろついた時に、町を闊歩していた人間に聞いた。
太陽が昇ったか昇らないかっていう早い時間だというのに、たった一人で体操をしていた。かなりの早起きだな。もしかして寝てないのではないのだろうか?
因みに魔神に話しかけると「ウホッ!うまそうなお肉っ!」と言って喰われる。最近はないが、結構前まで喰われた人が何人も続出したらしい。
魔神って肉を食べるのか。ていうか男色の気があるのだろうか。
「道を塞いでいる魔神を退治しよう」
城下町を守るこの国の騎士団の宿舎の中、眠そうな騎士団長に向かって言う。
騎士団長はたっぷりとした腹の肉と口髭を自慢にしてるおっさんだった。
おっさんはわたしの身体を舐めるように見てきていった。
「……あんた見たいな細っこいガキが出来るのか?」
「ああ、できる」
出来なきゃ私はここにいない。
「……じゃあ、無理だったら全裸で土下座して、俺らの『便器』になれ」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて言った。
愛らしい少女になんてことを言うのだろうか。全く、酷い男だ。
「じゃあ私ができたら、ここにある金全て寄越せよ?」
「いいだろう」
交渉は成立した。書類も書かせたので、もし言うことを違えたらコレを使って脅そう。
メイリンが起きたら事情を説明し、直ぐに防具屋に向かった。
ガルムと私が長い間言い争っていたが、最終的に彼女にはバニースーツとうさ耳バンド、網タイツになった。やはり可愛らしいんだからもっと強調したかったが、良い防具がこれしかなかったので……。できれば、水着が良かったです。
因みに私は昨日の夜中、宿屋の部屋にあったタンスの中に、黒いローブがはいっていた。今まで着ていたローブを代わりに入れて着る。
ローブは月の魔力で育った麻の糸で、同じく月の魔力で育った布を縫っているらしい。
知らない奴の物なので、少し抵抗があるが、本で見たところ、魔法に高い耐性があると言われている物なので我慢して着る。置いていった人ありがとう。
武器屋では演舞の棍をメイリンに。
準備は整ったので、そろそろ魔神のところに向かおう。




