船着場
村の一番奥に、小さな船着場があった。次は船に乗って行くのかな、なんて考えたが面倒なので考えるのをやめた。
小さな船が五艘ほどと、大きな船が一隻。その大きな船の前で揉めている二人の人影が見える。大柄な男だな。
「ああ?なんでこの俺様が船をタダ乗り出来ねぇんだ!?」
「え、えっと……それは」
朝っぱらからうるさい男だ。
こちらは寝起きで変な夢を見て、イラついているということを分かっているのだろうか。
「おい、そこのゴミ」
ツカツカと歩み寄ってその巨漢に言う。
「少しは黙れないのか?………ああ、すまん。マヌケなお前には、そんな事も考える程の脳味噌なんて無いのか」
「な、なんだと!?」
ちょっと、からかってやったら直ぐに乗っかってきた。見た目通り単純な野郎だ。
「おい、ガキンチョ舐めてんじゃねぇぞクソ!」
殴りかかってきた。振りが大きく、動きも遅い。こんなので、攻撃が当たるとでも思ってるのか?
ここは………。
「炎の精霊よ、散れ。爆発魔法」
小爆発が相手の顔の眼の前で何個も起きる。怯んだところに続けて、同じく炎系の魔法を撃つ。
「炎魔法」
大きな火の玉が三つ絡み合いながら、敵にぶつかり大輪の花を咲かせる。
「ぐあぁっ!?」
この程度の魔法でビビったようで、気絶してしまった。これ以上やられないようにと、身を守る為に気絶したのだろうか。
「………凄いね、君」
「そんな事無い」
ゴミを海に投げ入れながら、話しかけてきた男の質問に答える。相手は、優しそうな船乗りだ。
「ねぇねぇ、良かったら海門の鍵を手に入れては来てくれ無いか?」
「あ?ヤダね?お断りするよ」
特に何の見返りもなしに危険な事はやりたく無い。金をくれるならやらないこともないが。
「それなら………、1万Gでどうかな?」
「もう少し」
「3万G!」
「乗ったよ。鍵は何処にある。」
金は必要だ。何をするにも。
彼は本当にありがたそうに、頭を深く下げると、喋りだした。
「ここから南の祠に、海門の鍵をとある魔物が隠しちまったんだ」
ここで思った事を一言言う。
「そこまでわかってんなら村の男衆でいけば良かったんじゃないのか?」
「あ……」
「バカめ。……まぁいい。引き受けてやる。金が欲しいからな」
金さえあればなんでも出来る。母から教わったことだ。今回の出来事で確かに、金さえあれば、食えるし物が買えることが分かった。今まで、外に出て物を買うことはなかった。
そうと決まればさっさとガルムを起こして南に行こう。




